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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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44話 帝国への要求

帝都。領土管理局。


西方領土管理担当官の執務机に一抱えの箱を持った係員が来た。

「ガーギウス大使からの荷物?ノールデア領からか。」

「はい。こちらです。」

係員が木箱を床に置く。

午前中の荷馬車便で届けられたそうだ。


大使からの荷物や書状は担当官を経て局長の執務室に届ける決まりだ。

だが、ノールデア領とフェンクル領は先日から危険領域に指定されている。

なので、事前に荷物取扱い担当の責任者である彼が、荷物の中身を(あらた)めなければならない。

だが、こうして荷物が届くという事は、それほど混乱もしていない様だ、と担当官は安堵した。


彼は係員に木箱の蓋を開けさせた。

中には、一通の手紙と紋章の図面と紋章が縫われた布が入っていた。

手紙は簡単なものだった。


「我々骸骨軍団は帝国西方騎士団を倒した。我々を認め、我々の紋章入りの装備を作成せよ。」


その下に鎧、剣、盾などの品名と3000という数字が並ぶ。


彼はそれらを箱に詰め直し、局長の執務室に急ぎ届けた。



帝都。騎士団司令部。


「何と不遜な。」

「骸骨の紋章を我々に作らせるなど、これでは奴らの軍門に下るという事ではないか。」

「東方騎士団はどうしておる。」

「半数の500が西の領境に展開しております。」

「その先、クィッカー領とウーノンサ領は?」

「すでに骸骨に討たれたと。」

「何だと!聞いておらんぞ!」

「では、東方騎士団500では支えられんでは無いか。」

「北方騎士団には連絡したのであろう?いつ来るのだ?」

「4部隊40人を派遣する、との連絡が来ておる。飛空挺も手配したので今日明日には帝都に来る。」

「40人?それで、大丈夫なのか?」

「うむ。その派遣部隊が敗れれば、次は魔技持ちの貴族を招集する事態になるぞ。」

「こちらが得た骸骨共の戦力を伝えた上での返答だ。現役の彼らの実績に基づく判断であろう。」

「そうか。」

「やはり帝都にも100人程度は魔技使いの部隊を常駐させるべきではないか。」

「そうだな。このような魔物が現れたからといって、現役を退いた貴族に召集はできんからな。」

「うむ。骸骨どもが片付いたら検討すべきだな。」


■■■


帝国直轄領西部、クィッカー領との領境。


帝国東方騎士団が布陣した地に、帝国北方騎士団第一軍遠征部隊40人の姿があった。

通常編成4部隊は部隊長をビデス、副隊長をヨツンとして特別合同部隊を編成し、骸骨集団の討伐のために派遣されている。


「よぉ、ビデス隊長。東方騎士団は何処にいるんだ?」

「良く見ろよ、ジョゼフ。街道脇の地面が荒らされているだろう。」

「そうだな。馬の足跡だ。多いな。」

「全員馬を降りて周辺を調べろ。ヨツン隊は街道の左、ビデス隊は右だ。」


「血痕多数だ。戦闘があったな。」

「でも死体がないぞ。」

「指輪や首飾りなどが落ちていますが、鎧、盾、剣、具足などの装備がありません。」

「馬の死体も無いぜ。」

「骸骨どもが全部持って行ったのか?何のために。」

「やつらの仲間にするためか。」

「嫌な予想だな。」

「ちっ!人間の死体を魔物にするとは。嫌な相手だぜ。」


「どうやら、その相手からの置き手紙のようですよ。ビデス隊長。」

「見せろ。」


「なんて書かれているんです?」

「"東方騎士団も倒した。次は北方騎士団か?フェンクル領領都で待つ。"、だ。」

「我々の事も知っているのか。」

「ああ、俺たちをご指名だぜ。ビデス隊長。」

