【No.109】早春のツツジ科二題 アセビとイワナシ
今気づいたんですが、今年は何か木本植物を取り上げることが多いような。
まあ、サクラ類が4回、コブシの仲間が2回ありましたからね、あとフサザクラ、キブシ、マンサクと、今年は早春に咲く樹木を多くご紹介したような気がします。
で、また樹木なんです。今回は早春に咲くツツジ科。
2種類ご紹介します。最初はこれ。
アセビ(ツツジ科)
Pieris japonica
低山の乾燥した尾根筋なんかに生育し、早春に白い香りのよい花を咲かせる、意外と身近な常緑低木、アセビです。背丈は1〜3m位でしょうか。
春、あまり高くない山に登ると、頂上が近づくにつれて登山道の脇なんかにこれが良く咲いています。甘い香りの5mm位の花ですが、なにしろ穂になって沢山つくので、なかなか見ごたえがあります。
アセビは有毒種であることでも有名。漢字で書くと「馬酔木」。馬がこのアセビの葉を食べると酔ったようになるのでこの名があるそうなんですが、鹿なんかは最初から食べませんから、本当に馬が食べて酔ったようになるのか、いささか疑問ではあります。最初から食べないんじゃないでしょうか。
ちなみに人間が摂取すると、嘔吐や下痢、四肢のしびれ等の症状が現れ、最悪死に至ることもあるそうです。
アセビの花、野生種も十分に美しいのですが、園芸種に淡紅色の花を咲かせるものがあり、これもなかなか見事です。下の写真は神代植物公園に植栽されていたもの。
<赤花のアセビ>
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さて、次はイワナシ。これも常緑低木。
イワナシ(ツツジ科)
Epigaea asiatica
北海道南西部から本州の、標高の高いブナ帯~亜高山帯の、やや湿った林縁部の斜面なんかに良く生えています。5~6月頃、上の写真のような長さ1cm位の、鮮やかなピンク色の花を着けます。アセビみたいに沢山穂になって咲いたりはしませんが、何しろ色が鮮やかなので、山の中で良く目立ちます。独特の上品な雰囲気を持っていて、私としては、山で見つけると嬉しい花の一つです。葉は大きくて革のような質感があり、長さ数cm~10cm程にもなります。枝が立ち上がらず、地面を這うように伸びるので、大きな群落になると、この葉が地面を覆うような感じになります。
イワナシは、漢字で書くと「岩梨」。実は甘くて、梨の様なシャリシャリした食感があるのだそうです。私は食べたことありませんが。下の写真の真ん中あたりに小さく写っているのが実です。
<イワナシの実>
イワナシ属は世界に3種しかなく、日本にはイワナシが、あとはコーカサス(ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンとロシアの一部に跨る地域)、及び北アメリカに1種ずつが分布するだけです。花はいずれも白~ピンクで、大きな葉と地面を這う枝を持つ所が共通点。
北アメリカに分布するアメリカイワナシは、ネイティブアメリカンが腎臓疾患、リウマチ、腹痛の薬として用いていたそうです。ちなみに日本のイワナシは、滋養強壮や解熱の効能があるそうです。果実酒にしても良いとか。
以上、早春のツツジ科二種の話でした。




