星のビーナス、電龍組の喧嘩を買う
「え~、只今より、平成30年度 後期生徒会立ち合い演説会を
始めます。みなさん、席に着いて下さい。」
あまりの緊張感に耐えかねた選挙管理委員会の委員長を務める
コンタックこと近藤拓也、僕の親友、タックンはマイクを握った。
体育館にいた全員、ホッとした気持ち半分、このまま成り行きを
見たい気持ち半分だったが、自分の席に着いた。
当事者の星明と龍美たちも渋々従う。
タックンは、僕と違って人望があり、入学した時から学級委員を
勤め、実力もある。見事に、司会進行を務め、盛り上げて、無事
終えることができた。
僕は、心から拍手を送り、彼の名誉を称えていた。
その場で、投票も終わり、解散、放課後になるって時、
事件は起こった。
電流組の龍美が、森 星明に、喧嘩を売ったのである。
「今度の文化祭、ダンスバトルで決着をつけましょう。
私たちは三人だから、貴女も一人じゃなくても良くてよ。
うちの高校の生徒なら、誰でもいいからね。
持ち時間は、三分間、衣装と音楽は自由ということで、
みなさんに、うちの高校の真のアイドルを決めてもらい
ましょう。いかがかしら。」
言葉使いまで変えているが、こんな場所で喧嘩を売るなんて
やっぱり、悪魔の本性は変わってない。執念深いし。
武術対決の決闘では一度負けているから、その手で来たか。
「思い上がりもそこまで行くとご立派ね。よろしくてよ。
受けて立つわ。でも、それだけでは面白くありませんから、
勝った方があの栗殻なる女装男子を一日自由に
できるってどうかしら。」
「面白い、望むところよ。」
棚から牡丹餅とばかりに、龍美が応じる。
森 星明と龍美が、毅然とした態度で応答するものだから、
もう、会場は大興奮。歓声と拍手の嵐が吹き荒れる。
おまけに、話はよくわからないが、女装男子の一日の自由も
かかっているので、俄然面白くなる。
うちの高校の文化祭史上最高の盛り上がりを見せることは
必至である。
まあ、僕には関係ないことだよな・・・・って、ちょっと
待て。待ってくれ。女装男子、倶利 伽羅って、
僕のことじゃないか。勝手に、決めるな。
星明も、よほど執念深いと見える。怖すぎる。
「これ以上、僕を玩具にするな!」って、叫びたかったが、
全校生徒に恥ずかしい正体がばれる。絶対に、できない。
クソ~と悔しがっていたら、コンミツこと近藤光代先生と
眼があった。事情を知る先生は、妖しい笑みを浮かべた。
渡る世間は、悪魔と魔女ばかりか。




