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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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22話 帝国の状況

さて、陽が昇るまでまだ時間がある。


骸骨軍団は街門の守りにメイヤーの6番隊を残して、一度騎士団本部に引き上げた。

作戦会議もあるので、メイヤーも一緒だ。


領都の街の外に待機させていた6番隊の馬も、一度中に入れた。

ラムデス達には問題ないが、トールット達商業ギルドの職員達には深夜におよぶ労働になっている。

しかし、もうしばらく頑張ってもらおう。

馬達も騎士団本部に連れて行き、休憩を取らせる。



骸骨軍団には街中の死体を集め、装備の回収をしてもらう。

死体は、神殿の前に積んでおけば、神官が処理するだろう。

その後は、騎士団本部にて装備の交換や馬の世話をさせる。


俺はシグス達と領主邸に向かった。


領主邸にはノールデア侯爵、ルチーム伯爵、ガーギウス帝国大使が揃っていた。

「揃っているな。」

「お待ちしておりました。マスター。」

「では、今後の方針を決める。」


骸骨軍団の直近の行動目標は領都に向けて進軍しているデ・シーム騎士団の殲滅だ。

その後はデ・シームの街の制圧の予定だったが、俺は少し予定を変更した。


まず、デ・シームの街にはソニーを再度メッセンジャーとして送り込む。

これで奴らは、北のフェンクル領か帝都に救援を頼むだろう。


我々は領都にて、新たな骸骨騎士を迎える。

今夜までの戦いの結果、俺が保持する騎士団員の魂は190人分ある。

さらに領都守備隊と領主邸などで戦いに巻き込まれた者の魂が100人分ある。彼らの魂は骸骨剣士となる。

さらにこの後、デ・シーム騎士団の魂が100人分加わるだろう。


ノールデア領領都の扱いだが、これは今まで通りにノールデア侯爵とルチーム伯爵に任せる。

但し、街の民には領都が骸骨都市となり、骸骨に対し敵対行動を取らないように通達してもらう。

デ・ルーの街の様に人間を代理に立てないのは、この領都に我々が長居しないからだ。


新たな骸骨騎士達を迎えた後、騎士団本部で装備を整え終われば、我々はデ・シームの街に向かう。

その時の軍勢は600人程になっているはずだ。



俺の説明が終わったが、口を開く者はいない。

俺は窓の外を見た。


外は闇に包まれ、先ほどまでの喧騒は消え、静かな街だ。


俺は視線を戻した。

「吸魂」した記憶について、確認すべき事がある。


「ノールデア侯爵、このノールデア領の騎士団団員数は合計447人。これに間違いはないな。」

「はい、マスター。」

「なぜだ。」

「ル・ゴール帝国よりの通達でございます。マスター。

ル・ゴール帝国に属する各領国において、騎士団団員は500人までとなっております。

このノールデア領には、3つの騎士団があり、団員が420名、それを率いる団長、副団長、分隊長が27名おります。」

「守備隊については?」

「同様に、守備隊隊員は1000名までと定まっております。」


なるほど。

帝国としては領国に過度な戦力は持たせたくないが、領国は持ちたい。

その妥協点といったところか。


「ガーギウス帝国大使。ル・ゴール帝国の領国は幾つ存在する?」

「18でございます。マスター。」


18。

各領国の騎士団団員が500人。

全ての騎士団を我が軍門に加えたとして、9000人。

守備隊の人数は、18000人。


「ガーギウス帝国大使。ル・ゴール帝国の騎士団団員は何人いるのだ。」

「帝都を含む直轄領内に3000人。北方の魔族領防衛線に2万人。でございます。マスター。」


騎士団を合わせて3万1000人。


「帝都守備隊は何人だ?」

「帝都治安部隊が3000人。帝国直轄地には5万人程度かと。マスター。」


つまり、現在の戦力を全て下僕にしても、骸骨騎士3万1000人と骸骨剣士7万人。

総勢10万の軍勢にはなる。

だが、魔王軍と戦うには、50万から100万は欲しいところだ。

それには、どれ程の年月が必要なのだ。


「まずはル・ゴール帝国か。帝国の他に人間の国は無いのだな。」

「現在ル・ゴール帝国と通商関係にある国はございません。しかし、北の魔族領を抜けた先には人間の国がある、と言われています。」

「魔族領の先、か。」

「はい。約500年前、この大陸に魔族の大侵攻がありました。」



ガーギウス帝国大使による帝国の歴史を聞く。


500年前。

大陸への魔族の大侵攻があり、大陸中央部が魔族の地、魔族領となった。


大陸横断山脈があるために大陸南部への被害は少なかった。

山脈の南側の国々は魔族に対抗する為にル・ゴール王国を盟主とした同盟を結ぶ。

南方10カ国連盟だ。


300年前。

10カ国連盟の一つ、トーレウス聖王国に魔王が出現する。

トーレウス聖王国は滅び、その被害は周辺国にも及んだ。

魔王戦争である。


戦争は長期に渡り、戦線は拡大し国々は疲弊していった。

だが、ついに、ル・ゴール騎士団が中心となり魔王を討ち倒した。


魔王消滅後。

大陸横断山脈の麓、元トーレウス聖王国周辺の地は木々に覆われた未開の地となり、依然として魔獣と妖獣が跋扈する魔族領のままだ。


戦争被害にあった国々には、ル・ゴール王国が中心となり復興を支援した。

その復興事業で経済、産業、軍事、政治の主導権を握ったル・ゴール王国はル・ゴール帝国となり、王はル・ゴール皇帝となった。

各国は帝国の領国となり、各王家は領主としてその土地を治めることとなった。



300年前の魔王戦争。

そう。

俺が戦い、そして死んだ。

あの戦いだ。


魔王は死んだ。

だが、トーレウス聖王国は復興しなかった。

そして、未だに多くの魔物が存在している。

ガーギウスの語る歴史はル・ゴール帝国から見た歴史であり、俺の記憶と齟齬(そご)がある。

しかし、結果として今の現実がある。


俺は領主邸を後にし、骸骨軍団を率いて街門前に布陣した。


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