表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
96/111

91話 御前会議

【魔人 アニタ】


あっぶネェ。


リリィが切れた時に周りにいるト、とばっちりを喰うからネェ。


リリィとスーニャが会話して、リリィが部屋を出たネェ。


私がバルコニーから部屋に戻るト、スーニャが嬉々としテ死体の首を両手に持って踊っているヨ。


「いや、踊ってません。これから処置しますから、あなたは邪魔しないでください。」

「はいはイ。」


うーん。絶対、楽しんでいるネ。


■■■


【魔人 スーニャ】


切れた首と身体をくっつけくっつけ、魔法陣を魔力で刻んで魔力を流せば、ハイ、とりあえずの処置はおしまいっと。


さて、部屋に3人のお庭番の方達が到着してますね。


お仕事中にごめんなさいね。


死体に血止めの処置は済んだので、2人のお庭番の方には彼らを地下の転送の間に案内してもらいます。


あ、大丈夫。死体の方々は自分で歩けます。首は繋げたけど、転ぶと落とすから気を付けてね。


もう一人の方にはこの部屋の掃除を頼みます。お庭番の方はあと7人が手伝いに来るはずなので皆さんで綺麗にしてね。


さて、皇帝さんと彼女さんのお二人にはこちらで並んで横になってもらおうかな。そうそう。


で、『アイテムボックス』から取り出した"魔石魂"を身体の中心に埋め込んでっと。


後は魔力を流せばいいんだけど。


これはリリィにお願いした方が扱い易いのよね。


彼女が使うんだし。


じゃあ、私も地下に行くんで、アニタ、あとよろしく。


■■■


【 ル・ゴール帝国 リリィ皇后 】


北の館に戻りました。


茶室には庭番の泥人形達が後片付けをしています。

服を脱いでいるのは汚れないためかしら。

彼らは見た目は普通の人間ですが、泥人形です。

その身体の表面から血を吸い込み、自らの栄養分とする事ができます。

ですので、8人の庭番が床に寝そべり、壁に張り付いて作業しています。


さて、皇帝の身体の準備は出来ているのかしら。


あら?スーニャがいませんね。


「アー、スーニャは下に行ったヨ。この二人にリリィの魔力を流しテ、だッテ。」

「そうですか。ありがとう、アニタ。」


横たわる二人の胸部があらわになり、そこに"魔石魂"が埋め込まれています。

泥人形の核となっている魔石よりも、より人間らしい振る舞いができる人形に用いる物です。

それに私の魔力を流します。

これで死体の記憶を引き継いだ私の意のままに動く人形の出来上がりです。


二人が目を覚まし起き上がりました。

「やぁ、リリィ。」

「奥様。」


目覚めましたね。

では、二人にはお役目を果たしていただきましょう。


■■■


【ル・ゴール帝国 領土管理局局長 トモレフ伯爵】


はぁ。なんとも頭の痛いことです。


全ての原因は骸骨ですな。

あれらが出現して以来、閑職であった我が領土管理局は超多忙な日々を送る羽目になりました。


それまでは領国の事は領主と帝国大使に任せておけば良かったのです。

納税に関しては財務局が、徴兵に関しては帝国騎士団がやっていました。


私達は帝都と領国間の手紙や荷物の遣り取りの確認(これは良くある仕事ですな)と領国間の問題解決の確認(帝国大使や領主の報告書の確認、めったにないですな)などをしていたのです。


