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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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36/59

昼休みの屋上で

 『枯れ葉舞い散る校庭は 来る冬の寒さを 告げる。』

 あれから、僕は昼休み、屋上で一人弁当を食べるように

なっていた。教室で食べていると、クラスメートだけでなく

他のクラス、他学年の生徒まで僕を見学に来る始末。

 僕は、オリハルコンでできた貝と化し沈黙を守るが、

親友のタックンまで好奇の眼で見られるのは、心が痛いので、

一緒に居られない。

 タックンは僕に何も尋ねないし、笑って、気にしないでと

言ってくれるから、猶更だ。

 弁当を食べ終わっても、屋上で過ごすしかない。前に、

図書館に行ったら、みんな本を読む手を止め、僕を見て

ヒソヒソ噂する。それで、体育館の器具庫に行こうと思ったら、

鍵がかかっていた。なるほど、あんなこと、こんなことの不祥事を

避けるためか。きっと、コンカツの指示に違いない。

 僕は、昼休み、引きこもりのヒッキー、もとい、屋上だから

オッキーで詩人になっていた。

 このままでは、心、寒いだけなので、龍笛を吹くことにした。

 何もかも忘れ、無我夢中で倶利伽羅龍の真言をイメージした

曲を演奏する。心の闇が晴れ,澄み渡り、感覚が鋭くなる。

 僕は演奏中、かすかだが誰かが隠れて僕の演奏を聴いている

気配を感じた。見事な隠形、僕だから気がついた。

 案の定、演奏が終わったら、パチパチと拍手してくれた。

 誰かと思いきや、そこに現れたのは、星のビーナスこと

森 星明ではないか。

 僕は星のビーナスと憧れていたが、龍美の悪魔の策略で、

決闘をする羽目に陥り、僕が勝ったが、結果として彼女の

両胸をこの手でさわり、唇まで奪ってしまったことは

忘れようとも忘れられない。一日も、忘れたことはなかった。

 僕は心臓がバクバクしそうになったが、倶利伽羅龍の真言を

声に出さずに唱え、冷静さを取り戻す。

 ここで正体がばれたら、殺されるかもしれない。

「見事な演奏ね。私の高校に、龍笛の名手がいるとは知らなかったわ。」

「褒めても、何も出ないよ。」

「まあ、あなた、私が誰だか知らないの。私に声をかけてもらえるなんて

光栄なことなのよ。ましてや、褒めてもらえるなんて、・・・」

「自慢話をしたいなら、他所へ行ってくれ。邪魔。」

「ごめんなさい。邪魔しないから、もう一曲聞かせてもらっていい。」

 僕は答えず、龍笛を演奏し始める。自分でも、あきれるくらい

冷たい態度をとっているのがわかる。昼休み、屋上に来るなんて、僕と

同じで、よほどの理由があってのことだろう。顔を見れば、わかる。

 でもさ、しかたないじゃないか、恋愛経験のない僕は女の子に優しく

甘い言葉なんかかけることはできない。恋愛偏差値ゼロだね。

 高校2年生のくせに、好きな子に意地悪する小学生レベルだな。

『僕の馬鹿、大馬鹿野郎。』

 せめて、心を込めて、演奏しよう。僕は、龍神祝詞をイメージした

曲を全身全霊で演奏した。

 終わったが、今度は拍手が起こらなかった。見ると、涙を流している。

 でも、瞳に光が輝き、迷いが晴れて明るい表情になったように感じた。

 それでこそ、僕の星明きららだ。

 このまま、言葉を交わさずとも、何時間でも一緒にいたいけど、

非情にも昼休みの終わりを告げるベルが鳴った。

 森 星明は、僕に深くお辞儀をして、去って行く。

 彼女の残り香にキュ~インと萌える僕であった。



 




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