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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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43話 二人の帝国騎士

俺が振り向くと、馬から降りる二人の男がいた。


身長160cm程の小柄な男と180cm程の長身の男。

共に帝国騎士の鎧を着ている。


「帝国騎士か。」

「お、しゃべる骸骨か。マント付きだぜ。」

「こいつだけ目の色が違う。」

「へぇ、じゃあ、こいつがボスって訳だな。」


そういうと小柄な男が腰の武器を抜いた。

片刃の斧の様だが、その刃が握りのガードまで伸びている。


長身の男は両手に剣を持っている。

二刀流か。


「面白い。普通の帝国騎士とは違うようだな。」

「へぇ。それが判るとは、少しは知恵がある骸骨だな。」

「特異種だな。ノールデアの変事は、こいつが原因か。」

「じゃあ、やっぱりあの馬車は伯父貴のだな。てめぇ、伯父貴を殺したな。」

「アックス=ムーアならば、我が下僕となった。」

「てめぇ!」


斧を振り上げ俺に向かって迫るが、距離がまだある。

俺の前に盾を構えたクロッカーたち屍人剣士3人が立ち塞がる。


サイクスは剣を抜き、オズマが槍を構え、レッドとボルトは臨戦態勢だ。

そして、帰りかけていた骸骨騎士たちがこちらに気付いた。


「邪魔だ!火焔斬!」

斧が横薙ぎに振られる。

その刃には赤い魔法陣が輝き、その刃の軌跡は炎を噴出した。


クロッカー達の盾が断ち切られ、彼らの腰が分断され、上半身が炎に包まれる。


これは魔技だ!


ということは、

「お前達、北方騎士団の者か。」

「それを知っているとはな。だが、これで居なくなる!」


間合いの外からの炎の斬撃が俺に迫る。

俺は腰の剣を抜いた。

盾は持っていない。

なぜなら。


俺の眼前で炎が消えた。

俺の横に立つディエゴのスキル『魔法吸収壁』の効果だ。

魔力による攻撃はディエゴには通用しない。


「なに!?」

「火焔斬が消えた!?気を付けろ、リッター。」

「小賢しいんだよ、骸骨が!」

小柄な斧使い、リッターが斧を振り上げ迫る。

「炎よ、我が刃となりて、敵を切り裂き、その身を焼き尽くせ!」


だが、この距離は俺の間合いでもある。

「遠斬り。」

俺の剣先はリッターに届かない。

だが、遠斬りの武技はレベル1で30cm、レベル2で60cm先に剣先の斬撃を届ける。


「うっ!」

リッターの右ひじの先に斬撃が当たる。

しかし、帝国の鎧には耐性の魔法が付与されているようで切断はできなかった。

衝撃を受けたリッターは素早く身を屈めつつ俺と距離をとった。

そこに向けてレッドの火球が撃ち込まれ、ボルトが走り寄る。


「双剣連波斬!」

二刀流の男が振った剣の武技によって二筋の斬撃が地面に跡を引きながら俺に迫る。

その正面にディエゴが盾を構えて立ち塞がる。


ザッ!ザッ!


