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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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73話 北方騎士団騎士団長ブキャナン=グローバー

【ル・ゴール帝国北方騎士団 騎士団長ブキャナン=グローバー】



「魔人城に動きあり。」


日の出と供に目覚めていた私の着替えも終わらぬうちに、見張り番からの報告が入った。


まぁ、昨日の骸骨どもの蛮行を知れば、あの女どもも対処に動くだろう。


私が従兵2名と供に北西監視所に登ると、既に司令部の面々が揃っていた。

若いのに、関心である。


「おはようございます、叔父上。」

「おはよう、ファルゴ。どうじゃ。」

「はっ。魔人城からは鬼どもが続々と現れております。対する骸骨どもも夜間に部隊が散開しておりましたが、今は中央の廃墟村で陣容を整えております。」

「そうか。」


私はファルゴから望遠筒を受け取り、監視窓から遠方を見る。

だが、さすがに遠方過ぎて、望遠筒でも詳細はわからない。


分かるのは、骸骨側が両翼に騎乗兵を配置している様子と、対する鬼どもは中央に縦陣を敷いている様子だ。


さて、どうなるか。


望遠筒から目を離し、遠くに映る戦場を眺める。



約500年前。

この地に魔人どもが飛来し、この地の王国を滅ぼした。

それ以来続く戦いだが、この戦場は、すでに戦場では無い。


300年前。

初代ゴール皇帝と魔人の女の取り交わした約定による馴れ合い。

ル・ゴール帝国存続の為に無くてはならない敵の存在。


中央森林地帯には魔物が現れるが、それは500年以上前も同じだ。

その魔物の脅威に対し、人間は対抗できていた。


魔人の生み出す魔物。

これが脅威の存在だったのだ。

そのために人々は国を越えて団結し、その結果、ル・ゴール帝国を築いた。

人々は魔物を退け、とうとう魔王を倒すに到った。


敵がいなくなればどうなる?

そうなれば、ル・ゴール帝国は解体され、元の国家乱立の世に戻る。


それを恐れた初代皇帝は魔人の女と約定を結んだ。


魔人の魔物は全滅させない。

魔人の魔物は南側に攻め込まない。

そして、永劫に戦い続ける。


そう、日々の戦いも、数十年おきに発生する魔物の大発生も。

全ては定められた物だ。


20年前の魔物の大発生もそうだ。

その時の私は若く、何も知らないままに一心不乱に戦った。

今は、裏の事情を知ってしまえば、何も慌てることはないのだ。


戦いの詳細は未知数だ。

誰が死んで、誰が生き残るのか、それはわからない。


しかし、戦いが続くことは決まっている。

魔人が勝つこともない。

我々が勝つこともない。


そこに、骸骨の集団が現れた。

帝国領国内に出現したこの魔物の集団は、どうやら魔人の女どもの支配化ではない。

自然発生したものだ。

これは魔人の女どもにも不測の事態だろう。

そして、どうやら、骸骨どもは強い。


敵がいなくなればどうなる?


私は取るべき行動を考え始めた。



骸骨の両翼に動きがあり、鬼の群れに突撃する光が見えた。

鬼どもは骸骨の侵入に抵抗できず、群れが分断されていく。



もし、この戦いで鬼どもが負ければ、魔人側には骸骨に勝つ手段が無いことになる。

それは、我々が骸骨に勝ったとしても、魔人側に力が無いことを兵たちが知ることになる。

敵がいなくなる。

その先に待つのは、帝国の滅亡だ。


まさか、鬼どもを応援する日が来ようとは。

しかし、その願いはどうやら叶わないようだ。


ああ、恐ろしい。

恐ろしい考えが浮かんでしまった。


鬼が居なくなり、骸骨が残る。

あの骸骨は鬼の変わりにならないか。


あの特使の骸骨。

奴に交渉はできるのだろうか。


我らの敵となって、永劫に戦って欲しい。


あの骸骨は我らの敵だ。


あの骸骨は既に第三軍を破っている。


我々第一軍と第二軍も破るだろう。


それを、待ってくれるだろうか。


我々は、その為に、何を差し出せるのか。


■■■


小鬼どもとの戦闘は一方的であったが、数が多いので時間だけが掛かった。

俺を狙った魔人の再訪もなく、時は過ぎ、昼までには終わった。

残念なのは、小鬼どもを倒しても魂が手に入らない事だ。


骸骨軍団は戦場の後片付けとして、負傷した骸骨の骨集めだ。

ついでに相手の武器も拾い集め、それを「城」の近くに積み上げた。

このまま「城」を攻め落とす事もできるだろうが、骸骨軍団の良い練習相手にもなる。

魔人達には、次の機会を与えよう。


そうして、我々は廃村の拠点に戻った。

負傷した骸骨たちはここで1日養生してもらう。

骸骨大砂百足たちは良い寝床ができたようで、地上には小型の2匹だけが残り、他は地下で寛いでいるようだ。

いや、地上にはもう1匹いたな。

平原の南側に腐肉大砂百足の姿が見える。

別働隊が来たようだ。



別働隊には我々の山脈越えから先ほどまでの小鬼どもとの戦いについて簡単に説明した。

彼らの峠越えには大きなトラブルもなく、ここまで順調に着いたそうだ。


ただ、第一軍城砦都市の西側を通る時に、城砦都市に入る長い馬車の連なりを見たという。

おそらく、魔導列車という帝国の輸送手段だろう。


骸骨騎士100人と骸骨剣士200人はすぐにシグス達に合流して訓練に参加している。

屍人の皆は廃村内を見学中だ。


腐肉喰い丸スライムを身体代わりにしているメリッサは捕まえた。

いろいろ聞きたいからな。

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