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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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48話 北の前線

ル・ゴール帝国北西部。


キステード領騎士団を加えて4100名となった我々骸骨軍団は、北の荒地を進んでいる。

目指すは帝国北方騎士団第三軍が駐留している城砦都市だ。

シーカーの探索によって、半日先の岩山にあることは分かっている。


だが、今現在我々は進軍できずにいた。

ここは西側に広大な砂漠が広がる荒野だ。

木々は姿を消し、低木と下草の群生がまばらに生えている岩と砂の大地が広がる。


獣や魔物の姿は見えない。


最も、我々骸骨軍団の足音を感知すれば並みのモノなら姿を消すだろう。

あえて多数に挑むモノはいない。


挑むとすれば、我々に対抗できる集団か、強大な戦闘力を誇るモノだ。


そんな相手が、今、我々の進軍を阻んでいる。


■■■


ル・ゴール帝国北方騎士団第三軍城砦都市。


西の荒野。

標高80m程の岩山の上に建てられた砦を中心とした城砦都市は、20年前の魔物の大発生にも耐えた堅牢な砦だ。

10両編成の魔導列車の駅が備わり、帝国領や第二軍城砦都市との食料、装備品、人員の輸送手段となっている。


常駐している騎士は1000名。その他に騎士の従者や文官、下働きの者や神官など非戦闘員3万人が暮らす。

北方騎士団に配備されている馬は少ない。

これは北の地が荒地で草木が少なく、耕作に適した土地が無いために騎士団や城砦都市に暮らす人々の食料が魔導列車による輸送に頼っている状況では、馬の世話も困難だからだ。

その為に移動は主に徒歩となるが、数台の魔導馬車と魔導二輪車が開発され配備されている。


この城砦都市の司令官、第三軍軍団長ルーズ=ゲールマンの元に骸骨軍団の報せが帝都より届いたのは、骸骨軍団が既にキステード領を縦断した後だった。

彼は部下達に情報収集を指示し、南方への備えを準備させた。



偵察部隊は別名、鉄騎部隊と呼ばれている。

それは偵察行動や部隊間の連絡業務を行う彼らが馬ではなく魔導二輪車に乗って荒野を走り廻るからだ。


魔導二輪車は魔鉱石の魔力を利用して前後の駆動輪に記された魔法陣を起動し進む。

鉄輪に巻かれた大砂団子蟲の皮革の細かい棘が砂地でもしっかりと大地を踏みしめる。


今回彼らに与えられた任務は南方より迫り来る骸骨軍団の偵察だ。

3小隊6騎が南へ向かう。


夕刻。

西に広がる砂漠の地平が赤く染まる頃、彼らは骸骨軍団を発見した。

その数4000。


城砦都市から南方へ半日。

予想よりも近い地点で発見したことに驚いたが、少し安心もした。


西の海まで続く砂漠が広がる荒地。

そこに展開する骸骨軍団は砂中より現れた大砂百足の群れと戦闘中だった。

彼らは高台の岩場に隠れ、望遠筒で状況を観察した。


大砂百足は魔獣と呼ばれ、この砂漠での最大の脅威のひとつだ。

普段は砂の中に潜み、砂上の音を聞き分け、獲物が通り掛かると襲ってくる。

体長5mから30m。

身体の表面は灰白色の殻で覆われて硬く、平らな身体に多数の体接と足があり、身体をくねらせ高速で移動する。

そして、その頭部にある大きな顎と鎌状の顎肢で獲物に喰いつく。


その大砂百足20匹以上の群れが骸骨軍団に襲い掛かり奴らを蹂躙している。

骸骨達は盾を構えているが、それは大砂百足の勢いには対抗できず、数十体の骸骨が宙を舞っている。

多数の骸骨が大顎に噛みつかれ、ばらばらになっている。

大砂百足の体の下にも多数の骸骨が押し潰されている。


鉄騎部隊は本部への報告に1小隊2騎を戻し、残りは偵察を続けた。


■■■


我々骸骨軍団は砂中より現れた巨大な百足の群れに襲われた。

隊列の中程に現れた群れは、すぐに我々が包囲する形になったが、我々に奴らを止める術がなかった。

灰白色の外殻は硬く、弓矢も剣も槍も歯がたたない。

ハンマーで叩いて、ひび割れができるかどうか、という程度だ。

だが、ハンマー持ちの数は少なく、素早い動きの百足相手では、できたひび割れの部位を狙って2発目を叩き込むことはできない。


部隊を後退させて砂地から距離をとるが、百足の奴も岩地に登ってきた。

それだけで数体の骸骨が百足の下敷きになり、押し潰される。


1匹が俺の直営部隊にも襲い掛かる。

ボルトの電撃は効果が小さく、麻痺させるには至らない。しかも、嫌がった百足が体をくねらせ、多数の骸骨が飛ばされ、押し潰される。

レッドの火球も効果なく、百足の外殻の表面を焦がす程度だ。


周囲は闇が濃くなってきたが、恐らく百足は目ではなく音か熱を感知して襲ってきたはずだ。

俺たちは骸骨だ。

では、熱ではなく音か。

4000人以上の足音は地中に大きく響いたようだな。


これ以上の被害がでるなら、撤退するべきか。


俺がそんな事を考えていると、紫色のもやが周囲に広がった。

腐肉喰い丸スライムの腐食ガスだ。


数体の骸骨を大きな口に並んだ小さく鋭い無数の牙で噛みくだいていた百足が、動きを止めた。


ズズン。


肢を弛緩させ、宙に浮いていた身体が地面の上に崩れ落ちる。


シーカーが丸スライムを持って飛び上がる。

他の部隊を蹂躙している百足に投げ込むのだろう。


俺は動きを止めた百足を確認した。

スライムは1匹では吸魂しても授魂できなかった。

こいつはどうだろうか?


「吸魂」

青白い魂が俺の左手に吸い込まれる。

「授魂」

青黒い魂が俺の左手から揺らめき出て、百足の体内に入り込む。


どうやら成功のようだ。

多数の脚が動きだし、地面に倒れていた身体が持ち上がる。

外殻の中には肉が残っているので「腐肉大砂百足」となった。

スキル『麻痺毒』を持っている。

こいつにも、他の百足を退治してもらうとしよう。



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