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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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53話 第三軍第二大隊大隊長メイガン=ブリスト

【 北方騎士団第三軍城砦都市防衛隊 隊長トレバー=ガーリン 】


「百足です!大砂百足が石山を登ってきます!!」


街壁下を見張っていた部下の声が大きく響く。


「火炎陣の起動準備!百足を叩き落すんだ!」

「火矢の準備はいいな。弓兵は配置に付け!」

部下に指示を出す。

予想以上の速さで第一大隊が突破された。

ほぼ足止めもできずに大砂百足が城砦下まで辿り着くとは。


「石弾部隊!近接戦闘準備だ!」

こうなっては、当初の予定は崩れた。骸骨軍団を引き寄せて、石弾を放つことができない。


「火炎陣、起動!」

街壁中部にある防壁用の魔導装置が動き、壁面に取り付いた大砂百足を火炎が包み込む。

たまらず大砂百足は地面に落下していく。


だが、落ちたのは、ほんの2、3匹だ。

残りは素早く体をくねらせつつ登って来た。


「弓兵、構え!」

弓兵が火矢を番えて弓を構える。その前には盾兵が両手盾を持ち、抜刀した剣士が控える。


カサカサカサカサ


その巨大な身体に比べると軽い乾いた音が耳に届く。

大砂百足の足音だ。


ヌッ、とその身体が街壁の上に現れた。


「放て!!」

弓兵の火矢が一斉に放たれ、その全てが大砂百足に突き刺さる。

武技『貫通』を持つ者が放った矢は、大砂百足の硬い外殻をも突き抜ける。


それでも、大砂百足の突進は止まらなかった。

街壁より高く突き出た身体を折り曲げ、街壁上の我々に向かって顎と鎌肢が迫る。

盾兵の盾は押し潰されるも、振るわれた剣は確実に大砂百足の身体を斬り刻む。

外殻を割り、脚を切断する。

だが、その間に多くの騎士達が、その顎と鎌肢の餌食になり、腕を切られ、脚を食われ、腹を切断された。


「北側にも大砂百足が登って来ました!挟まれます!」

「くそっ!なんで火焔の炎で動きを止めないんだ!」

「魔技を撃てば仲間を巻き込みます!!」

「撃たないとやられ、うわぁぁぁ。」


ギチギチギチギチ


おぞましい大砂百足の咀嚼音が聞こえて来る。

狭い街壁上で大砂百足の身体に押された騎士達の身体がぶつかり合い、剣を振るのも困難だ。

その騎士の集団に向かって大砂百足の顎が迫り、鋭い鎌肢が騎士達の身体を切断し、噛み付く。


私の正面にいた騎士達が倒れた。

私の腹にも百足の鎌が刺さり、鎧と肉を切り裂く。


目の前に口に咥えた騎士の身体の一部を足元に落とす大砂百足の頭部があった。

それが無造作に動き、私の身体は弾き飛ばされ、どこかの壁にぶつかった。


街壁上は十数匹の大砂百足で埋め尽くされている。

幾人かは巨大な身体に押され、街壁から地面に向けて落下していった。

大砂百足の通り過ぎた後の通路には、切り刻まれ、押し潰された騎士が折り重なって倒れていた。


狭い街壁上を巨大な大砂百足が素早く動き回る。

魔光灯が破壊され、辺りは暗闇に包まれた。

街の明かりが大砂百足の身体を闇の中に浮かび上がらせる。


雷撃系の魔技が放たれ、1匹の大砂百足が街壁から落ちていくのが見えた。

数匹は、追い落とすことに成功しているようだ。


カサカサカサカサ

ギチギチギチギチ


だが、大砂百足はまだ残っている。

そして、街壁上に残っている防衛隊騎士は、ほとんどいなくなった。


通路上に倒れ、動きを止めた騎士達。

私も、その中の一人だ。


周囲が静かになった。

夜空に輝く星々の輝きも見えない。

手足の、冷たさも、感じなく、なっ・・・い、しき、が・・・。


■■■


【北方騎士団第三軍第二大隊 大隊長メイガン=ブリスト】


ドドドドッ


俺たちの正面にいる第三大隊を突破したと思われる骸骨騎馬軍団の足音が、左手前方より近付いて来るのが分かる。

どうやら転進して次は我々に突撃を仕掛けてくるようだ。


ここへ来て骸骨騎馬軍団の戦術が分かった。

奴らは骸骨馬の機動力を生かして、立ち止まる事無く我々を蹂躙する心算(つもり)だ。


対するこちらは、守りを固めつつ反撃していく事になる。


だが、我々はこうした集団戦に慣れていない。


我々帝国騎士団の敵は魔獣や妖獣だが、やつらはこんな組織だった集団戦を仕掛けてこない。

魔物の群れといっても、戦いになれば一匹か数匹が相手になる。

戦闘自体は局地戦の連続で、我々も部隊ごとに戦闘を行う。


部隊間の連携なんて、ほぼ取れない。


だが、この骸骨騎馬軍団の突撃は一部隊で防げる物ではない。


第二大隊は先程の命令で、第三大隊支援のために移動を開始してしまった。

移動は部隊単位で行われ、部隊間の距離が開いた状態だ。


「骸骨騎馬軍団が来るぞ!防御を固めて反撃するんだ!」

俺は声を出して周囲に呼びかけた。


部隊長の復唱する声が聞き取り難いほどに、骸骨騎馬軍団の足音が闇の中に大きく響く。


俺の部隊も10人が集まり盾を重ねて防御体勢をとった。

かつて大角猪の魔獣の突進攻撃にも耐えた防御陣だ。


ドドドドッ


骸骨騎馬軍団が来た。

構えた盾に骸骨馬が乗り上げていくが、俺たちはなんとか耐えている。

俺たちの中に無手で魔法を撃てる者がいないので反撃は難しい。

魔技を撃つには、剣を振る必要がある。

ここは耐えるしかない。


ドゴォ!

ガン!

ガン!


盾の表面に剣や槍の打撃音が響く。


ズゴッ!ゴッ!

「うわぁ!!」


槍の先端が盾を突き破り、そのまま盾を持っていかれた。

その盾を持っていた者が防御陣から引きずり出され、即時に剣が振るわれ絶命する。


「穴を塞げ!」

「なにが起きたんだ!?」

「いいから穴を塞ぐんだ!」


間に合わなかった。

綻びができた防御陣はもろい。

開いた穴から槍と剣が突きこまれ、俺たちに傷を負わせる。


このままでは全滅だ。


俺は盾を持ち直し、立ち上がり、剣を振るい、魔技『抜刀斬』を放とうとした。


ズドォ!


俺の腹に槍が突きこまれた。

衝撃で身体は宙に浮き上がり、地面へと放りだされた。


俺の身体を後続の骸骨馬が踏みつけていった。



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