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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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79話 魔導馬車突撃

街壁上に火の手が上がり、北西の角にある監視塔が燃え上がった。


夜明け前に城砦都市に移動していた侵入部隊が仕事をしている。


ダークの『暗闇』に紛れていつものムーブとインビジーの18人に加えて、元第一軍団で城砦都市内部に詳しいリッターとレクターが参加している。

彼らは日の出と同時に北門内に侵入し、ムーブが周辺の騎士の相手をしつつ北門を開き仲間を引き込む。

ムーブの剣技が上達したのと、敵の人数が予想より少なかったおかげで、問題なく侵入する事ができたようだ。


その後はリッターとレクターが先導する形で街壁上まで階段を登り、街壁上の帝国騎士を駆逐していく。

二人の魔技も戦いを重ねることで威力が増しているようだ。


■■■


【ル・ゴール帝国北方騎士団 騎士団長ブキャナン=グローバー】


エドワードが骸骨侵入の報を告げて階段を降りて行く。


我々も南西監視所への移動の為に席を立った。


最初に階段を降りたのは参謀の一人だ。

その彼が階段の途中で炎に包まれた。

熱風が監視所内に吹き込む。


「閣下!失礼します!」

私の従兵の一人、ダニエル=ランドルフが私の身体にしがみつくと、そのまま窓から身を投げた。

私の身体は宙に浮き、飛び出した窓からは炎が噴き出した。


私はランドルフに抱えられたまま、地面へと落ちていく。

人間の持つスキルに空を飛ぶスキルはない。

このまま落ちるのか。

耳元に風の音とランドルフの大声が飛び込んでくる。


「風よ、我が元に集い我を支えよ!暴風と成りて我が身を支えよ!風よ、吹けぇぇぇー!!」


バフゥゥウゥゥ


突如、下方からの強烈な風が吹き上がり、私の身体が浮き上がるように感じる。

すぐに風は止んだ。

だが、もう落ちる事はなかった。

私とランドルフは地面に倒れていた。


「閣下、ご無事ですか。」

「無事じゃ。今のはお主の魔法か?ランドルフ。」

「そうです。子供の頃はこの風を使って、家の屋根や木の上から飛んでいました。」

「そうか。役に立ったの。」

「はい。では、閣下、参りましょう。」

「うむ。」


周りを見れば、城砦都市の外だ。西門前に第二大隊の騎士の姿が見える。私と従兵はそちらに向けて歩き出した。


■■■


【北方騎士団第二軍 軍団長ハーツ=ホルト 】


くそ、見通しが利かない。

なんで平原に来てまで、こんな視界の悪い場所で戦うのだ。


私の頭の中は第一軍城砦都市到着以来、この考えで占められていた。


まったく、こんな下らん事を考えるのは頭の固いゲールマン家の馬鹿参謀に決まっている。

参謀長も若いひよっ子だ。

聞けば、第一軍軍団長のファルゴ王子の友人だという。

まったく、第一軍はいつからこんな軟弱になったのだ。

よくブキャナン殿が許したものよ。


「ハーツ軍団長、敵騎兵隊接近中、との報告が街壁上から来ました。」

「おーし、お前ら、骸骨共を叩き潰すぞ!」

「はっ。」

「アイスの第二大隊が頭を抑える。フランクの第三大隊は外側から骸骨を抑えろ。領国騎士団はさらに大外を廻って骸骨の尻を抑える。コールマンの第一大隊はアイスの後詰めだ。予定通り動けよ。よし、行け。」

「はっ。」

隊長どもが走り出す。

さて、骸骨どもは素直に突っ込んで来るのか?それとも空っぽの頭で策を練っているのか。


■■■


【 骸骨 メリッサ 】


「とーつげきーー!!」


シグス隊長さんの騎馬隊を追い越して2台の魔導馬車が先頭に出る。


「太っちょアックス」の魔導馬車に乗る私は、私のスキル『魔力操作』を使って魔導馬車の前面に衝角型の魔力防壁を造っている。

魔導馬車の動力魔法陣にも細工して、馬力も強化してるから、土魔法で作られた障害物なんて問題なく吹き飛ばす。


もちろん私達の横を走る「クリストファーじいさん」の魔導馬車も同じ。

燃料となる魔力は鬼の泥人形から集めた魔石を大量に積んでいるから問題ない。


私たちが障害物を破壊して、後ろに続くシグス隊長たちの通り道を作る。

さあ、行くよぉ!


ドゴゴゴゴゴオオォォォォォォ。


まだまだ行くよぉ!


ドゴゴゴゴゴオオォォォォォォ。

「うわぁぁぁ。」


あっ、相手の騎士さんたちがいる場所まで来たね。

じゃあ、スライムさんよろしくー!

紫色のガスを噴出しつつ、真っ直ぐ突き進めー!!


ブシュゥゥゥゥゥ。

「うわぁぁぁ。」


あははは、楽しいねー。


■■■


【北方騎士団第二軍第一大隊 大隊長コールマン=ホルト】


一体何が起きているのだ。


前方の第二大隊からは悲鳴と共に紫色の(もや)が広がってきた。

その紫色のもやの中では倒れる帝国騎士の姿があり、こちら側に向かってくる悲鳴には衝突音のような鈍い音が混じって近付いてくる。

「防御陣急げ!」

「耐毒防御魔法を掛けろ!」

「来るぞ!」


騎士達の声が響き、それが現れた。

何だあれは?


金属製の大型の槍先を前方に付けた2台の馬車。

牽き馬はいない。

馬車の車輪が青色の魔法陣の輝きを放ち回転している。

あれは魔導馬車だ。

だが、馬車といっても4つの車輪が付いている事だけが一緒だ。

壁も天井もない車体には骸骨が座る椅子だけが付いている。


そこに一人の女性が乗っている。

水色の肌をした水色の長い髪をなびかせた、その身体のいたる所に大きな瞳があり、周囲をギョロギョロと見回している!

あれは魔物なのか!?

その女性の周囲から紫色のもやが噴き出し、毒を巻き散らかしている。


馬車の行く手に居た騎士達が跳ね飛ばされ宙を舞う。

耐毒防御魔法を掛けたはずの騎士達が次々と倒れていく。


その馬車は立ち止まる事無く、我々の陣を突き抜けて行った。


後に残ったのは倒れた騎士達の身体と紫色のもやだ。


そこに骸骨馬の蹄の音が大きく鳴り響く。


完全に先手を取られて形勢不利な状況となった。


これは厄介だ。


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