しのいだ。

俺はディエゴの背後から飛び出し二刀流の男に迫った。

奴もこちらに迫り、間合いを詰める。


「連撃!」

「連撃。」


奴の二本の剣と俺の剣がぶつかり合う。

ガッガッガッガッ。


俺と奴の立ち位置が入れ替わる。

奴は二刀流の2連撃。

俺は片手剣の4連撃。

威力も剣筋も互角のようだ。

だが、俺は疲れ知らずだ。


ガッガッガッガッ。

ガッガッガッガッ。

ガッガッガッガッ。

ガッガッガッガッ。

ガギィッ!ザシュザシュザシュ。

「ぐぅ、うぅ。」


奴の剣が俺の左腕に食い込んだお陰で俺は奴の胸を切り裂くことができた。

膝を付いた男の胸に剣先を沈める。


振り返れば、斧使いのリッターにはサイクスたち20数体の骸骨が群がり、奴を仕留めていた。


「吸魂」



斧使いの名はリッター。

二刀流の名はレクター。

二人は帝国のムーア公爵家の者で従兄弟同士だ。

帝国北方騎士団第一軍に所属しているが、休暇でムーア家に帰ってきたそうだ。

その休暇も終わるので、ノールデア領に出かけたアックス=ムーアに会ってから戻る予定だったらしい。


リッターのスキルは剣の魔技『火焔斬』。

レクターのスキルは剣の二刀流専用の魔技『疾風旋風斬』。

レクターが放った武技も二刀流専用の『双剣連波斬』で、レクターは珍しい二刀流騎士だ。

武技は失われたが、今後も二刀流で活躍してもらおう。

それに二人が最初に現れた時に使用したのは『気配絶ち』というスキルだそうだ。


やはり北方騎士団の者は所持スキルが魅力的だ。

だが、俺がスキルを取得する為には同一スキル持ちが少なくとも100人は必要だ。

そうなると、通常のスキルは身に付くが、珍しいスキルは身に付けられないだろう。

それは、少し残念な事だ。


炎に巻かれたクロッカーたちは上半身の肉と骨の表面が焼かれたが問題ない。

ライファノンが斬られた上半身と下半身を繋ぎ合わせたので、馬に乗るぐらいは大丈夫だろう。


さて、帰るとしよう。



フェンクル領領都に戻ると、幾つかの雑事を片付けた。

デコースを呼び出し中隊長に任じた。

彼の下にはキースの25番隊、クラークの26番隊、フォークスの27番隊が付く。


レイモンド中隊長と22番隊隊長のクルツには魔導馬車2台をデ・ルーの街に送るように指示した。

操縦者のアックスとクリストファー、それに護衛の骸骨騎士10人を出させる。

トールデンに手紙を書き、魔導馬車の改造を指示する。

衝角を常設すること。

その状態で骸骨馬の牽引具の取り外しが素早く出来ること。

外装を取り外し軽量化すること。

これで少しは扱い易くなるだろう。


そのデ・ルーの街の商業ギルドからは団旗が送られてきた。

骸骨騎士に持たせて走らせてみると、良い感じだ。

だが、見た目は良いが、団旗を待つ彼の攻撃力が減じてしまう。

これは良くない。

団旗の持ち柄を短くして、背骨に括りつけるか。


骸骨軍団全員の装備交換には半年ほど掛かりそうだ。

我々の装備は全身鎧、部分鎧、鎖帷子に灰色ローブ、皮鎧。

ばらばらだ。

描かれている紋章もまちまちだ。


その時、一人の骸骨騎士が俺の所に来た。

イアン=グローバーだ。

元帝国騎士で帝国貴族の公爵家の者だったな。

参謀という役職で参戦していた奴だが、隊長経験が無いので、今は一兵士だ。


「マスター。」

「なんだ、イアン。」

「帝国攻める。マスター勝つ。」

「うむ。皆の働きにより、それは実現するだろう。」

「帝国、装備作る。早い。」

「なるほど。」

今はデ・ルーのトールデンの指揮でノールデア領領都、デ・シームの街、フェンクル領領都の4都市で生産をしている。

帝都を落とし、皇帝に我々を認めさせ、装備を作らせれば、帝国の全てが我々の装備を作る、か。

だが、

「皇帝に我々を認めさせるには、帝国の騎士団を潰すのが先だな。」

「帝国行く。騎士団来る。」

「そうだな。」


俺はイアンを下がらせた。


この地における人間の国はル・ゴール帝国だけだ。

帝国を潰せば、人間社会は混乱する。

18の領国は帝国への恭順を止め、独立国へと戻ろうとするだろう。

そうなれば、彼らは俺たちへの協力どころではなくなる。


帝都騎士団と東方騎士団の2000人は欲しい戦力だ。

だが、帝都騎士団まで奪ってしまっては、帝国が揺らぐ。

しかし、帝都騎士団が残れば、皇帝は我々に協力しないだろう。


北方騎士団は2万人。

これを我が骸骨軍団に参入させれば、おそらく帝国は無条件に降伏するだろう。


帝国を屈服させるのは、その後でいいな。


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