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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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76話 2日目の密会

夜になった。


今夜のシグス達は部隊行動ではなく、剣技や槍術の向上に努めている。

小鬼たちとの戦闘でこちらの損害も少なからず有ったからな。乱戦だと損傷の可能性は高まる。


我々骸骨軍団の中で唯一、回復魔法を使えるライファノンは、最近複数の骸骨を同時に癒せるようになった。

おかげで朝を待たずに回復する骸骨が増えた。

いい事だ。


メリッサには装備の確認をしてもらっているが、帝国騎士団の装備には元々魔法陣が仕組まれているので、それの強化になるようだ。

鎧なら斬撃耐性、破壊耐性。剣は重量軽減、切れ味保持など。

領国の装備も魔法陣の数は少なく効果も低いが、それらを強化できるそうだ。

俺が望んだ魔法防御は盾に備わっているようだ。

望みの性能の武具を揃えるには無垢の武具への仕込みが必要だが、それが出来るのは『魔法付与』のスキル持ちだろう。

つまり帝国内の鍛冶屋を探すべきだな。

いや、帝国を屈服させ装備を作成させるか。


そんな中、第一軍城砦都市からの客が来た。

どうやら、俺に話があるようだ。



さて、騎士団長自らが俺に渡しに来た「約束」の書かれた書状だが、俺はガーギウス大使やルー伯爵ら屍人の皆に集まってもらった。

あ、メリッサも一緒だ。彼女は元魔人だからな、魔人側の意見も聞きたい。

屍人は会話ができるが、骸骨のメリッサが加わるので、『意思疎通』の技能で会話を行う。

屍人の熟成が進んだことで、長い会話は大変だしな。話の途中で顎が落ちても困るだろう。


書状に書かれている約束は次の2点だ。


一つ。骸骨の勢力はこの地より西側を骸骨領とし、これをル・ゴール帝国は認める。

一つ。骸骨の勢力は骸骨領より南側への侵攻を行わない。ル・ゴール帝国とはこの地にて戦闘行為を行う。但し、双方供に相手を全滅させる事無く、この戦闘行為を永劫に行うものとする。


署名は「ル・ゴール帝国 皇弟ブキャナン=グローバー」。

騎士団長は皇帝の弟だったか。


「では、この内容について、我々の対応を協議したい。まずはメリッサ。帝国はこの約束を魔人側としていたそうだが、知っているか?」

「知らない。何これ。じゃあ、今までの戦いは一体・・・。誰が・・・。リリィ?いつから?どうして?なんで?」

「そうか、わかった。メリッサ、落ち着くまで、考えていていいぞ。では、ガーギウス大使、どう思う。」

「目的が分かりません。帝国は魔物と長きに渡り戦ってきました。それは魔物を滅ぼす為のはずです。」

「そうだな。皆も同じ意見か。」

ルー伯爵、ノールデア侯爵、シーム伯爵、フェンクル侯爵、キステート侯爵、皆が頷く。

ガーギウス大使は帝国生まれ帝国育ちだが、ルー伯爵達は領国の生まれ、かつて領国が独立国だった頃の王侯貴族の末裔だ。

帝国内部の秘密事は知る由もないな。


「なぜ帝国はこのような約束を。」

フェンクル侯爵の問いももっともだ。


そこにドラゴが来た。

彼はドラゴ=ディアン。帝国5大公爵家のひとつ、ディアン公爵家に連なる者だった。


「マスター。それ、知ってる。話す。」

「聞こう。」

「父、話した。戦い、終わる、帝国、なくなる。だから、戦い、終わらない。帝国、続く。」

「なるほど。戦いが続く限り帝国も続く。戦いが終われば、18の領国は国として独立し、帝国はなくなるのか。」

「そのような事が。」

「驚きました。では、マスター。どのようにご対応なさるのですか。」

「そうだな。」


誘いに乗れば、この地に留まり幾年もの戦いの日々となる。

相手は帝国騎士だから、骸骨軍団は日々、少しずつだが増員されるだろう。


誘いを断れば、どうか。

我々は帝国北方騎士団と戦い、彼らを仲間にする。

その後は、人間の戦士、騎士を求めて大陸北方へ向かうのか、隣の大陸へ向かうことにもなるのか。

我々は彷徨い歩くことになるのだろう。


俺は皆に伝え、皆は解散した。



夜が明けたが、今朝は小鬼どもが「城」から出てこなかった。


シグス配下の部隊が「城」へ様子を見に行ったが、内部には何も無く、誰もいなかった。

地下へと続く階段は存在せず、消されていた。

おそらく昨日の戦いが総力戦であったならば、敵の魔物は出尽くしたのだろう。

そして、それを作り出していた魔人スーニャと暗殺にきた魔人アニタは姿を隠した。

メリッサは行方を知りたがるだろうが、俺としては現時点で彼女らを積極的に追う気はない。



夜。


今夜は我々が先に昨夜の会談場所に来ている。

もっとも、ダークの『暗闇』に包まれているので、帝国側からは視認されないだろう。

ただし、この状態を保つためにディエゴの『魔法吸収壁』は発動していない。

魔法攻撃が飛んできたら危険な状態なのだ。


既に城砦都市から近付いて来る人間は視認している。

ブキャナン=グローバー騎士団長だ。


彼が近付いたので、ダークが『暗闇』を解除し、我々の姿が視認できるようになった。

彼はその場で足を止めた。


「こんばんわ、骸骨殿。」

「うむ。早速だが、こちらをお返ししよう。」

ダークが昨夜渡された書状を騎士団長に渡す。彼はそれを読んだ。この闇の中でもきちんと見えるようだ。


「骸骨殿。そちらの要求が書かれていないようだが。」

「そうだ。我々は約束はしない。」

「そうか。それは残念だ。」

「戦いは5日後の日の出だ。」

「そうか。戦いは避けられぬか。」

「そうだ。我々が求めているのは戦士の魂だ。我々が勝てば帝国は滅ぶ。帝国騎士諸君には是非全力で戦っていただきたい。」

「なんと。くっくっくっ、それが骸骨殿の要求か。」

「そうだな。では、一つ約束もしよう。」

「ほう。聞かせてくれ。骸骨は我々に何を約束するのだ。」

「戦いに敗れ命を落とすことを恐れなくても良い。その魂は我が下僕となり、魔王を打ち倒すための戦いに参加するのだ。」

「魔王。魔王を打ち倒す?それが、骸骨の目的、なのか。」

「そうだ。」

「だが、この地に魔王はおらん。魔人だけじゃ。」

「そうだな。だが存在はしている。だから探すのだ。」

「探す?どこを?」

「騎士団長殿。話は以上だ。」

「そうか。」


彼は去った。

我々骸骨軍団の今後の行動が気になる様だが、大丈夫。

貴様もすぐに我々の仲間となる。


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