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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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36話 西方騎士団3番隊隊長デビッド

【ル・ゴール帝国西方騎士団 3番隊隊長デビッド】


何てことだ。


事前に確認していた旅程が狂い、用意していた糧食が足りなくなるのは、明らかだと言うのに。


我がル・ゴール帝国には5大公爵家がある。

我々西方騎士団のドラゴ=ディアン団長殿はその一つ、ディアン家の人間だ。


そのお陰もあって、団内には貴族社会の派閥争いから離れた結束があった。

だが、今回の遠征で転属してきた連中はそうではない。

奴らの所為で、鳴りを潜めていた団内の派閥が表立ってきた。


その連中はグローバー家、ムーア家、ホルト家、ゲールマン家の公爵家に連なる人間だ。

特にムーア家とホルト家が酷い。

あいつら、軍の遠征に屋敷の馬車で来て、従者も連れて来やがった。


まぁ、そのでかい腹で馬に乗れないのも分かる。

まぁ、その老いた身体で無茶出来ないのも分かる。


お前ら、何しに来たんだ。


「デビッド。凄い顔してますね。」

「クルツ。何で俺たちはこんな所に居るんだ。予定じゃ、もう、フェンクル領領都に着いてる頃だぞ。」

「仕方ありませんね。あの丘の道は起伏がありましたから。」

「仕方ないで済むかよ。どこだよここは。」

「デ・ランブルブの街の外ですね。それより、面白い話が聞けましたよ。」

「街に入ったのか?」

「ブーツ副団長のお供で商業ギルドに行ってきました。我々と馬の食料確保です。」

「そうか。それで?」

「フェンクル領領都は骸骨の手に落ちました。おそらく領都の騎士団は全滅です。」

「おい、面白くない話だぞ。」

「領都には、このデ・ランブルブの街の騎士団の半数が増援部隊として行っていたそうです。我々の招集に応じたんですね。」

「おい、まさか、その連中も、か。」

「そのようです。昨日ですが、領主であるフェンクル侯爵から騎士団の遺族宛に金貨を支給する旨、通知があったそうです。金銭の受け渡しは商業ギルドで行うと。」

「それは当然だな。」

「フェンクル領領都の商業ギルドマスターが書面に書き加えていたのですが、この指示は骸骨軍団のマスターと呼ばれている骸骨が出したそうです。」

「骸骨?魔物が指示したって?遺族への金貨の支払いを?」

「そうです。面白いでしょう?」


俺はクルツの目を見た。

言ってる奴の目が笑ってねぇ。


「本当かよ?」

「書いてある事を信用するならば、本当です。」

「なぁ。俺たちの相手は魔物なんだよな。」

「予定ではそうですね。今は予定外の敵が居ますが。」

それは、この人間臭い骸骨の事じゃなくて、あの馬鹿な貴族どもの事だな。


「なぁ、あの連中は街の宿屋に入ったんだろ?あいつら置いて出発できないかな。」

「それが出来るなら、あの丘の街道を西へ向かっていましたよ。」

「そうだよなぁ。」

「我々はドラゴ団長を支えなくてはいけません。」

「そうだな。要は最後に勝って帝都に凱旋すれば良いってことだ。」

「そうですね。この道中は笑い話になりますよ。」

「そうか?俺は思い出したくない話になる予感がするぞ。」


翌朝、俺たちはデ・ランブルブの街を出発して街道を西へ向かった。

俺たちの隊列にデ・ランブルブの騎士団が加わっている。

フェンクル領領都が落ちたのだ。

そして彼らの仲間が犠牲になっている。

ならば、仇討ちに行きたいと願うのも当然だし、それを断る道理も無い。


続くデ・ミトリーの街、デ・ドリューの街でも街の騎士団が集まり、俺たちと共にフェンクル領領都に向かう事になった。


■■■


フェンクル領領都。


ウーノンサ領騎士団307名の処理を腐肉喰い丸スライムに頼んだ。

同数の馬も処理するが、その他の馬と荷車、その荷物の類は商業ギルドに引き取ってもらう。


肉体が腐り始め、丸スライムの仕事が始まるまでに4日待った。

仕事が始まれば、彼らは早い。

そう、確か馬1頭に約3分掛かっていた。

今は2分弱、1分ちょっとか?

なにかガス状の霧を噴出したな。

腐食ガスか?


もしかして、分裂はしないが成長している?

そうか。

『腐肉喰い』がスキルとなっているならば、それを使うほどに成長するはずだな。



3日後には307名の骸骨騎士が我々に加わった。


3部隊の人員だ。

彼らはそのまま我が軍団に入ってもらう。

5人目の中隊長にジョーンズ元騎士団長。武技は『ハンマーの壁壊し』。

9番隊隊長にアンディ。武技は『槍の早突き』。

10番隊隊長にウィル。武技は『ハンマーの装備破壊・打』。

11番隊隊長にブラッド。武技は『剣の連撃2』。


今回は俺のスキルに『剣の遠斬り1』が増えた。

そして、元々有った『剣の連撃2』が『剣の連撃3』になった。


どうやら骸骨騎士の同一武技持ちの人数に拠って、俺のスキルが増えるようだ。

つまり、同一武技持ちが100人居ると、その武技のレベル1が取得できる。

そして、300人居ると、その武技はレベル2に成長する。

レベル3は600人か?


やはり、骸骨軍団の成長は俺の成長に繋がっているようだな。



これで我々骸骨軍団の骸骨騎士は1087名となった。

人数だけなら帝国西方騎士団に匹敵する。

さらに骸骨剣士、骸骨魔法操兵を加えれば1342名。

帝国西方騎士団にクィッカー領騎士団300が加わっても互角だ。


ふふふ。

いかん。

油断は禁物だ。


さて、これだけ骸骨騎士たちが居並ぶと、サイクス達屍人騎士たちが目立つ。

残念だが、彼らは俺が「授魂」した時点で屍人としてその存在が確定している。

いくら腐肉喰い丸スライムにその身体を食わせても、一晩寝れば翌朝には屍人として腐肉が付いた身体となる。

そして、その魂を再び「吸魂」しても骸骨に「授魂」できない事を、俺は知っている。


彼らには屍人としてできる事をしてもらうので、そのままで良い。

肉が付いているという事は、それだけで相手の油断を誘える事もある。



我々骸骨軍団の演習の所為でフェンクル領領都周辺の畑は荒れ放題だ。

我々は南の街道を塞いでいた土塁を片付け、デ・シームの街から野菜などを仕入れる事を商業ギルドに伝えた。

支払いはフェンクル侯爵だ。


領都の北門前には伐採した木を積み上げてバリケードを設けた。

これに拠り、北の街道から来た帝国騎士団は東側に導かれる。

荒地となったそこに、我々が布陣している。


屍鷹により、帝国騎士団の接近が知らされた。


招待状も届けた。


決戦だ。



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