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ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります  作者: はぶさん


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第三百二十六話:狂気のリゾート開発(DIY)開始。神話級フィッシュ&チップスの暴力的な衣と、冷えた樽生エール

「……見えてきたぜ。潮の匂いだ。王都の澱んだ空気とは違う、どこまでも突き抜けるような自由の匂いだな」


 王室御用達のブランドと、オークションで巻き上げた莫大な軍資金を懐に忍ばせ、王都から馬車を走らせること数日。

 窓の外に広がるのは、見渡す限りの青く澄み切った海と、白い砂浜。

 ここは、王都の貴族や大商人たちが、夏の暑さを逃れてこぞって遊びにやって来る、大陸有数の高級避暑地『リヴィエラ』だ。

 海岸沿いには、すでに数え切れないほどの豪華な別荘や高級ホテルが立ち並び、この街がいかに莫大なポイント(富)を生み出す場所であるかを物語っていた。


「素晴らしい景色ですね、ルークス君。だが、この街の海岸沿いの一等地は、すでに大貴族や既存の巨大商会に完全に買い占められている。我々の手持ちの2500万ポイントがいくら大金とはいえ、今から一等地に入り込んでホテルを建てるのは、至難の業ではないか?」

「ガリウス所長。誰かが作った出来合いの狭い一等地を、わざわざ高値で買うバカがどこにいますか。俺たちが作るのは、ただの高級ホテルじゃない。王都の金持ちどもを全員呼び寄せて、骨の髄までポイントを落とさせる『食と快楽の巨大テーマパーク』だ。……必要なのは、場所の良さよりも『圧倒的な広さ』と『自由度』なんですよ」


 俺は、地元の不動産ギルドから派遣された案内人を連れ、高級リゾート街の中心部を完全に通り過ぎ、街の西れにある海岸へと馬車を進めさせた。


「あ、あのぅ、ルークス様……。本当にこちらの土地でよろしいのですか?」


 案内人が、汗を拭きながらおずおずと尋ねてくる。

 馬車を降りた俺たちの目の前に広がっていたのは、確かに海に面してはいるものの、ゴツゴツとした巨大な岩が乱立し、雑草が生い茂る、見捨てられた広大な『荒地』だった。

 波の音は最高だが、とてもじゃないが人が優雅に泳げるようなビーチではない。


「ここは確かに広さだけは王都のドーム球場がいくつも入るほどございますが……岩盤が固すぎて開拓のしようがなく、何十年も買い手がつかない不良物件でして……。その、リゾート地としてはあまりにも……」

「最高だ」

「……へ?」

「背後には手付かずの小高い山、目の前にはプライベートビーチになり得る海。誰の目も気にせず、好きなだけ建物を建てられるこの圧倒的な広大な敷地……。俺の求めていた『最強のキャンバス』そのものだ!」


 俺は、案内人の肩をガシッと掴み、悪魔的な、しかし希望に満ち溢れたビジネススマイルを浮かべた。


「この山の頂上から海岸線まで、視界に入るすべての土地を丸ごと買う。言い値で構わねえ。……1500万ポイントだ。今すぐ、一括キャッシュで払うぜ」

「いっ、いっせんごひゃくまんんんんッ!?」


 案内人が白目を剥いて泡を吹きそうになるのを尻目に、俺はシステムウィンドウを操作し、その場で涼しい顔をして1500万ポイントの譲渡契約を完了させた。

 かつての俺なら、想像しただけで心臓が止まる額だ。だが今の俺にとって、これは浪費ではない。未来の1億ポイントを生み出すための、最高にワクワクする『投資』なのだ!


 ◇


「さあ! 土地の権利書は手に入れた! ここからが、俺たちの本領発揮だ!」


 案内人を追い返し、完全に俺たちだけの私有地となった広大な荒地の中央。

 俺は、白銀に輝く相棒をアイテムボックスから取り出し、天高く掲げた。


「岩盤が固くて開拓できねえだと? 笑わせるな! 変形モードチェンジ! 『真・アダマンタイトの鍬(超絶重機モード)』ッ!!」


 ガチャンッ! ギュイィィィィィィンッ!!!


