寒くなってきました 6
いつもありがとうございます。
突然宴会場のドアが開いたかと思うと白髪の厳しい顔つきのお爺さんが立っていました。まわりのスタッフがなにか恐縮しているようです。
「お父様? 突然どうされました?」
え? サヨリさんのお父さん? 六十代くらいに見えるけど? って光里家のトップ?!
「サヨリよおー!」
「なんですの? みなさん食事中でしてよ?」
「なんでワシも混ぜてくれんのじゃーッ!」
「うるさいからですわ」
「わ、ワシだってアカネちゃんのごはん食べたいのにぃ!」
「静かにするなら構いませんわよ」
「ホント?」
なにか面白い人みたいです。これが県内企業全部集めてもかなわない会社のトップ……。大丈夫だろうか?
「和泉のは来ておるではないか!」
「やれやれ、やかましいのがきちまったよ。道心、静かにするんだね」
「ぐぬぬ……」
「ほれ、このたれで食ってみな」
「むう、ワシは洋食は……」
「アカネちゃんが作った日本のメシさ」
「むう、ためしてみるか。玉子を……、ぬ、ぬおおおおっ!?」
「ホントうるさい爺さんだよ」
「美味い。辛子ではないか。これは和食」
「和食のくくりに入るのかね? 味変で粉チーズ」
「むう! コクが増した?!」
「アカネちゃんはイタリアン好きだからねえ」
「む、伊太利亜なのか?」
「お前はいつの時代の人だい?」
戦争も経験してませんね。戦後も怪しいです。食は混沌として日本食というジャンルになりました。
さて、私は牛スジを。ビールで、と。もぐもぐもぐ。うん、柔らかい。ごくっ、ごくっ、ごくっ、ごくっ、うーん、最高ですね! 粉チーズも。もぐもぐもぐ。ビールもあと少し。ごくっ、ごくっ、ごくっ。はぁ〜。最高。次はちくわにしましょう。ダイコンも取ろう。もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。うん! 酎ハイライムをもらいます。ごくっ、ごくっ、ごくっ。うーん、幸せ!
「可愛いのう……」
「うわあっ!」
「橋の上の挨拶トレーニング見た時から大ファンですサインください!」
「サイン?!」
適当に書いてあげました。こわい。
「一生の宝にします! 家宝として受け継ぎます!」
「お兄様もいい迷惑ですわ」
とりあえず続きを食べよう。温泉あるから飲みすぎないようにしないとね。夕ごはんも晩酌もあるし。
「やれやれ、あいかわらずうるさい爺だわい」
「カズコさんもお知り合いなんですね」
「アカネちゃん親衛隊のしたっぱじゃ」
「県内のトップがしたっぱ?!」
「パシリに使うといいですわ」
「無理ですよ?! 土下座しますが?!」
「アカネちゃんは権力に弱かったわ……」
「アカネ親衛隊のトップは言うならアカネちゃんの部下なんじゃがなぁ……」
「権力ありますわね」
さすがに無理ですが? あーもう、おでん食べよ。
「これたれに甘栗チップ入れても美味しいかもなあ」
「やってみますわ。大谷ー」
「はい、お嬢様!」
大谷さんあいかわらず使われてるなぁ。嬉しそうだけど。わんこかな?
「うまーい!!」
「わあっ、ビックリするなぁ」
「な? やかましいじゃろ?」
「口を縫いつけてやろうかしら」
あんまりかしずかれたりはしてないようです。それにしてもこんな庶民の味でいいんですかね?
「星野さん、そろそろおうどんを」
「はい! スタッフー」
それ言わないとダメなの? おでん鍋にうどんが投入された。菜箸で取り分けて食べましょう。美味しいな。トマトとうどんも合うな。
もう少し食べたいな。玉子も追加されてるし牛スジもあるし。ウインナーとダイコンとジャガイモとじゃこ天と……。グレープフルーツチューで。
「うめえなー」
「ナオコさんこっちきたの?」
「サヨリのオヤジがうるせぇ」
「あー」
「気にしないで食べるといいですわ。ここの支払いさせます」
ちなみに私にも調理費用が払われます。儲けすぎでは。
みんな食べれたかなあ?
なんかアイちゃんの専用鍋ができてるんですがまたしても幻視でしょうか。スタッフがもうひとつ鍋を持って待機しています。わんこおでんかな?
夕ごはんまではのんびりしましょうか。
また入院してしまいました。
三ヶ月ほどの予定です。




