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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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37話 西方騎士団副団長レイモンド

【帝国西方騎士団副団長レイモンド】


デ・ランブルブの街でフェンクル領領都が落ちたと知らされた時、帰国して再出撃を提案する考えがあった。


だが、その意見を発する機会は即時に潰された。

イアン=グローバー。


「中央」が今回の遠征のために「参謀」として我が西方騎士団に送り込んできた男。

グローバー公爵家に連なるこの男が、我々の選択肢を排除し、不利な状況へと追い込んでいく。


彼は「領地を魔物の侵略から救う」という大義名分を掲げ「それを成すまで退却はありえない」と声を上げた。

これに派閥の者が賛同し、他の者も拍手を送った。


ドラゴ=ディアン騎士団長のディアン家は5大公爵家の一つであるが、序列5番目の公爵家だ。

対してグローバー家は1番目。つまり、ブルックナー=ゴール皇帝陛下の生家だ。

彼の意見に対し、ドラゴ団長は戦いが起きるまでは大目に見るようだ。


だが、戦いに臨む前の準備こそが大事だと、俺は思ってしまう。


イアン=グローバーは参謀職であるが、その存在は戦目付であり、貴族の派閥の論理を騎士団に持ち込んでいる。


ドラゴ団長は、それに付き合う気がないようだ。

だが、その所為で団員達が振り回され、士気が落ちる様では困る。


俺と隊長たちは、団員たちに注力するように心掛けた。

あんな連中に労力を使う気はない。


それに、遠回りではあるが戦場に近付いている。

戦場に着くのが待ち遠しいと思う日が来るとは。



フェンクル領領都の手前、デ・ドリューの街。


ここを出立すれば2日で領都に着く。

我々は作戦会議を行った。

ドラゴ団長、俺とブーツ副団長と6人の隊長達。

クィッカー領騎士団ウィンストン団長と彼の部下達。

フェンクル領騎士団の3人の団長。

そして、イアン=グローバー参謀。

なぜか、ムーア家のでかい男とホルト家の御老体とゲールマン家の細い男もいる。


そして、会議は始まり、イアンがもっともらしい言葉を並べて、部外者が賛同して終わった。

何も決まっていない。


俺は6人の隊長とウィンストン団長達を誘い、街の飲み屋に集まった。

決戦前の懇親会である。

ここからが本当の作戦会議だ。



「今回の戦いは長期戦になるぞ。」

「そうだな。魔物退治のはずが、領都奪還の攻城戦だ。」

「情報が欲しいな。」

「偵察を送るのは当然だ。」

「だが、それにもあの男の承認が必要だぞ。」

「今夜だそう。今だせば偵察からの情報を明日の夜検討できる。野営ならば我々だけで集まることはできるだろう。」

「では、偵察は我々から出します。帝国騎士よりは地元のフェンクル騎士の方が良いでしょう。」

「助かります。」


「想定されるのは、通常の攻城戦と街門突破後の市街戦か。」

「だが、攻城戦には道具が足りない。我々の手持ち武器では街門は破れないし、街壁も昇れないぞ。」

「まず1戦だな。」

「そうだな。こちらの被害を出さないように、それでいて真面目に攻撃する。そして、敵わないという結論に持ち込む。」

「そうなれば、一度引いて、攻城戦用の武器を取り寄せる事ができるか。」

「あの馬鹿共も、それには反対しないだろうさ。」


「だが、時間が掛かるな。」

「まったくだ。」

「だが、拙攻で命を落とすより良い。」

「そうだな。」



翌日の夜。野営地。


「レイモンド副団長、デ・ドリュー騎士団の偵察が戻りました。」

「すぐ行く。」


俺たちは帝国騎士団の野営地を出てフェンクル領騎士団の野営テントに集まった。


「それで、フェンクル領領都の様子はどうだった。」

「こちらの地図をご覧ください。」


テーブルに一枚の地図が広げられた。

そこにはフェンクル領領都を中央に、周辺の地形図が描かれている。


「ここが我々が進んでいる街道です。領都の手前1200mで森が切れますが、街道の左右には木が植えられています。

領都の北門は閉ざされ、その前方にはこの様に木で作られたバリケードが作られており、我々の進路を領都の東側に誘導しています。

その東側の地が、奴ら骸骨どもの用意した決戦の場になります。」

「なに?」

俺は視線を地図から、説明をしている騎士に向けた。

彼は、俺の視線に気付いて、その手に持つ紙を俺に見せた。


「実は、街道を出たところで、あいつらに捕まりまして。」

「なんだと!?」

「が、骸骨では無かったんです。普通の人間だと思ったんですが、その、屍人でした。」

「それで?」

「武器も持たずに普通に街道を歩いて来て、話しかけられたんですよ。そしたら、突然ロープが身体に巻きついて。」

「それは良い。この地図と説明はなんだ?」

「彼らが、この紙と地図を渡してきて、説明してくれました。戦場を用意したから騎馬戦で戦いましょう、と。」

「なんだと!」


俺たちは顔を見合わせた。

俺たちの敵は、何を考えているんだ。


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