表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
26/111

25話 領都の共同墓地

馬車に揺られること半日。


共同墓地に着いたのは昼過ぎ。

太陽の日差しは強く輝き、見事な青空が広がっている。


この墓地には小さな神殿と1軒の家が建っている。

神官と2人の墓守りが暮らしているのだ。


だが、俺は彼らの魂に用は無い。


ノールデア侯爵の馬車が神殿前に止まり、神殿から神官が出てきた。

「これは、ノールデア侯爵様。この様な場所へ突然のお越し、本日はいかがなさいましたか。」

「ここに眠る骸骨に、我がマスターから魂が受け渡される。」

「は?」

「我が骸骨軍団の新たなる仲間の誕生だ。」


神官の相手をノールデア侯爵に任せて、俺とディエゴは墓場に向かう。

顔色が悪く、具合が悪そうに見えるノールデア侯爵を相手にしていた神官も、骸骨の俺とディエゴを見て固まっていた。


御者はノールデア侯爵配下の人間だが、割り切っているようだな。



この南の地は人間の居住可能エリアの南端にある。

この先、南に3日の距離から先は極寒の冬の地だ。


広大な墓地には数多くの骸骨が眠っている。


時間は真昼間だが、授魂した骸骨が目覚めるのは暗い土の中だ。

問題ないな。


俺は墓碑を確認し、成人男性の骸骨を選びながら「授魂」していく。


最初の骸骨は土の下から出てくるのに苦労したので、ディエゴが墓守りからスコップを借りてきた。

俺とディエゴで墓の上の土を掘ってやり、最初の1人は無事に誕生した。


俺はスコップをそいつに渡し、2人目の「授魂」を行う。

次はディエゴが2人目にスコップを渡し、3人目だ。

3人目が出た時、最初の1人目は3人目にスコップを渡し、神殿に向かった。

彼はノールデア侯爵の馬車の後について、領都まで歩いていく。

馬車も、彼の速度に合わせてゆっくりと進む。

その後を、2人目、3人目、4人目、5人目が続く。


南の共同墓地から領都への道は骸骨の列が延々と続いた。


騎士の魂287人分を「授魂」し終えた頃には周囲は闇に包まれ、月の光が降り注いでいた。

剣士の魂100人分も「授魂」し終えた。

これで、予定していた作業は終了だ。


俺は周囲を眺めた。

ここは広大な共同墓地。

ゴーストも多い。


墓地入口の神殿で聖水は手に入るだろうか。



神殿の入口を開けると、奥の祭壇前で祈りを捧げている神官と、その後ろに(ひざまづ)く2人の男がいた。

俺とディエゴが神殿に入ると、彼らは一斉にこちらを振り返った。


「が、骸骨・・・。」

「魔物が、神殿に入ってくるなんて。」


魔物か。

俺もそろそろ疑問が確信に変わりつつあるが、俺を含めた骸骨軍団は魔物ではないな。

領都までの行軍では騎乗していたので確認は難しかったが、デ・シームの騎士団との早朝の戦いでは、能力の半減状態にはならなかった。

夜中と変わらず、素早く動き、力を振るっていた。

では、俺たちは何者なんだろう。


魔王を討ち倒す為の骸骨軍団。


それで良いな。


俺は神官に声を掛けた。

「聖水はあるか?」

「せ、聖水はある。」

「では、それを戴こう。」

「いただく?なぜ、骸骨のお前が聖水を?」

「この墓地にはゴーストが多い、俺が駆除する。」

「えっ!?」


神官が固まり、男共が顔を見合わせる。


「聖水をもらおうか。」

「あ、ああ。」

神官は祭壇横の壷から柄杓で聖水を掬い、それを小さな器に入れた。


「神官殿。」

「な、なんだ。」

「その量ではゴースト退治は叶わぬ。水壷ごと貰おう。ディエゴ、壷を持て。」


俺の後ろに控えていたディエゴが通路を進み、聖水の壷を両手で抱えた。

神官は迫り来るディエゴに怯えて後退(あとじさ)っている。


「作業が終われば壷は返す。」


俺とディエゴは神殿を出て、ゴーストの彷徨う墓地の奥へと向かった。



ゴーストは俺たち骸骨が近付いても、攻撃や逃亡といった行動はしない。

今まで通り、浮いている。

なので、労せず60体を狩った。

まだゴーストがいるが、聖水が尽きたので、ここまでだ。


次は「授魂」作業だ。

ディエゴに壷を返しに行かせて、スコップを置いてある場所まで移動する。


最初の1体からだが、ゴーストの場合は一緒に名付けもしてやる。

少し時間が掛かるかな。


ディエゴと共にスコップを持ち、1体目の「授魂」をした。



道案内の骸骨の列は居なくなっているので、墓地には骸骨魔法操兵60体が揃っている。

うむ。良い眺めだ。


俺たちは領都へ向けて歩き出した。

空は明るくなり、領都には昼頃には着くだろう。


歩きながら考える事もあるが、まずは骸骨魔法操兵の事だな。


ゴーストとして活動していた魂なので、その魔法はゴーストが扱う種類に限定されている。

これは、当然だろう。

なので、先の7人と重複している。

名前を考えるのが面倒なので、同じ魔法を扱う者は同じ名前だ。

但し、ディエゴだけは特別の様だ。

彼の『魔法吸収壁』の魔法を持つ骸骨魔法操兵は他に居なかった。


骸骨魔法操兵 68名。

ライファノン 『癒し』   1名。

ディエゴ  『魔法吸収壁』 1名。

レッド   『火球』    7名。

ウィンガー 『風起こし』  9名。

ボルト   『電撃』    5名。

サーチャー 『周辺探知』 10名。

ムーヴ   『壁抜け』   9名。

テラー   『恐怖』    7名。


次は今回加わった新しい魔法を使う者達だ。

インビジー 『透明』 9名。これは骸骨の骨が透明になる。なので、剣を持てば剣だけが空中を飛び回る様に見える。

ノイジー  『騒音』 4名。これは任意の場所にバンッ!やドンッ!などの破裂音を鳴らすことができる。使いどころを考えないとな。

ダーク   『暗闇』 6名。これは自分の周囲の空間を闇で包み込む。半径3mぐらいの黒い煙の固まりに見える。


サーチャーは人に寄って行くゴーストらしい魔法だが、その精度があがらないと使い所が難しい。距離と人数の把握をお願いしたいところだ。

ウィンガーは冷たい風や生暖かい風を起こす。これは使い方を考えれば問題ない。9人は多いな。

ムーヴは良いな。この9名は剣の練習をしてもらえれば強力な戦力になるだろう。

インビジーも良い。潜入して相手の武器を奪うのもありだな。

レッド、ボルト、テラーはここまでの戦いで戦果を挙げている。

ノイジーは馬を脅かせたり、敵の注意を逸らす役割が期待できる。

ダークは夜はもちろん、昼間でも存在が際立つし、この闇の中はもちろん、その背後に骸骨剣士を配置すれば、敵からは見えない。


彼らの活躍が楽しみだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