特産品開発編②
吾輩は、猫である。
だが、聖獣でもある。
数十年ぶりに、人間の世に降り立ったが
相も変わらず人間共はつまらん。
私利私欲にまみれ、
いつの時代に来ても愚かである。
吾輩の魔力の源である
糖分を求め
久しぶりに街をふらついていると
妙に甘い匂いにつられ、
とある屋敷に入った。
そこに、この女はいた。
だらしなく口が開きっぱなしである。
デザートに夢中。
欲にまみれた典型的なダメ人間。
吾輩にやっと気付いたようである。
「猫ちゃん〜可愛いでちゅね〜♡」
早く糖分をよこせ。
愚民めが。
人間は吾輩を見ると
すぐ、魅了されて
供え物を捧げてくる。
糖分だけをよこせ。
他はどうでもいいのだ。
「猫ちゃん内緒だよ?はいクリーム♪」
……!!
なんだと?!
なんだこのうまい糖分は?!
こんな美味いものを開発していたのか!
人間よ。
良いぞ。
少しは成長したようだな。
このクリーム?とやらをよこすなら
しばらくここに居てやるか。
さあ、愚かな人間共よ。
吾輩を、称えるが良い。
スヤスヤ……すぴー。
む?
いかん、つい
眠ってしまったようだ。
いやまて。
なんだこの禍々しいオーラは。
人間?!
いや?
何者だ?!
目の前に現れた人間の形をした"それ"は
吾輩を見て睨みつけて来る。
「……なんですの!このケモノは!!」
ちっ……。
悪魔かなにかか?
やるしかないか。
「ヴィオラ様!この黒猫!ナミがお世話します!」
なんだこの女?
吾輩を、守ろうというのか?
だらしない愚民かと思ったが
そうか、
思ったよりわかっているではないか。
あの美味いクリームをよこすなら
しばらく吾輩のそばにいることを許そう。
夜ーーー
このナミという女の部屋にて。
「猫ちゃんお名前何にしようかな〜♪」
吾輩の名前はバステト。
神の名を持つ聖獣である。
「甘いもの好きだからシュガーちゃんにするね♪」
糖分の名前だと?
センスの欠けらも無い。
愚民めが。
まぁ良い。
人間どもが吾輩をなんと呼ぼうが
大した興味もない。
しかし、この女。
毎日甘いもの食べているだけだな?
自堕落な人間め。
糖分の開発?
とやらがどうやら滞っているようだ。
だが女。よく見ろ。
そのクリームは美味い。
もう完成している。
仕方ない。
少しだけ力を貸してやるか。
棚にある菓子と、クリームに魔法をかける。
どさどさっ……!
「わ、急に、棚からクッキーが!?」
クリームの上に落とす。
ナミがはっとした表情を見せる。
すぐ気づいたか。
勘は悪くないようだ。
よかろう。褒めてつかわす。
「こ、これだ!」
「ナミどうした?」
「そうだよ……クリームにこだわりすぎてた」
「む?」
「美味いものと美味いものを合わすと…」
「合わすと?」
「めちゃくちゃ美味いものになるんだよ!」
「バカっぽい!?どういうことだ?ナミ?」
「つまり」
「クリームを」
「クッキーでサンドするんだよ!」
「なんだこれは!!!めちゃくちゃ美味いな!!」
「でしょ!オズワルド!これならいける!」
「これは人気になるぞ!?」
「……やったやった♪」
その夜
ナミは
吾輩に
"クッキー&クリーム"を供えてくる。
美味い!
最高だ!!
よくやったぞナミ。
これで久しぶりに魔力も満タンだ。
「美味しいでちゅか〜?シュガー♪」
よくやったぞ。
喜べナミ。
褒美を取らせてやろう……。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
私は完成したこのクッキー&クリームに
確かな手応えを感じていた。
きっと人気になるぞ。
ルチアにも明日食べてもらおう♪
商会で推薦してもらって
カフェにも置いてもらおう☆
ギルドには差し入れで持っていこう。
よぉし、明日から忙しくなるぞ〜♪
あれ?
シュガーはどこへ行ったのかな?
「シュガーちゃん?」
「あれ?シュガーちゃん〜?」
私の可愛い黒猫ちゃんが急に居なくなってしまった。
今までクッキー&クリーム食べてたのに…
不思議だなと思って
ふと、振り返ると
そこには
黒いゴスロリ姿の
小学生くらいの女の子が立っていた。
…ん
え?
ええ?
ええええ!!!??
「うわあぁぁ!!!誰だぁー!!!?」
見た目はめちゃくちゃ
可愛いのだが……
さすがに、突然現れると
びっくりしてしまう。
「…え?え?だ、誰ですか???」
月明かりに照らされて
金色に光る瞳を持つ
その突然現れた
黒いゴスロリ少女は
私の問いに
クスッと笑いながら
妙な一人称で
喋ったのだ。
「吾輩が、猫である。」
読んでいただきありがとうございます!
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