 鍬の刃が、巨大なドリルとショベルを合わせたような凶悪な重機の形状へと変形する。

 俺は魔力を限界まで練り上げ、海岸を埋め尽くす巨大な岩盤に向かって、一直線に突っ込んだ!


「粉砕ッ!! からの、整地だァァァッ!!」


 ズドドドドドォォォォォォッ!!!!!


 凄まじい地響きと共に、重機モードの鍬が、何十年も放置されていた強固な岩盤を、まるで柔らかい豆腐かクッキーのように次々と木っ端微塵に粉砕していく。

 瓦礫をシルフィの竜巻で一箇所に集め、ガリウス所長が土魔法で地盤を平らに踏み固め、フェンが重い岩を軽々と海へ放り投げてテトラポッド(防波堤)代わりにする。


「ルークス様! 岩は片付きましたけれど、このままではただの砂と土の平地ですわ!」

「分かってる! ここからがチート農業の見せ所だ!! 超絶農業スキル……『大地の息吹・テラ・フォーミング』ッ!!」


 俺が両手を大地にかざすと、緑色の極彩色の魔力が荒地に波紋のように広がっていく。

 俺が蒔いたのは、塩害に極めて強く、強烈な日差しを好む『神話級・南国フルーツ』の種だ。


 ズゴゴゴゴォォォッ!!


 あっという間に、白い砂浜に沿って、巨大な『神話級・黄金ヤシの木』が等間隔にズラリと生え並び、心地よい日陰を作り出す。

 さらに、背後の山には、マンゴーやパイナップル、バナナといった極上のトロピカルフルーツがたわわに実る果樹園が一瞬にして形成された!


「ふははははっ!! 見ろ! たった数時間で、見捨てられた荒地が、王都の貴族どもが泣いて喜ぶ『極上のトロピカル・プライベートビーチ』へと完全変貌したぞ!!」


 ◇


 夕暮れ時。

 水平線に沈みかける真っ赤な夕日が、俺たちがチートDIYで作り上げたプライベートビーチを美しく染め上げていた。

 広大な土地の整地という超重労働を終え、汗と泥と砂にまみれた俺たちは、波打ち際の砂浜にドカッと腰を下ろした。


「ハァ、ハァ……。さすがに、山から海まで丸ごと整地するのは骨が折れたな……。だが、最高の気分だ」

「ガウッ……。主よ、重労働の後は飯だ! この海の沖合で、とんでもなくデカくて美味そうな獲物を狩ってきたぞ!!」


 フェンが波間から引きずり出してきたのは、俺の背丈ほどもある、丸々と太った巨大な『神話級・白身魚(タラの一種)』だった。


「でかした、フェン! 海の労働の後だ。気取った繊細な刺身や、上品なカルパッチョなんて食ってる場合じゃねえ!」


 俺は、砂浜に特大の純銅鍋をセットし、神話級の極上油をたっぷりと注いで魔導コンロで熱し始めた。


「汗をかいて疲労困憊の身体が今、本能レベルで求めているのは……カロリーと塩分と酸味! つまり、油と炭水化物の圧倒的な暴力だ!!」


 巨大な白身魚を、分厚く、ステーキのような大きさに豪快に切り分ける。

 そして、神話級小麦の粉に、ポイントショップで買った『キンキンに冷えた樽生エール(ビール)』をドバドバと注ぎ込み、サックリと混ぜ合わせて特製の衣を作る。エールの炭酸が衣に気泡を作り、揚げた時に究極のザクザク感を生み出すのだ。

 分厚い白身魚の切り身を、そのエール衣にドップリとくぐらせ、高温の油の海へと一気に投下する!


 ――バチバチバチバチッ!! ジュワァァァァァァァァァッ!!!!!


