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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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そんな君が可愛いよ

「キャ~、見てみて、パンダさんよ。超可愛い~、」

「そ、そうだね。」

 女性がキャ~キャ~叫ぶのは、かまってちゃんだからって、

テレビ番組でみたような記憶があるが、パンダさんか、

そんな君が可愛いよって、さりげなく言えたら

どんなにいいだろう。言えません。

「フクロウさん、可愛い。」

「賢そうだしね。」

 ネットで調べたら、あまり、オウム返しに相打ちを

打つのもイケナイらしい。難しいね。

 微分、積分の計算の方がよっぽど、樂だ。

 表門から東園を北回りに歩き、いよ、いよ、ライオンと虎の

エリアに来た。

「ライオンさん、可愛い。猫みたい。」

「確かに、ネコ科だね。」

「虎さん、可愛い。お家で飼いたいなあ。」

「それは、ちょっと難しいんじゃないかな。」

 やった~、良かった。助かった。ライオン、虎と闘えって

命令されなかったぞ。それにしても、この年頃の女子は

何を見ても可愛いのか、それとも星明だけがそうなのか、

僕にまったくわからないよ。

「ゴリラさん、可愛い。ねえ、知ってる。

受験生に人気あるの。」

「えっ、何だって。」

 こればかりは、本気で興味あるな。僕も、来年は

三年生だからね。

「ゴリラが投げたウン〇があたると、運がつくって

ゲン担ぎするみたい。」

「それは、ちょっと、遠慮したいね。」

 僕たちは、自然に声を立てて笑った。

 これって、本当にデートみたいで、不思議な気持ちだった。

 そのままアザラシ、アシカを見て、今度はホッキョクグマ。

「ホッキョクグマさん、可愛い。一緒に泳ぎたいな。」

「おい、おい、そんなこと言うのは君くらいだよ。

 食べられるよ。」

「えっ、そうなの。あんな可愛い顔して。リズ君、

良く知ってるね。」

「いやあ、実を言うと予習してきたんだ。」

「まあ、私のためにありがとう。」

 星明が喜ぶ顔に、クラクラしそうになった。

 予習したのは本当だけど、昨日の土曜日、下見に来たことは

黙っておこうっと。それにしても、リズ君って呼ばれるのは

初めての経験で、相手があこがれの星のビーナスだけに

背中がコソバイよ。

 僕たちは、いそっぷ橋を越えて、西園に入った。

 カンガルーとタテガミオオカミ、そしてサイも無事クリアー。

 ホッとした。

 ここで、事件が起こった。星明はワニ、蛇は平気だけど、

蛙が苦手だからそのエリアはパスしたいと。

 へえ~、意外だなって思った。女の子らしいじゃん。

 ワニと蛇とも闘わされるって警戒してたから、僕としては

ラッキーだ。

「ねえ、ボートに乗らない。前から、一度乗りたかったんだ。」

「いいね。」

 僕と星明が手をつないで、ボート乗り場に行こうとしたら、

突然、思わぬ邪魔が入ったのである。


 






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