それが、です。

いまや帝国西側の3領国(ノールデア、フェンクル、キステード)は領主行方不明、帝国大使行方不明。

ノールデアは商業ギルドの平民が領主代行を自称して動いたお陰で安定していますが、他の2領は領主の兄弟や息子達が主導権を争い、我々に調停を申し込んできております。

我々は前代未聞の事に過去の記録や前任の帝国大使らに意見を聞いたりしております。

そこへ、皇帝陛下の御前会議で5大公爵家の一つ、ディアン家にノールデア領領主を任せるという発表があったのです。


帝国史上初の栄誉。

一部では帝都からの追放、などの噂話も飛び交いますが、その準備作業をする私達には関係の無いことです。

一大事であります。

ディアン家は5大公爵家の末席と揶揄されていますが、それでも公爵家。

帝国直轄領内にご自身の管理領地を持っておられる。

それが、領主としての赴任であります。


赴任先であるノールデア領への通知。

ディアン家との赴任日程、随行人数、馬車の台数、旅程中の宿と食事の手配、その他諸々。

ディアン家管理領地の後任者の選定。それが決まれば、その家の者との同様の各種準備作業。


そこへ、さらに。

フェンクル領領主がディアン家に、キステード領領主がグローバー家に決まりました。

しかも「領主代行は領都商業ギルド長に任せる」との付記もあります。


我々は他局へ臨時局員派遣要請をしてしまう程に多忙となりました。


それらの合間にもキステード領、シロンクス領、バルバサ領、ロイセン領という北方騎士団城砦都市の兵站支援を担当している領国からの問い合わせが続きます。

本来であれば帝国騎士団司令部に廻す問い合わせですが、その帝国騎士団の敗北や全滅した事への問い合わせですから、私達も取り扱いに困っております。

帝都内でも西方騎士団の全滅は公式発表されないまま既に全員が知っているような状態です。

このままでは他の領国にも帝国騎士団の窮状が知れ渡る事でしょう。

いえ、既に領主の間では情報が行き交っているのではないでしょうか。


ああ、そんな多忙な今日の夕方、もうすぐ日暮れという時間に御前会議緊急開催の報せが届きました。

局長の私は上層部局員と共に急ぎ城内の中央本会議場へ向かいます。

今度は何が起きるのでしょうか。



中央本会議場に着くと既に8割以上の席が埋まっていました。

私達は急いで領土管理局の席に着きます。


他に空いている席は帝国騎士団司令部の席です。

彼らが遅いのはいつもの事です。


パーーパッパパーー♪

扉番がラッパを吹けば皇帝陛下のご到着です。

大臣を始めとする全員が起立して皇帝陛下をお迎えします。


皇帝陛下がご入室されます。

おや、今日は皇后様もご一緒です。これは珍しい。

さらにメイド一人が続き、庭師のような服装の男達が手に布に包まれた物を持って入ってきました。


皇帝陛下と皇后様が壇上の御座にご着席なさいました。

内務大臣の公爵が進み出てご挨拶なされます。

「皇帝陛下。皇后様。我らお召しにより参集いたしましてございます。」

「うむ。余より皆に話しておくべき事がある。」

「お話、でございますか。」

「まずは皆、着席せよ。」


内務大臣が席に戻り、全員が着席します。

おや、帝国騎士団司令部は空席のままです。

さらに皇帝陛下の周囲の壁際に立っているはずの近衛騎士の姿がありません。


皇帝陛下がご起立されました。

「皆も知っておろう。ル・ゴール帝国は今、存亡の危機にある。」


室内の空気がざわりと揺れました。

「そう、骸骨の集団だ。これの対処を誤ったばかりに我が帝国騎士団は西方騎士団を失い、東方騎士団の半数を失った。さらに北方騎士団第三軍が全滅し、そして今、第一軍と第二軍が骸骨と戦っている。だが、すでに半数の騎士を失っておる。」


室内が騒がしくなりました。私もそこまでの被害が出ているとは知りませんでした。

「骸骨に勝ったとしても帝国騎士団の再建には十数年の歳月が必要となる。ゆえに、余は帝国騎士団指令部に対し責任を取るように命じた。」


その言葉と共に庭師の姿をした男達が陛下の前に横並びになりました。そして、手にした荷物の覆い布を取ります。そこに帝国騎士団司令部の方々の首が現れました。

彼らはその首を床に投げ捨てると元の位置に戻りました。

次にメイドが出てきました。

顔を黒いヴェールで隠しています。

彼女の手には一振りの剣があります。

陛下が段を降りて、メイドが捧げ持つ剣を鞘から抜きました。


メイドが下がり、陛下の横に皇后様が並びます。

ああ、一体何をなされるのか。

これから起こる事を想像して室内が静まります。


「彼らは責任を取った。余も責任を取る。我、ブルックナー=グローバーはル・ゴール皇帝を退位する。これよりはル・ゴール帝国はファルゴ=グローバー=ゴール皇帝の物だ。」

それが、皇帝陛下の最後の言葉です。

皇帝陛下は皇后様の首を()ね、自らの首を落としました。


ああ。

私は頭を抱えました。

これまで準備してきた仕事は全て中止です。

皇帝崩御と新皇帝戴冠式の日取りを各領主と帝国大使達に伝えなければなりません。

帝都での彼らの滞在先の確認と、こちらが用意するべき物の確認も必要です。

彼らが帝都に集えば会合や茶会を開くことでしょう。

それらにも人員を配置せねば。

各担当部局の者達との調整事項は山の様にあります。


これから成すべき雑多な仕事を思い浮かべると、何とも頭が痛いことです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