表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
48/111

45話 北方騎士団遠征部隊副隊長ヨツン

【北方騎士団第一軍遠征部隊 副隊長ヨツン】


フェンクル領領都の東の街道。


街道の先から偵察のデリックが戻ってきた。

「ビデス隊長、この先で森が開けます。そこに骸骨どもがいます。」

「数は?」

「およそ3000。」

「3000!」

「おいおい、1000って話だったはずだぜ。」

「おそらく、周辺の騎士団、帝国西方騎士団、東方騎士団の人数が加わったのだろう。」

「そう、なのか?」

「そうなのだろう。やつらは倒した相手を骸骨の魔物に変える。時間が経てば数が増える、厄介な奴らだ。だからこそ、我々が、今、叩くのだ。」

「『骸骨王』ではなさそうですね。倒した相手を仲間に加えるのは、『屍人使い』ですか?」

「どちらにしても、必ずボスがいる。まずはそいつを見つける。そして倒す。」

「いつも通りだな。」


予想以上の数に驚いたが、普段の魔物狩りでは敵の総数は未知数だ。

それに群れで行動する魔物はボス個体を倒せば、残りは散る。

俺たちはビデス隊長を先頭に街道を進んだ。


街道脇の木々が消え、広々とした平地になった。

左右は300mほど先に骸骨の騎馬がずらりと並んでいる。

それが前方奥までずっとだ。


なるほど、左に1000、右に1000、正面に1000か。


俺たちは骸骨の布陣の中央を街道に沿って中程まで進んだ。


正面に3体の骸骨騎士が骸骨馬に跨り道の真ん中にいる。

中央の一人は白いマントを付けている。

こいつがボスか?


それにしても静かだ。

こいつら3000もいるのに、もの音一つ立てねぇ。

聞こえて来るのは、俺たちの馬の足音だけだ。


俺の視線は領都の街壁の上に掲げられた旗を見ていた。

その下に、2体の骸骨らしき姿が見える。

こっちの方が、こいつらのボスの屍人使いか?


「隊長、街壁の上に二人います。」

「そうだな。高みの見物か。」


ビデス隊長が馬を止める。

正面の3体との距離は20mだ。


ビデス隊長が剣を抜いた。

俺たちも剣を抜き、槍を構え、弓を持ち、魔法の準備に入る。

「身体強化!」

「退魔の加護!」


俺たちが戦いの準備をしていると、白マントの右手が上がり、ビデス隊長を指差す。

すると、白マントの左右に並ぶ2人の骸骨騎士が骸骨馬をゆっくりと進めて来た。


数歩歩み寄り、二人揃って骸骨馬を降りる。

骸骨馬は白マントの所まで戻った。


二人の骸骨騎士は帝国騎士の鎧を身に付け、右の小柄な奴は斧を、左の奴は二本の剣を持っている。

そして、二人揃って武器を身体の前方に真っ直ぐに突き出した。さらに剣先を上下に揺り動かす。

これは、1対1の勝負、決闘などの前に行う挑発の構えだ。


何で魔物がこんな真似を。


「ほぉ。魔物が決闘を挑むか。」

「面白い。」


俺の周りから声が上がると、二人の帝国騎士が、こちらも馬を降りて進みでる。

ビデス隊長は、こういう時に止める人ではない。

俺もだ。


「叩き潰してやる。」

大男のゲイルがハンマーを両手で構える。

「準備運動になるかな。」

シュライザーは剣を構えた。


カッカッカッ。


何だ?骸骨が笑ったのか?


■■■


【帝国北方騎士団第一軍遠征部隊 帝国騎士カミル】


「ウォオリャァァー!」

初手はゲイルだ。


ドォゥゴォォンン。

ゲイルのハンマーが振り下ろされ、地面がへこみ、ひび割れ、砂煙が上がり、小石が弾け飛ぶ。


「封魔の光よ、鎖となりて魔を封じよ!魔技、光鎖縛!」

シュライザーの剣が光り輝き、その剣先で相手の二刀流の骸骨を指し示す。

剣先から伸びた一条の光が骸骨に伸びて行き、その身体にまとわり付く。


ゲイルの初撃は、派手な技で威力もあるが、骸骨には当たらなかった様だ。

だが、ゲイルはあの大きなハンマーを軽々と扱う。

すぐさま二撃目を放つ・・・?


砂煙が収まる。

相手の骸骨は振り下ろされたハンマーを足場にゲイルの正面に立っていた。

そして、その斧は、ゲイルの頭部に突き立てられていた。


ドサッ。


音がした方に視線を転じれば、二刀流の骸骨が立っていた。

シュライザーは、その足元に倒れている。

身体の横に転がっているのは、首か。


カッカッカッ。


骸骨が顎の骨を動かし、乾いた音を立てる。

まるで、笑っているかのようだ。


「きっさまー!!」

誰かの怒号が聞こえた。


だが、私の眼は二刀流の骸骨の後ろ、上空を飛ぶ鳥を捉えていた。

あれは、あの鳥は、私が射抜けなかった、あの鳥だ。

何かを足に持っている。

それに気付ける程に、鳥は急速に近付いてきている。

真っ直ぐ、私に向かって来る。


弓を構え、矢を番えて、鳥を捉える。

このスピードなら、奴の前方を狙えば。


私の矢は、またも外れた。

鳥は急速に降下してきた。

高度は、私のすぐ上、距離は20mもない。


私はすかさず矢を番える。

武技『3連射』。

3本の矢が飛ぶ。

鳥は翼をひねり、進路を大きく右に逸らした。

そんなことができるのか!


私の目の前まで来た鳥は、足に掴んでいた丸い物を落とした。

石か?

いや目がある!

魔物だ!


私は馬上で身を屈めた。


丸いソレは、私の頭上を掠め、後方の地面に落ちた。


ポヨン。

ボフゥ。


なんとも気の抜けた音がした。


振り返ると、ソレが地面を転々と跳ねている。

その姿が、紫色のもや(・・)に包まれている。


そのもやは急速に広がり、私の周囲にまとわりつく。

もやを吸い込んでしまったようだ。

甘い様な香りを感じると共に、急速に眠気が襲い掛かる。


しまった。


解毒の、魔、ほ、う、を・・・


馬が倒れ、私も地面に放り出された。

私の意識は、そこで途切れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