【No.107】まるで日本画のような ウワミズザクラ
ウワミズザクラ(バラ科)
Padus grayana
ウワミズザクラです。これでも桜。白い小さな花が10cm程の花序に密生して咲きます。一つの花は直径6~8mmくらいと大変小さいのですが、穂になって咲くので、花時には結構目立ちます。とはいえ、花期は5月頃で、葉が出て完全に開いてから花が咲くので、エドヒガンやヤマザクラのような派手さはありません。
分布は北海道南西部から本州、四国、九州。国外では中国の湖北省、四川省、広西省に分布するそうです。低山帯の山地の、やや湿った場所を好むようです。
樹高は20m程にもなる高木で、これにブラシ状の白い花が満開になると、派手ではないものの結構目立ちます。開花した姿は独特の風情があり、日本画のような上品な雰囲気を持ちます。
<開花したウワミズザクラ>
まるで、刷毛でさっとはいたような白い花序が、木全体を飾る姿は、日本画を思わせます。東山魁夷とかが描いてそうな感じ。
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ウワミズザクラ、花が終わってからもう一度、秋にまた人目を惹く姿になります。
実がきれいなんですよ。
<ウワミズザクラの実>
普通、サクラの実というと、ソメイヨシノみたいに黒紫色に熟れるものが多く、実はあまり目立たないのですが、ウワミズザクラの実は最初黄色くなり、それからオレンジ→赤→黒紫色と色が変わります。写真の実はまだ熟していなくてオレンジ色になった頃のもの。実が熟する時期が穂によって微妙にずれるので、黄色からオレンジ、赤、黒まで様々な色が混じって、大変綺麗なものです。紅葉も澄んだ赤になり、大変綺麗なんですが、残念ながら写真がない。
でも、紅葉前の緑の葉も、葉脈の所が細かくへこんで、独特の女性的な柔らかい雰囲気があります。葉に特徴があるので、葉だけでもウワミズザクラと分かります。
下の写真は、「曙斑」という、新芽に緑が乗るのが普通より遅く、白い斑のようになる変異個体です。白い斑はともかく、女性的な柔らかい葉の雰囲気、お分かりいただけるでしょうか?
<ウワミズザクラの葉>
東北あたりでは、このウワミズザクラの若い実を塩漬けにして食べるとか。「あんにんご」といって酒のアテにするんだそうです。熟した実は果実酒にも良いそうです。
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ところで、ウワミズザクラという不思議な名前、何処から来たのか?
ウワミズザクラは、漢字で書くと「上溝桜」。その昔、鹿の肩甲骨に溝を掘ったものを、このウワミズザクラの樹皮で焼いて、骨の割れ方から占ったことから来ているのだそう。例によって話がちょっとややこしいのですが、占いに使った、というのはなんとなくありそうな感じがするので、今回はこの説を素直に信じておくことにします。
花言葉は、「運命」「純潔」「純粋」「愛」「思い出」「優雅さ」なんだそう。
「運命」は占いに使ったことから来ているんでしょうね。「優雅さ」は素直に納得です。
以上、穂咲きの晩春の桜、ウワミズザクラをご紹介しました。




