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王位継承編④


あれから数日。

エルデシュタイン家はいつも通り静かだった。

まるで何も起きていないかのように。


結局王位継承投票は行われず


王位継承は正式に

第1王子アーノルド殿下に決定。


第2王子ハインリヒ殿下は

数々の側近の不正が露呈し

“側近の不正の監督責任”として

公の場から退くことになった。

……まぁ、ほぼ失脚だ。



ランチ後の紅茶タイムを嗜む

相変わらず優雅なヴィオラ様。

膝の上でゴロゴロ言うシュガー。


……平和だ。



そこへ


「お疲れ様です。」


「ヴィオラ様。戻られました。」


誰だろう?初めて見る顔。


セバスチャンの後ろから着いてくる青年。


「任務完了です」


「……クロウご苦労でした。

しばらく休暇を与えますわ。

ゆっくりしなさい。」


……!


……クロウ!?


あの王都にスパイとして行ってたって人!?


あ、無事だったんだ?!


それはよかったよかった。


任務完了?


ん?


(この男。あの時第2王子の側近におったやつぞ)

(え?)

ゴスロリ少女が私に告げ口してくる。


「ナミさんですね。改めてご挨拶を。

諜報担当しています。クロウです。」


「あ、…は!初めまして!」


理解が追いつかない。


「先日はご挨拶できませんでしたので」


「えと、先日…以前?会ってる……?」


「ええ。"ダンカン"という名で」


「え」


ニコリと笑うクロウ。


「えええええ!!!!!」


「変装が得意なものでして。あれ、私です」


えええ


ええ


クロウがダンカン?


ダンカンがクロウ?


「ああ…調子に乗ってたダンカンを

サクッと暗殺しまして

そのダンカンに変装していたのです」


……。


さらっと言うな。


「な、なんで!?」


「第2王子殿下の側近に入り込み、

利権に群がる者を炙り出すためです。」


「え、じゃあ……不正って……」


「本物もありますし、こちらで流した餌もあります。」


こわい。

この人こわい。



「いいなー☆ウチも休暇ほしい〜♪」

「うちの情報源二人共休暇はダメです」

「ぶー☆けちー」

拗ねるルチア。


あの時このおっさんなんかやたらニヤニヤと

話してくるなーと妙に違和感あったんだよ。

目配せしてたのかあれ。


そういうことかよ。



「ハインリヒ殿下は、

自身の周囲が腐っていることを

理解しておられた。」


え。


「一度全てを失う覚悟であの舞台を作ったのですよ」


頭が処理拒否。

ちょっと待って。

じゃあ。

第2王子って。

無能どころか。

めちゃくちゃ覚悟決まってるやつじゃん。


「では……失脚は?」


「表向きのものです。」


「王位は辞退なさいましたが、

いずれ軍制改革の中核に戻られるでしょう。」


ちょっと待て。

なにそれ。

つまり。


あの王位継承争奪戦自体が

悪事をしてる側近を炙り出すための

第2王子が作り出した舞台だったってこと?


クロウは微笑む。

「アーノルド殿下とハインリヒ殿下は

最初から対立などしておりません。」


は?

え?


「王として立つ者と、国を裏から強くする者。」


「最初からそう決まっていたこと。」


いやいやいや。

誰もそんな話してなかったよ!?

私ずっと胃痛してたんだけど!?



その時、再び来客。


「失礼いたします!」


入ってきたのは第8王子アルベルト。

魔法学園の副生徒会長。


「この度は本当にありがとうございました!」

深々と頭を下げる。


「王都の混乱が最小限で済んだのは、

エルデシュタイン家のおかげです。」


私はヴィオラ様を見る。

ヴィオラ様は面倒くさそうに紅茶を置く。


「よくってよ。ワタクシは何もしておりませんわ。」


アルベルトはクロウを見る。

一瞬だけ、意味深な目。


「あなたにも、感謝を。」

クロウは軽く会釈する。


なるほど。

私だけ知らなかったのね。


「つまり……」

私は震える声で言う。

「全部、最初から仕組まれてたってこと?」

クロウは微笑む。


「第2王子を“失墜させる”ために。」

「そして、救うために。」

鳥肌。

いやもう。

誰が悪で誰が善なの。





(吾輩言ったろう。心配いらんと)

(……もう!ちゃんと全部教えてよ!)


ゴロゴロ言う黒猫はヴィオラ様の膝の上で


今日ものんびりあくびをしている。


穏やかな午後の西日と

紅茶のゆったりとした時間。


エルデシュタイン家の時間は

今日もおだやかに流れる。





「……もうヴィオラ様が国王やればいいのでは?」



「……そんなめんどくさいこと、ごめんですわ」




ですよね。


あなたは




……そう言うと思いましたよ。








読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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