「うおおおおおっ!! 揚げる音が! エールの香ばしい匂いと、魚の旨味が油の中で爆発する音が、胃袋を直接揺らすぞ!!」


 同時に、地下農場で育てていた『神話級・黄金ジャガイモ』を皮付きのまま極太の拍子木切りにし、隣の鍋で二度揚げにして、外はカリッと、中はホクホクの特製チップス(フライドポテト)を山のように揚げる。


「よし、揚がったぞ!! だが、これで完成じゃねえ!!」


 黄金色に輝く巨大なフライドフィッシュと、山盛りのチップス。

 俺はその上に、神話級の卵とピクルス、タマネギを限界まで粗く刻んで混ぜ合わせた、酸味とコクの塊である『特濃・自家製タルタルソース』を、これでもかと、親の仇のように山盛りに乗せる!

 そして、最後の仕上げだ。


「フィッシュ&チップスの真の主役はこいつだ!! イギリスの労働者の魂! 『モルトビネガー(麦芽酢)』の滝だァァァッ!!」


 俺は、麦芽を発酵させて作った、強烈でツンとくる匂いを放つ黒いビネガーの瓶を傾け、揚げたてのフィッシュとチップスの上から、ドバドバドバァァァッ!!と、ビチャビチャになるまで容赦なく回しかけた!


 ――ジュワッ……!!


「嗅げ!! この匂いを嗅げ!!」


 熱々の揚げ物の衣にビネガーが染み込んだ瞬間。

 むせ返るような、強烈で刺激的なビネガーの酸味の匂いが、揚げ油の香ばしい匂いと融合し、理性を完全に破壊する『究極のジャンクフードの香り』となって砂浜で大爆発を起こした!!


「完成だ!! 『最強農園特製・神話級フィッシュ&チップスのモルトビネガー溺れ』!! そして、氷水でキンキンに冷やした『特大ジョッキの樽生エール』!! 脳を空っぽにして、豪快にかぶりつけェェェッ!!」


 ◇


「お、おおおおおおっ……!! なんという暴力的なまでの酸味と油の匂いだ!!」


 俺たちは、砂浜の上で車座になり、顔の大きさほどもある巨大なフライドフィッシュを両手でガシッと掴み、野獣のように大きく口を開けてかぶりついた!


 ……ザクッ!!

 フワァッ……ジュワァァァァァァッ!!!!


「んんんんんんんんんッ!!!!??」


 俺の脳内ジャンクメーターが、限界を突破して完全にメルトダウンした。

 美味い!! なんだこの、一口に凝縮された圧倒的で背徳的な旨味の塊は!!!

 エールの炭酸で極限までサクサクに揚がった衣を噛み砕いた瞬間、中から、信じられないほどフワフワでホクホクの、純白の白身魚の極上の身が顔を出し、火傷しそうなほど熱い魚の旨味エキス(肉汁)が口の中に溢れ出す!

 そこに、ピクルスの酸味が効いた濃厚なタルタルソースのコクが絡みつくが……何よりも! 衣にビチャビチャに染み込んだ『モルトビネガー』の強烈でツンとくる酸味が、大量の油のしつこさを完全に中和し、信じられないほどの爽快感と旨味へと強制的に昇華させるのだ!!


「う、美味ぇぇぇぇぇぇっ!!! ザクザクの衣と、ホクホクの白身! そしてこの、むせ返るようなビネガーの酸味!! 油とマヨネーズと酢の組み合わせが、ここまで人間のDNAを狂わせるとは!!」

「はふはふっ、ザクッ! お魚が大きくて、食べごたえが抜群ですわーっ! お酢のおかげで、こんなに大きな揚げ物なのに、無限に食べられてしまいますのーっ!」

「ガツガツガツ! ポテトも最高だ! 外側はカリカリで、中は黄金の芋の甘みが詰まっている! これにも酢をドバドバかけろ!!」


 揚げ物とビネガーの強烈なコンボで、口の中が極限まで塩気と酸味と油で満たされたところで。

 俺は、ポイントショップでキンキンに冷やしておいた、特大ジョッキの樽生エール(ビール)を手に取り、喉を鳴らして一気に煽った!


