58話 第二軍軍団長ハーツ=ホルト
【 ル・ゴール帝国北方騎士団第二軍 】
第2軍軍団長 ハーツ=ホルト
参謀長 ダスティン=ホルト
城砦都市防衛隊 隊長 ダグラス=ホルト(1000)
大隊長1 コールマン=ホルト (2000):20年前の大侵攻経験者。シグスとは帝国騎士学校同期。
大隊長2 アイス=ホルト (2000)
大隊長3 フランク=ホルト (2000)
戦いが終わった。
今回の相手は城砦都市防衛隊と第三大隊所属騎士ということなので、彼らの仲間だった骸骨たちに任せた。
戦いが終われば、後片付けだ。朝までには終わるだろう。
骸骨の2部隊200人には城砦都市内の騎士団本部に侵入してもらい、剣と槍の在庫を持ち出してもらった。
この6日間の戦闘で破損した武器があるので、それの交換をする。
騎士団本部には棺に納まった第三軍軍団長の遺体があった。
彼の魂を「吸魂」できなかったのは残念だ。
◇
今回伝令を引き受けてくれたガーギウス大使だが、彼を始めとした屍人たちは熟成が進み、より屍人らしい姿になった。
顔は青白く、皮膚はただれ、所々破れて腐肉が見えている。
腐肉もとろとろに柔らかくなり、動くと肉体から零れ落ちる程だ。
おかげでサイクス達が剣を振れば腐肉の固まりも飛んで行く。
ルー伯爵夫人クラリスに頼めば得意の裁縫技術で皮膚を縫いとめてくれそうだが、残念ながらデ・ルーの館を去る時に裁縫道具は持ち出さなかったそうだ。
◇
我が骸骨軍団は総勢9994人となった。
大隊長はシグスだが、武技持ちが約3700人に対し魔技持ちが約6000人いる。
今回ドラゴを第二騎士隊長としたように、魔技持ち部隊もビデスを隊長とした指揮系統を作るべきだろう。
そして彼らは徒歩だ。
この城砦都市に馬はいない。
替わりに偵察部隊の使用していた鉄騎と呼ばれる魔導二輪車が12騎あった。
今はもうない。
我々との戦闘に巻き込まれて破損してしまった。
我々は隊列を整え、整然と北の出城を目指して城砦都市を後にした。
■■■
第二軍城砦都市。
森林地帯の3つの丘陵を使って建築された第二軍の城砦都市は周囲を川に囲まれ、さらに二重の城壁によって守られている。
街の規模は第三軍城砦都市と同じく所属騎士7000人と非戦闘員3万人が暮らしている。
そこに第三軍城砦都市からの伝令2人が到着したのは早朝だった。
彼らは緊急面会を要請したが、ハーツ軍団長との面会は軍団長の朝食後まで待つことになった。
◇
【北方騎士団第二軍 軍団長ハーツ=ホルト】
「ルーズ=ゲールマンが死んだか。」
私はダスティン参謀長が読み上げた救援依頼書の内容を脳内で反芻した。
第三軍はゲールマン家の軍だが、あいつらは頭が固い。第二軍の参謀にも2人いるが、いつもつまらん作戦を上申してくる。
そして、ルーズ=ゲールマンは態度はでかく弁も立つが戦闘向きではない。
4年ほど軍団長を務めて帝都に戻るつもりだったのだろうが、運の無い男だ。
「第三軍は壊滅です。いかが致しますか?」
「救援を請われて無碍にはできん。我がホルト家は武門であるからな。」
ダスティンの問いに答え、私は部屋にいる3人の大隊長の顔を見た。
コールマン第一大隊長は私より年上の戦上手だ。20年前の魔物の大発生を経験した古参だ。
アイス第二大隊長は着任2年目と若いが部下の事を良く掌握している。
フランク第三大隊長は物静かな男で任務を寡黙にこなす頼れる男だ。
「フランク第三大隊長。貴殿に任せる。」
「はっ。」
「失礼ながら。第三大隊だけで大丈夫でしょうか。非戦闘員3万人の避難も考えますと我が第二大隊も同行した方が良いかと。」
「アイス第二大隊長。その問題は帝都に委ねる。よいな。」
「かしこまりました。」
会議は解散しフランクは第三軍からの2人の伝令を連れて出撃の準備に入った。
急いでも到着までには4日は掛かる。
「非戦闘員の事、帝都に知らせましょうか。」
「そうだな。ダスティン頼む。」
「はっ。」
非戦闘員3万人を受け入れる余裕は我が城砦都市には無い。
それに第三軍の城砦都市を空にしては再建に時間が掛かる。
帝都騎士団から有望な者を選抜し、足りなければ第一軍、第二軍からも足して第三軍を再建しなければならない。
そのような事は帝都に任せるのが得策だ。
■■■
【北方騎士団第二軍第三大隊 大隊長フランク=ホルト】
所属団員2000名の10日間の遠征準備を整えるのに丸1日を要してしまった。
兵站部門の訓練不足だな。
騎士2000人に兵站部門の人員1000人を伴って第三軍城砦都市へと向かう。
2日目の夕方、我々が野営の準備をしていると第三軍の騎士という4人が現れた。
彼らは第三軍参謀長から書簡を預かっているという。
救援部隊を率いる私に是非一読願いたいとの要望を受けて、私は読ませてもらった。
信じられない内容だった。
まるで人間の軍隊の様な振る舞いをする骸骨軍団の様子が描かれている。
私は第三大隊の幹部を招集し、第三軍の4人の騎士たちも同席させ軍議を開いた。
話を聞いた皆は私と同様に驚き、警戒した。
私は4人の騎士たちに書簡を返し、第二軍軍団長ハーツ様の元へと彼らを送り出した。
◇
4日目の夕方。
このまま進めば2時間ほどで城砦都市に到着するという位置で我々は止まった。
もし城砦都市に骸骨軍団がいれば、夜間戦闘になる。
それは第三軍が緒戦で犯した最大のミスだ。
私は同行している第三軍の2人の伝令、鉄騎部隊員に偵察をさせた。
戻ってきた彼らの報告では、城砦都市に大砂百足の姿は無く、下の平地にも骸骨どもの姿は無いという。
我々は進軍を再開し、鉄騎部隊員は我々を受け入れる為に先行し、城砦都市の南東門を開いた。
我々は無事に城砦都市への入城を果たした。




