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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
32/111

30話 街道封鎖

我々骸骨軍団がデ・シームの街の北に駐留して5日が過ぎた。

デ・シームの街とフェンクル領領都を結ぶ街道には、多数の商人の往来がある。

領は違うが、同じル・ゴール帝国内なので、領地間の往来は自由のようだ。


その往来が止まった。

デ・シームの街に戻ってきた商人からの話では、フェンクル領領都の手前の街道に土塁が盛られ、街道は封じられたそうだ。

そして、フェンクル領騎士団の者に追い返された、と。


距離は荷馬車で3時間。


フェンクル領の騎士団は攻勢に出ず、街道を封鎖した。

狙いは二つか?

一つは自領への我々骸骨軍団の進軍を阻む事。

もう一つは援軍到着までの時間稼ぎだ。


俺はシグスとタバーニを連れて執政官官邸に向かった。

そこにはノールデア領都からガーギウス帝国大使も到着している。



シーム伯爵の執務室に集まって、今後の活動予定の確認をする。

そうだ、腐肉喰いスライムの件の進捗はどうだろうか。


「シーム伯、守備隊のメズノットから報告は?」

「いいえ、まだ連絡はございません。マスター。」

「ふむ。メズノットを呼び出せ。」

「畏まりました。マスター。」


「ガーギウス大使。」

「はい、マスター。」

「帝国の騎士団がここに派遣されるとして、何日掛かるだろうか?」

「そうですね。私が馬車で移動すると20日程掛かります。派遣される騎士団は、おそらく西方騎士団でしょう。団員は1000名です。彼らが派遣される時には領国の騎士団からも人員を加えます。おそらく、帝国直轄地からこのノールデア領までにある3つの領国から集まりますので、900名ほどかと。」

「2000人か。」

「はい。ですので、その足は遅く、おそらく25日から30日は掛かると思われます。」

「なるほど。」


20日から30日。

こちらが準備するのは骸骨馬ぐらいだ。

部隊の訓練もあるが、黙って待っているのも愚策であろう。


「タバーニ。フェンクル領騎士団は知っているか。」

「知ってる。強い。でも勝つ。」

「そうか。シグス、今夜から街道封鎖をしているフェンクル領騎士団を襲う。今夜は偵察を兼ねて1隊だ。タバーニを連れて行くから5番隊か、6番隊だな。」

「畏まりました。マスター。」


俺はシグスとタバーニを軍団に戻し、メズノットを待った。



30分程でメズノットがやってきた。

緊張からか、その額には汗が浮かび、顔色が悪い。

「メズノット。」

「は、はいぃぃ。」

「腐肉喰いのスライム、どうなっている。」

「はい。お話を戴いてすぐにデ・ルーの街の商業ギルドに捕獲依頼書を送りました。おそらく、もうそろそろ、捕獲できている、のではないかと、その・・・。」

「まだ連絡が無いのだな。」

「は、はい。申し訳ございません。」

「そうか。」


デ・ルーの街の商業ギルドはトールデンがマスターだが、末端までは目が届かないか。

「わかった。デ・ルーの街には我が軍団より人員を送り、腐肉喰いを捕えさせよう。」

「えっ?骸骨を、ですか?」

「いや、屍人だ。その方が目立たないであろう。」

「ええ、そうですね。ローブのフードを被れば、おそらく。はい。」

「こちらからは5人出す。メズノット、彼らの装備と案内人として2人出せ。」

「か、畏まりました。」


こちらからは屍人のラムデスとジョセフ、それに屍人剣士のクロッカーら3人でいいだろう。


俺は軍団に戻り、今夜の準備をする。


■■■


【デ・ランブルブ騎士団 所属騎士バイロン】


チッチッチッ

グワァグワァ

ツゥィツゥィ


虫の声が賑やかな夜だ。

フェンクル領のデ・ランブルブの街の騎士団に所属している俺が、今日から領都騎士団の応援だ。

そして、初日から街道封鎖の夜警担当とは。

領都の連中は人使いが荒い。


今日は天気も良く、赤の月も青の月も夜空に輝いている。

しかし、でかい赤の月は、好きになれない。

くすんだ赤は、どうしても血の色を想像してしまう。


チッチッチッ

グワァグワァ

ツゥィツゥィ


それにしても、虫が煩い所だ。


南のノールデア領に続く街道を封鎖したのは、何でも骸骨の魔物が出たらしい。

詳しいことは教えられていないが、領都騎士団の連中は何を考えているのか。


「バイロン、状況は?」

「変らず問題なしだ。カラモ。」

「だろうな。こんな見通しの良いとこ、夜襲だって無理だろ。」

「そうだな。」


野営の相方のカラモが用足しから戻ってきた。

街道封鎖地点は領都の南500mぐらいの地点だ。

領都騎士団はここに臨時の騎士団宿営地を築く予定らしい。


周囲は起伏の無い草地。

区画を表す目印の木が数本あるだけで、この周辺は牧草地か畑になっているようだな。

林までは相当距離がある。

そして、街道も真っ直ぐに伸びている。

騎馬を並べて演習するにも良い土地だな。


カラモが隣に来て話しかけてきた。

「領都に着いた時に領都騎士団の奴らが話しているのを聞いたんだが、帝国騎士団が来るらしいぜ。」

「本当かよ。」

「ああ、俺たちが領都に呼ばれたのも、その為の人数合わせだとよ。」

「くそ。派遣がいつ終わるか分からないからって独身者集めていたのはそのせいか。」

「おいおい、バイロン。帝国騎士団だぜ。俺たちも活躍すれば、引き立てられるかもな。」

「カラモ。それは無いぞ。あいつらは俺たちを先頭に立たせて戦わせて、結果だけを持っていくんだ。」

「だからさ。活躍すれば目立つだろ。」

「カラモ。帝国騎士団に入れるのは容易じゃないぞ。それに今回の相手は骸骨だぜ。猪や熊の魔物とは違うぞ。」

「心配し過ぎだって、バイロン。俺の武技は『ハンマーの一撃』だぜ。骸骨なんてぺしゃんこだって。お前だって、武技は『剣の』」

「待て、カラモ。静かに。」


カラモの話を遮り、俺は周囲を見た。

特に、変わった所は無い。

「何かあったか、バイロン。」

カラモが小声で囁く。

「わからん。だが、風向きが変わった。それに、虫の声が止んだ。静か過ぎる。」

「って、ことは、何かが来てるな。」

「カラモ。隊長に知らせろ。」

「分かった。すぐに戻る。」


この時間、街道の土塁の歩哨は俺とカラモの二人だけだ。

他に周辺警戒に2チーム4人が出ている。

隊長たちは50m後方のテントの中だ。


カラモが離れて行く。

その時、俺の横の空間を、矢が飛んでいった。

目で見ることはできないが、その音は知っている。


ドサッ。

何かが草地に倒れる音がした。

何か、ではない。それはカラモの身体だ。


俺は土塁に身体を寄せて、街道前方の暗がりを見た。

何も見えない。

敵は何処だ。


周囲を視線で確認するが、何もない。

カラモを撃った矢は何処から?


前方は暗闇だ。

そうだ。おかしい。

なんで、そこだけ、何も見えないんだ。


暗闇が接近してくる。

俺の心臓が、静かな闇の中に大きな音を立てる。

それよりも大きく、奴らの足音が土塁を通じて伝わってくる。


闇が土塁を飲み込んだ。

俺の目の前に骸骨がいた。

いつの間にか、俺の周りに多くの骸骨がいる。


そして、俺の胸に、剣が、突き刺さった。


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