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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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64話 第二軍城砦都市へ

「マスター。どうだ?」

「メリッサ、か。」

走り去ったメリッサが戻ってきた。

その姿は、全身水色の女性だ。

顔の造作は魔力の泉で見たメリッサの顔だ。

長い髪の毛も身に付けた衣服も表現されている。

但し、全部がスライムの水色だ。

質感はなめらかで光沢がある。

触れると丸スライムのようにポヨンと反発することだろう。


「綺麗な女性の姿をしている。どうなっているんだ?」

「丸スライム、協力、した。」

「そうか。16匹いたが、何匹が協力しているんだ?」

「全部。」

「そうか。仲良くなったんだな。」

「うん。シーカーも。」

「そうか。丸スライムには腐肉喰いの仕事があるのだが。」

「大丈夫。」

そう言うと紫色のもやがメリッサの身体から噴き出した。


「わかった。問題ないなら良い。」

「うん。」


そう言うと紫色のもやの中から彼女は去った。

紫色のもやの中に俺とディエゴが残された。


腐肉喰い丸スライムは身体の変形ができたんだな。いや、跳ね回っている時には伸び縮みしていたが、あの様な細かな造形の擬態ができるとは。これはメリッサの『魔力操作』のスキルの影響もあるのか。

しかし、彼女の去り際。振り返った彼女の背中には一つの目が付いていた。

あれは腐肉喰い丸スライムの目だな。

普段は閉じているのか。

あの状態で全ての丸スライムが目を開けたら、ひどい絵面になるな。

テラーの『恐怖』なみの影響を与えそうだ。



翌朝。

日の出から数時間後に骸骨大砂百足たちが戻ってきた。


では、そろそろ東へ、第二軍の城砦都市へ行くとしよう。

進路はここより草原と森を通って行くこともできるが、森の中は骸骨馬も馬車も通り難い。

なので南の第三軍城砦都市を経由して街道を通ることにする。


■■■


【帝国軍北方騎士団第三軍 鉄騎部隊クロウ】


早朝。

大砂百足の群れが出城(でじろ)に現れた。


ほどなくして出城(でじろ)の正門が開き6台の馬車が出てきた。

1台は普通の幌馬車、3台は豪華な貴族用の馬車、2台は車体に壁と屋根の無い骸骨が1体座っているだけの馬車。

どれも4頭の骸骨馬が牽いている。


あの馬車に乗っている者が骸骨達が守っていた者か。

あれが出てきたという事は、骸骨どもは移動する気だ。


俺とステファンは魔道二輪車に跨った。

ステファンの後席はドウアンの席だが、彼はまだ紙片に情報を書いている。

問題は骸骨の進行方向だ。

俺は望遠筒を覗き見て状況をドウアンに伝える。


馬車は出城(でじろ)の坂道を下ってくる。


それとは別に白マントの骸骨とその他の骸骨どもが石階段を降りてきている。

全身が青く染まった髪の長い女性の姿も見える。

彼女は誰だ?

昨日の、あの骸骨なのだろうか?


俺たちはじっと骸骨どもの様子を伺い、奴らの動きを待った。

後は奴らの進行方向だけだ。

北か東かそれとも、南なのか。


大砂百足の群れが動き出した。

こっちに来る!

奴らの進行方向は南だ!


ドウアンがそれを紙片に書き込み、伝書鳩の通信筒に入れた。

伝書鳩が飛び立ち、ドウアンはステファンの後席に座った。

俺たちは走り出した。

大砂百足との距離は300m程しか離れていない。


俺とステファンは魔道二輪車の駆動用魔石に体内魔力を総動員した。魔道二輪車が急加速する。


カサカサカサカサ


大砂百足の足音が背後に迫り、進行方向の大地に影が落ちる。


ドゴゥ!!


「うわぁぁ!」

「ぎゃあぁぁ!」


ステファンの魔道二輪車の上に大砂百足の身体が落ちる。

だが、俺の方の影は消えていない。

足音も聞こえる。

俺の頭上に、もう一匹いる!


バクン。

ドォオン。

バキッゴキッメキメキィ。


喰われた。

俺の乗っていた魔道二輪車が大砂百足の顎に挟まれ砕ける。

同時に俺の左腕も噛み千切られた。

激しい痛みが走る。


「ガッァア!」

痛すぎて声がでない。

俺の身体は放り出されたようだ。

ここは、大砂百足の体内か。

宙に浮いている。


ドゴォ!


俺の身体は硬い壁に当たり、背中に激しい痛みを覚えた。

だがすぐに宙に浮き上がり、腐った肉のような物に当たり、細かい石の様な物に当たった。

常に動いている。

上下左右に揺り動き、一箇所に留まらない。

俺の体の周囲にはたくさんの物体があり、それらと共に揺さぶられる。


ドゴッ。


くそっ。大きな塊にぶつかった。

このままではまずい。

いずれ頭に硬いものが当たれば死んでしまう。


ドゴォ。


今度は硬い壁だ。

再び激しい痛みが、今度は両足に走った。

これは大砂百足の殻だ。

これを捕まえれば、体が固定できるか。

そう思った時には、もう俺の体は宙に浮いている。

そして次の障害物に当たる。

宙に浮き、障害物に当たり、宙に浮き、障害物に当たり、宙に浮き・・・。



第二軍城砦都市に駐留している第三軍第三大隊大隊長フランク=ホルトは偵察部隊からの報告を受けた。

彼は即座に撤退を命じ、第三大隊を東門から脱出させた。


東門から石階段の先を見れば、遠く北の地平に骸骨軍団の影が見えた。


「奴等は城砦都市とそこに暮らす非戦闘員には手出ししない。」


第三軍の残した最後の戦いの情報を得たフランクは第二軍城砦都市へと大隊を進めた。


■■■


出発直後に骸骨大砂百足が人間を見つけた。

先頭の2匹が速度を上げて人間に喰いつく。


俺は「吸魂」したが魂が出てこない。

おそらく、骸骨大砂百足の腹の中でしばらくは生きているのだろう。


3人の魂を「吸魂」するには10分程かかった。


彼らの記憶に拠れば、第三軍城砦都市には第二軍第三大隊が遠征に来ている、という。

これは予想していなかった展開だ。


我々骸骨部隊は前回の様に城砦都市の北側に布陣し、再びガーギウス大使に特使として城砦都市に行ってもらった。


だが、一足遅く、彼らは東の第二軍城砦都市に移動したようだ。


ならば、我々も行くとしよう。


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