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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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88話 トーマス王子

【 ル・ゴール帝国 トーマス王子 】


はじめまして。

トーマスと申します。


父はル・ゴール帝国皇太子ファルゴ=グローバー。

母はエリーザ妃。


そう、僕は未来のル・ゴール帝国皇帝です。


そして、ですね。

これは内緒なんですが。

僕には、なんと、前世の記憶があります。


すごいでしょ。


なんと、前世では、僕、"魔王"だったんです。


驚きました?


ぼくは最初はびっくりしました。

だけどすぐに分かりました。

ああ、僕は魔王だった。


でも、きちんとした記憶が出てこないんです。

詳しい記憶とぼやけた記憶があって。

うーん。まだ赤ちゃんだからかな。



最初の記憶は、身体の中を駆け巡る"熱"です。


「ああ、これは魔力だ」ってすぐに気付きました。

でも魔力ってなんだろう?

あれ?僕、何でこんなに考えているんだろう?

そして、頭の中に前世のいろいろな事が思い浮かんでは消えて、なんか凄い夢を見ている様で。


びっくりして「おぎゃあ」って叫んでしまいました。


そしたら、お爺様、あっ、お爺様はル・ゴール帝国皇帝陛下です。

お爺様が、慌てた顔で覗き込んできて「トーマス起きたのか?どうした、お腹がすいたのか?」って心配そうに聞いてきます。


「違うよ。前世の記憶が蘇ったの!」って言いたかったんだけど、泣いた勢いが止まらず泣き続けてしまいました。


そしたらエリーザ母様がベッドから抱き起こしてくれて「あらあら。さっきはご機嫌だったのに、寝起きは調子悪いのね。」って、あやしてくれるんです。

僕、母様に抱かれるのが大好きなんです。

その理由がわかりました。

僕と母様の体内魔力の波長が合うんです。

親子ですからね。


だから、泣き止んだ僕は言ったんです。

(母様。僕、夢を見ました。僕、前世で魔王だったんです。)

あっ、口と舌がまだ上手く動かせなかったので実際に声に出たのは「あうー。あうああー。」でした。


母様は僕をあやすのを止めて、目を大きく開いて僕を見ました。

「・・・トーマス。今、なんて言ったの?」


発音が不明瞭なのは仕方ないので、怒らないでください。

僕はもう一度言いました。

(えっと、夢のお話です。母様。僕、前世は魔王だったんです。)

「あうー。あうああー。あー。」


その部屋にはエリーザ母様とお爺様とお婆様がいました。

あっ、お婆様は「お婆様」と呼ばれるのがお嫌でした。リリィ皇后様です。


「これは『思念通話』スキルか?頭では言葉を理解しているのか?」

「トーマス。素晴らしいですわ。」

そのお爺様とリリィ皇后様が、大慌てで詰め寄ってきて、僕をじろじろ見てきて、質問攻めにしました。

魔力とか、記憶とか、天才とか、いろいろ言われましたが、最後に母様から言われたのです。


「これは母との秘密です。トーマス、母とお爺様とリリィ様、私たち以外とお話しはしないように。」

(わかりました、母様。あのぅ、お父様とは駄目なのですか?)

「そうですね。3歳までお待ちなさい。」

(わかりました。)


いつの間にか身体の中の"熱"も治まっていました。


ですけど、一度思い出した記憶は消えません。

記憶を思い出しては魔法で遊んでみました。

ただ、身体はまだまだ生後半年の赤ちゃんです。

僕がいるのはベッドの中。

水魔法でびしょびしょになり、火魔法で布団が焦げて、魔法は禁止になりました。

2歳になったら魔法の勉強を始めるので、それまでは禁止されてしまいました。

これは少し残念でしたけど、母様との約束です。



その日から母様とお爺様とリリィ皇后様とたくさんお話ししました。


お爺様とは今の帝国の状況や公爵様や侯爵様のお名前や人となりを教えてもらいました。

5歳のお披露目までは外に出掛けていけないので、早く大きくなりたいと思いました。


母様とリリィ皇后様は前世の魔王だった頃の話を聞きたがりましたが、僕が「闇魔法が得意で幽鬼を呼び出して使役していた」と言ってからは、その話はしなくなりました。


■■■


【 ル・ゴール帝国 リリィ皇后 】


今日も皇帝はトーマスと話しています。

今日の会話のテーマは帝国内の地理のようで、板に貼り付けた地図をベッド脇に立て掛けて説明しています。

微笑ましいこと。


私とエリーザ妃はテーブルに座って微笑みながら紅茶を愉しんでいます。

ですが、(エリーザ)との『思念通話』の内容は少しだけ深刻です。


(つまり、トーマスはあの男(・・・)の生まれ変わりなのね。)

(闇魔法が得意で、幽鬼を呼び出して、"魔王"と呼ばれていたのよ。そうとしか思えないわよ。)

(あれから何年経つのかしら。)

(300年ぐらいじゃない?)


300年前。

当時ル・ゴール王国に潜入していた私とエリーザは王族に接近することに成功し、エリーザは第二王子の愛人となっていました。

その王子の野望が、南方10ケ国連盟の統一。

その頃の連盟の結束は強く、人々は魔獣の脅威を脅威と感じない程度に対応できていましたね。

これには私たちの、いえ、スーニャの怠慢が原因ですね。


連盟の中でル・ゴール王国は第一位の主席国家ではありましたけど、各国家の力も強まり、中でもトーレウス聖王国が勢力を伸ばしていました。

そのトーレウス聖王国を潰す。

各国も弱体化させる。

そしてル・ゴール王国が全てを支配する。


力の無い者が言えば、単なる妄想。

でも、彼は第二王子。

そして、そばには私達がいました。


魔王と離れて自由気ままに楽しんでいた私達の中には倦怠感があったのだと思います。

もっと刺激的な事、もっと面白い事、もっと楽しい事がしたい。

そう、もっとたくさんの人間どもの悲鳴が聞きたい。

彼の望みは私達の望みとなりました。


私達5人は久し振りに顔を合わせ、計画を練りました。


そして、アニタが一人の男を見つけました。

魔力が強く若い男。

好きな女と暮らす男。

トーレウス聖王国魔導士団の幹部の男。


アニタが女を殺した。

絶望した男に私とエリーザが接触した。

メリッサが男の魔力を増幅した。


男は"幽界の門"を開いた。

死んだ者の魂の向かう先。

神霊界と繋がる通り道。

冥界と繋がる抜け穴。


男は女の魂を求めた。

"幽界の門"を通り、探し求めた。


男の身体は異形となり、多くの幽鬼が"幽界の門"から溢れた。


私達はトーレウス聖王国を離れました。


その後は人間共の戦いを愉しみました。


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