寒くなってきました 16
お昼ごはんは海辺でバーベキューすることになりました。寒いのでみんなもこもこ。火も炭火を大量に燃やしています。暖かいけど料理できるのかな?
「ケンシくん、研修明けおめでとうー!」
「ありがとうございます」
ついでに? ケンシくんのお祝いもします。お祝いにかこつけて飲むだけですけどね! ケンシくんはナオコさんやコノミちゃんにバシバシ叩かれてますね。
たれにつけた牛肉、豚肉、鶏肉を焼いていきます。魚は塩を振って水抜きします。焦げつき対策しないとね。いっぱい網があるので肉専用と魚専用、野菜、貝類で分けます。
まずは肉をつつこう。トングで焼いて焼けたら箸で取り分けます。食中毒対策。中るとヒドいですからね。アイちゃんは野菜も好きなのでピーマンかじってますね。ウサギさんですね。
「ふいっしゅおーん! 釣れましたー」
アンナさんはアジングしています。大きいアジが釣れましたね。スズちゃんが手早く解体、三枚に卸し水気をふきとり塩をまぶします。しばらくしたら塩水で流してよく水気をふきとり抜きます。網にのせます。焼けます。食べます。塩がしみてるので美味しいですね。胡椒も振りましょうか。
「アンナも食えよ。交代で釣れ」
「わっかりまーした。いたーだきまーす」
「私も釣ってみます」
「俺たちもやるぜ!」
「筋肉で釣る!」
「俺も釣ります!」
「筋肉で〜?」
「筋肉ぅ〜?」
「筋肉では釣りません」
だよね。
筋肉はさておき私も男性陣もアジングをはじめる。スズちゃんが待機。ビール飲みながら肉をつまみつつ待機。
「おさかな!」
「きたー!」
「筋肉にのった!」
「ん、きた」
「これは回遊来てまーす! 私も釣りまーす!」
「おいおい、忙しいな!」
釣れたアジはどんどんスズちゃんが仕込んでいきます。切り身を一枚もらって別のしかけで釣ります。すぐにヒット! 大きいカサゴが釣れました。もっと大きいのこないかなー。
アンナさんもまねしましたがオモリをつけてますね。遠投から底を引いてます。ヒット!
「ふいっしゅおーん!」
ヒラメです。大きい。五十センチくらいあります。
「焼きヒラメ? たしか干したヒラメを炙る料理はあったよね? 水抜きしてみるかなー」
スズちゃんも困ってますね。大きすぎて。けっきょく五枚に卸して塩で水抜きするようです。美味しそう。
「かなり水抜いたから焼けるはず」
「まったくひっつかないな」
「美味しそうですわ。ビールで!」
「寒いから熱燗飲みてえ」
「そりゃいいねえ。バアさんは飲むよ」
「筋肉〜」
「マッソ〜」
「普通に釣ってください」
うちの男衆はダメですね。釣ってるのが不思議。私とアンナさんはすっかりエサ釣りです。アンナさんの場合二刀流ですが。エサ釣りの方はオモリがあるので固定です。エサのアジはアジングで釣ってます。マジメな釣り大会になってきました。やはり料理人ができる人だと違いますね。
塩で水抜きした魚は塩水で洗って水気を拭います。焼きます。食べます。ビール。美味しい。スズちゃんも飲みながら作ってます。家ではやらないそうですよ。飲み過ぎはいけません。あのサヨリさんでも休肝日があるんですから。意味があるかはわかりません。
おっと、なんか釣れました。またタイですね。四十センチくらいです。一キロ超えてますね。スズちゃんに任せます!
大きいのが釣れたのでバーベキューに戻ります。ライム酎ハイで飲みながら食べます。たまにはいいですね、牛肉。
フライパンでニラと炒めたい。
温泉に入るので飲みすぎはいけません。ご飯食べよ。
アイちゃんと温泉に行こうとするとサヨリさんに止められました。どうやら秘湯を教えてもらえるようです!
ご飯が終わったらいつもの七人とカズコさんで秘湯に向かいます。女将さんは大将と夕ごはんの準備をしています。もうしわけない!
いったん階段を登ると一見しげみに隠れている道を通り、階段を降ります。どうやらこの先が秘湯になっているようで更衣室がありました。服を脱いでタオルを体に巻き入っていきます。
「おお、こりゃすげえ」
「海とお風呂がつながってますかー?」
海とお風呂の境界線が見えませんね。これは……。
「インフィニティ温泉だねぇ」
「知ってるんですかカズコさん!」
「そうですわ。繋がってるように見えるだけですけどね」
「雄大でーす!」
「すげえな」
「なんや海に溶けてしまいそうやなあ」
「とりあえずつかりませんか! 寒いです!」
「そ、そうだねー!」
かけ湯をして入ることにします。けっこう高温でじわりと温まります。うううーん! 傷が癒えそう!
「筋肉が成長しそう」
「たいへんアイちゃんが置物に毒されてる!」
「いい湯だねぇ」
「ふぅーい、ビール飲みてえ」
「ありますわ」
「スタッフ準備よさすぎですやろ!」
「いただきまーす」
「スズちゃん強いねぇ」
「おひつがない」
「ごはん湿るよ?」
空と海の境界線以外なにもない景色。
私たちは景色に溶け込むような時間を、ゆっくりと楽しみました。




