【No.106】春のシソ科祭り⑤ 青鬼の手 ラショウモンカズラ
ラショウモンカズラ(シソ科)
Meehania urticifolia
ラショウモンカズラ。
湿った樹林の林床等に生えます。茎は高さ15~30cm程にもなり、シソ科の野草としては大型の部類になります。花は4~5月頃。長さ4~5cmほどの、これもシソ科としては結構大きな花を、穂状に咲かせます。花は一方向を向いて咲きます。暗い林内で群開する濃い青紫の花は、迫力満点です。
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ところで、この花の名前の由来について調べると、こんな感じの話が出てきます。
「その昔、京都の羅生門に鬼が棲みついて、いろいろと悪さをしていたが、それを源頼光の家臣である渡辺綱が成敗した。その時に切り落とした鬼の手に、花が似ているからこの名がついた」
怖い怖い怖すぎ。
でも、芥川龍之介の「羅生門」にそんな話出てきたっけ?とか思っていたら、これは昔の言い伝えで芥川龍之介の作品とは関係ありませんでした。
「で、この花のどこが鬼の手なんだよ?」
それは、この花を横から眺めると、なんとなく分かります。
<青鬼の手>
言われると、なんとなく手首のあたりから切り落とした青鬼の手のように見えて‥‥来ないこともない。想像力働かせすぎなのではないかと、私なんかは思いますが。
でも、シソ科の野草としては結構大きい部類のこの青い花、鬼を想起させるような迫力があることも確か。ちなみに、「瑠璃蝶草」という可愛らしい古名もあるようですが。
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「それはいいんだけど、ぱっと見ツル植物には見えないのに、なんで『カズラ』なの?」
はい、ごもっともな疑問です。
それは、花後に走出枝が伸びて、伸びた先で根を出して繁殖する性質から来ています。ただし、この茎は水平に伸びてゆくだけで、他の木や草に巻き付いて登ってゆくことはありません。以前にご紹介したホタルカズラなんかと同じですね。
下の写真、横方向に長く伸びる細い茎が何本か確認できると思いますが、それが「走出枝」です。イチゴのつると同じ、と言えばわかりやすいでしょうか。
<「カズラ」の由来 走出枝>
ラショウモンカズラ、食べられるとか薬になるとかいう話は、ないこともないけれども、あんまりはっきりした話が出てこない。なので、これについてはここでは言及しないことにします。機会があれば、そのうちまた調べてみたいと思います。
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春のシソ科祭り、このラショウモンカズラの回で終了となります。
次回から、また普通に春の花の話に戻ります。
ではまた。