「もとより、その為に来たのだ。行くぞ。」



「あの村で今夜は宿をとる。フェンクル領領都までは後1日だな。」

「ここまでは何も無し。のどかなもんだ。骸骨どもが居るとは思えんな。」

「ああ、鳥も優雅に飛んでいるぜ。」

「あの鳥、昨日も見たな。」

「そうか?」

「いけるか?カミル。」

「お任せを。」


「お、カミルの矢が外れたぜ。」

「むぅ。」

「あの鳥、円を描いているな。あっ、飛んで行くぞ。」


「遊びはそれまでだ。行くぞ。」


■■■


フェンクル領領都。


我々骸骨軍団は新規参入組の訓練を進め、再び東へ遠征した。

前回襲撃したフェンクル領東方の封鎖地点を過ぎ、クィッカー領を横断する。

帝国領内に入る地点で街道を封鎖している帝国東方騎士団と衝突した。


「吸魂」した魂の数は500人分。

予想の半分だ。

帝国としても東側を留守にはできなかった、という事か。


俺は置き手紙を街道脇の木の幹に打ち付けた。

これを見れば、やつらは北方騎士団を呼ぶだろう。

だが、全軍は来ない。来たとしても1000か最大でも2000か。

リッターとレクターの実力を見ても、北方騎士団の戦闘力は高い。

我々が北方へ向かう前の相手としては十分だ。



俺たちはフェンクル領領都まで戻った。


フェンクル領領都の東側の森をさらに広げ、我々骸骨軍団3500人の訓練地としている。

北方騎士団の到着を待ちつつ、きこりと土地の整備と訓練の日々を送る。


フェンクル領の共同墓地にも行き、ゴーストの捕獲と魔法操兵の増員も行った。

41人が加わったが、新しい魔法は無しだ。

ゴースト以外の魔法を操る魔物か、人間の魔法使いを集めないと、これ以上種類は増えないだろう。


今回の帝国東方騎士団500人の増員で俺の技能が増えた。

剣の武技『無刀斬り』『矢斬り』『装備破壊・斬』『猪突』。

槍の武技『連突き』、『早突き』、『遠突き』。

ようやく槍の武技が扱えるようになった。


20日程が過ぎる頃、シーカーが街道を進む集団を見つけた。

50人程の帝国騎士だ。


先遣部隊か?

だが、シーカーはその後に続く本隊の姿を見ていない。


では、我々骸骨部隊3500人に挑む50人の攻撃部隊だ。

無謀と思われるが、それだけの自信と実力のある部隊なのか。

さすがは北方騎士団だ。

我々も全軍で対戦させていただこう。



フェンクル領領都の西側は元の三倍ほども広がった。

その為、街道脇の森の木々がなくなるのも早くなり、街道から領都の街門までは広大な平地となる。


そこに彼らが現れた。


我々骸骨軍団3500人は街道を中央にコの字の陣形を敷いている。

街道を進む彼らから見れば、正面奥と左右に隊列がある訳だ。

当然、街道を領都に向けて歩けば、自ずと包囲網の中に入ることになる。


中央前方にはいつも通りシグスがいる。

今日はその両脇に斧使いのリッターと二刀流のレクターもいた。


彼らからは、自分たちが暴れる時は周りに居ないほうが良い、という忠告があった。

なので、今回は先鋒を任せた。

二人の戦い振りを見て、今後の配置を考えよう。


それと、もう一人、いや、一羽か。

シーカーが腐肉喰い丸スライムの一匹と俺の横でじゃれている。

この丸スライムはシーカーの呼び声に応えて木箱から飛び出てきた一匹だ。

丸スライムが跳ねてシーカーの背に飛び乗ろうとするが、シーカーが飛び上がりそれを躱す。

シーカーの足が伸びると、丸スライムが転がる。

何度か繰り返して、シーカーの足が丸スライムを捕えた。

次の瞬間には空高く飛び上がる。


矢で射られた事が余程気にいらなかったようだ。


さて、彼らにこれを防ぐ事は出来るかな。



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