霊峰魔物討伐編②
ーーー私には過去の記憶がない。
気づいた時には周りから勇者候補などと言われ
ひたすらもてなしを受けてきた。
過去に私は剣をふるったことがあるのだろうか?
握ればしっくりくる。
周りの騎士団とやらの動きは遅く、
模擬戦をしてみれば
私が剣を振るうといともたやすく
みんな倒れていく。
遊び相手にもならない。
私は一体何者で
これから何をするのだろう。
魔王とやらを倒すのが私の使命らしいが
それに一体なんの意味があるのだろう。
皆が私に勝手に期待をして
私はそれに応える。
期待に応えるのは悪くない。
ただ、
何をしても
剣で何を斬っても
どれだけ、みんなの期待に応えても
私の心は震えないのだ。
過去の記憶がない私は
はたして本当に人間なのだろうか。
どうやら
新しい国王の護衛に任命されるらしい。
もう1人の勇者候補が
魔王討伐にでるらしく
私の任務は国王の護衛。
そうか。
国王の護衛のために
私はこの世界に召喚されたのだったか。
しかし、
なんだそれは。
そんなもの
私である必要もないではないか。
なんだか
なにもかもが
どうでもよくなっていた。
そんな時。
私は
ーーー神に出会ってしまった。
「剣をおさめなさい!スカーレット!」
「……!は、はい!」
初めて心が震えた。
何をしても私は心が乱れることなどなく
ただ目の前の与えられた任務を
ひたすら消化していくだけだった。
だが、それまでの一切の常識を
何もかもをひっくり返されたような
衝撃。
人は己の理解が及ばない
圧倒的な存在
何をしても手が届くことのない存在を
神と呼ぶのではないか。
私の目の前に突然現れたその人は
もはや私の心を唯一震えさせる
私の生きる意味となり得る
私のすべてになってしまった。
また、あの人に逢いたい。
しかし、もう出逢うことはないかもしれない。
私には国王の護衛という任務がある。
この城に呼び出され
散々もてなしてもらっておいて
今更私がどこへいけるというのか。
私は結局ただ目の前の仕事を
ひたすら消化していく
それだけの価値しかないのだ。
そうとも。
もう諦めよう。
期待など
もう……。
な、なんだと?!
エルデシュタイン家と共に
マスタング領の魔物討伐任務!!!!!!???
「わ、私にぜひ!!勉強のためにも!!
その任務おまかせください!!」
「……?どうした?スカーレット
珍しく感情を出してるな?」
我が主はこの国の王。
私にも、とてもよくしてくれている。
しかし、この期を、逃す訳にはいかない!
「陛下。あのエルデシュタイン侯爵令嬢には
底知れぬ可能性を感じています!
見識を広めたい。そのためには
あのお方との任務は私の理想であります!」
「そうか、城の中での任務ばかりだったものな。
いいだろう、今回の任務はお前に任せよう」
「はい!ありがとうございます!」
必ずや任務を遂行し国と民を守ることを誓いましょう!
そして私はまた
神に再会することができたのだ。
「ヴィオラ・エルデシュタイン侯爵令嬢!
必ずや任務遂行しお役に立ってみせましょう!」
「ええ。スカーレット、期待していますわ」
「はい!」
(はぁ〜〜〜ん♡!!
お名前お呼び頂いてしまったぁぁあん♪
マジ神!マジ推し!!尊い!尊すぎるぅ〜〜!!!
ヴィオラしゃま!ヴィオラしゃま!
このスカーレット!命にかえても
あなた様の剣として戦果をあげましょう!)
「……剣聖。あなたの立ち位置は前衛でございます」
「……は?!ああ、わかっている。
少し隊列の確認をしていただけだ。」
(危ない!無意識のうちにヴィオラしゃまの
おそばに近づいてしまっていた!
落ち着けスカーレット。
まずはヴィオラしゃまに
私の力を認めてもらうのが優先だ!)
(しかし……
このヴィオラしゃまの護衛のメイド?
なんだか私に敵意が見えるな?…たかがメイドが!
ヴィオラしゃまの護衛だからと調子に乗るなよ?)
隊列は前衛に
スカーレットの騎士団と
シンシア率いるギルドメンバー
その後ろに魔法使いの支援部隊
最後尾にヴィオラ様と
その両サイドに
聖女マリベルと
取り巻きのモブ女(猫付き)
という状態。
(あの聖女はまぁ回復役だからわかるが
もう1人のあのずっと口の開いてる女はなんだ?
なぜヴィオラしゃまの横に当たり前のようにいる?
よこせ!そのポジション!くそっ!
いやしかし、あのだらしない顔……
どうも、どこかで見た気がするな……?)
「見えたぞ!あれがマスタング領の砦だ!」
魔物とマスタング軍との狼煙はすでにあがっている。
急ぐぞ!!
何やら謎のアピール合戦?があることは
今は1度置いておこう。
さぁ!戦闘がはじまる!
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
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