 ……ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ!! プハァァァァァァァッ!!!!!


「くぅぅぅぅぅっ!!! 最高だァァァッ!! 揚げ物の油とビネガーの強烈な酸味を、冷え切ったエールの苦味と炭酸が、喉の奥へと一気に、暴力的に洗い流していく!!」


 フィッシュ&チップスをザクッと頬張り、むせるほどのビネガーの酸味を味わい、冷えたエールで豪快に流し込む。

 この『揚げ物と酢とビールの無限ループ』は、汗と泥にまみれた労働の後だからこそ味わえる、この世のすべての高級料理を凌駕する至高の快楽だった。


 ◇


 山ほどのフィッシュ&チップスを跡形もなく平らげ、空になったジョッキを砂浜に転がした俺たちは、満腹のお腹をさすりながら、すっかり夜の帳が下りた海を眺めていた。


「ふぁぁぁ……食った、飲んだ。……最高の土地と、最高の飯だ」


 俺は、波の音をBGMに、1500万ポイントを叩き込んで手に入れた、この広大な星空の下の私有地を改めて見渡した。

 背後には神話級のフルーツが実る山。目の前には、俺たちだけのトロピカル・プライベートビーチ。


「ルークス君。君の決断の豪快さにはいつも驚かされるが……確かにここは、夢のような場所だ。これから、この広大な土地をどうするつもりだい?」

「決まってるだろ、所長」


 俺は、夜風に吹かれながら、ニヤリと不敵な悪徳経営者の笑みを浮かべた。


「ここに、巨大なシーフードレストランを建てる。地下から神話級の温泉を掘り当てて、超高級スパ・リゾートホテルを建設する。……王室御用達のブランドを餌に、王都の金持ちどもを全員このビーチに呼び寄せて、骨の髄まで、口座の底が尽きるまでポイントを落とさせる『最強の食のテーマパーク』を作るんだよ!」


 1500万ポイントの巨額投資から始まった、新たなスケールのモノづくり。

 王都を飛び出したルークスたちの、1億ポイントの頂を目指す『リゾート開発編』の幕が、油とビネガーの暴力的なジャンクの匂いと、果てしないワクワク感と共に、今、高らかに開け放たれたのだった。



**【読者へのメッセージ】**

第三百二十六話、いかがでしたでしょうか!

ついに新章【海辺の巨大リゾート開発編】がスタートいたしました!


王都で稼いだ軍資金から、いきなり1500万ポイントを一括で支払って広大な荒地を大人買いするルークスの豪快さ! かつて1ポイントに泣いていた貧乏時代からは考えられない、経営者としてのスケールアップを感じていただけたかと思います。

そして、重機モードの鍬とチート農業で、荒地を一瞬にしてトロピカル・ビーチへと変貌させるDIYの爽快感!


さらに、今回の労働後飯テロは……海の男のソウルフード「神話級フィッシュ&チップス」!!

エールを混ぜたザクザクの衣に、ホクホクの巨大な白身魚。そこに山盛りのタルタルソースと、むせ返るほど強烈な酸味の『モルトビネガー』を親の仇のようにドバドバとかける!

油のしつこさをビネガーの酸味が中和し、それをキンキンに冷えた樽生エール(ビール)で喉の奥へ流し込むという、深夜に絶対に読んではいけない「悪魔の無限ループ」をお届けしました!


広大な土地を手に入れ、ここに巨大なリゾートホテルやレストランを建設していくワクワク感。

次回からは、この土地をさらに豊かにしていくためのチートDIYと、新たな海鮮飯テロが続々と登場します!

ルークスの痛快なビジネス拡大の快進撃に、引き続きご期待ください! ブックマークと評価もよろしくお願いいたします!


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