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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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14話 商業ギルドと守備隊

デ・ルーの街の広場、正門、役所関連には、この街が骸骨都市になったお触れ、通知書をルー伯爵の名前で出した。


多くの人々にとっては、何の事かわからないだろう。

だが、一部の人々は騎士団の異変と、夜の街中を走る我々骸骨軍団の姿を見ている。


なので、気の早い者は、早々に街を捨て、街道を西へ、デ・シームの街に向かった。

だが、多くの人々にはこの街での生活がある。

それに、街中に被害が無く、街の人々は被害を実感できなかった。



ルー伯爵は資産家だ。

俺の骸骨軍団の戦力増強のために使わせてもらうとしよう。


俺は商業ギルドのギルドマスターを執政官邸に呼び出した。

屍人と骸骨騎士に囲まれ、俺とルー伯爵に対面した男は、トールデンと名乗った。

この状況で普通でいられるとは、なかなか豪胆な奴だ。


「いやはや、骸骨都市の通達は見ましたが、なるほど、ルー伯爵までもが屍人となっておりましたか。」

「トールデン。こちらが我々のマスターだ。お前に任務を与える、心して聞くように。」

「マスター?」


不審げな顔を向けたトールデンに俺が話しかける。

「そうだ。さて、トールデン。お前の任務はそちらの書状に(まと)めてある。確認せよ。」

俺の指示で、ルー伯爵がテーブルの上に出した書類を、トールデンが受け取った。


「騎士団の家族への遺族手当て支給。金貨20枚は相場の倍ですな。」

「金貨はこちらで用意してある。遺族の連絡先は騎士団本部にある。そちらには事務作業費を支払う。」

「なるほど。ご命令ではなく、依頼ですな。」

「お前に拒否権は無い。これは命令だ。」

「承知しました。事務手数料のお見積もりをお出しします。」

「いつになる。」

「本日の夕刻ですな。担当の者に持たせます。」

「わかった。次はそれだ。」

ルー伯爵が2枚目の書類を渡した。


「任命状。デ・ルーの街、副執政官?よろしいのですか?」

「構わない。我々は魔王討伐のために生まれた骸骨軍団だ。ルー伯爵を屍人とし、この街の騎士団を害したが、このデ・ルーの街は今まで通りだ。だが、我々の命令に人々は従わぬであろうし、我々も街の運営をする気は無い。なので、ルー伯爵に代わるまとめ役が必要だ。」

「それを、私にやれと。」

「そうだ。」

「畏まりました。このトールデン、マスターの(メイ)に従います。」

「期待している。」

「マスター、よろしいですか。」

「何だ。トールデン。」

「マスターがこのデ・ルーの街を掌握するにあたり、障害となる組織がございます。」

「守備隊か。」

「ご存知でしたか。」

「守備隊隊長には呼び出しを掛けてある。」

「承知しました。」


ルー伯爵とシグス騎士団長の記憶によれば、騎士団と守備隊の違いは所属する者が武技を使えるか否か、だ。

騎士団は魔獣が現れた場合に対応にあたり、領都や帝国からの出動要請があれば派遣任務もあり得る。

対して守備隊は街の守備と治安維持が任務であり、魔獣以外の通常の獣狩りや盗賊団などの対人戦を行う。

ただし、守備隊にも武技を使える者がいる。

騎士団には人数制限があり、能力の劣る者は採用されない。

そして、騎士団採用試験の対象年齢を過ぎた後に武技を身に付ける遅咲きの人間もまれにいる。

彼らの存在は多くは無いが、守備隊には貴重な存在だ。



トールデンの馬車が去った後、ややしばらくして守備隊隊長がやって来た。

6人のお付きの隊員を従え、完全武装だな。


「ラムデス、お前なのか。」

「マスターがお待ちです。ご案内いたします。」

どうやら、出迎えたラムデスとは旧知の仲だったようだ。


おかげで館の中での戦闘をせずに応接室まで来てくれた。


守備隊隊長はタリュジーンと名乗った。

ルー伯爵が俺を紹介する。


「それで、青目の骸骨様が俺を呼び出して、一体何の御用ですか。」

自分の座るソファの周囲に護衛の隊員を並べたお陰で、やや横柄な態度をとる。

これは空威張りというやつだな。

だが、そうか、俺の瞳は青いのか。


「タリュジーン、我々はこのデ・ルーの街を支配する。守備隊はこれを認めろ。そうすれば、我々がお前達を相手にする事はないだろう。明日からも今まで通りに過ごせる。」

「・・・、断ったら?」

「デ・ルーの街から守備隊がなくなる。」

「・・・。」

タリュジーンの視線が彷徨い、自分の手元を見る。

了承できない理由はなんだろう?


「タリュジーン、返答できぬか?」

「・・・できん。」

「ほう。なぜだ。」

「俺たちは守備隊だ。街の治安を守るのが勤めだ。街が魔物に支配されたならば、街を取り返さなければならん。」

後ろに立つ隊員達が同意する仕草を見せる。


「では、守備隊は我々とは敵対するのだな。」

「街に被害があればな。」

「被害?」

「そうだ。俺たちは街の治安を守る。だが、魔物の討伐は騎士団の仕事だ。だから、俺たちはノールデア領領都騎士団にお前達の討伐依頼を行う。」

「そうか。」

「その上で、俺たちは街を、街の人々を守る。」

詭弁だな。

だが、俺たちに手は出さない、という事だな。

「わかった。」


「なぁ、青目の骸骨さんよ。」

「なんだ。」

「あんたらは一体なんの目的があって、この街に来たんだ。」

「我々の目的は魔王討伐だ。その為に骸骨軍団を作り上げる。」

「作るって、どうやって。」

「強い騎士と戦い、その魂を使う。我々はいつでも強い戦士を求めている。貴様らもその資格がありそうだな。」

俺はソファの周りにいる隊員達を順に見る。

ひとり、視線を外さない者がいる。


「貴様の名は。」

「ルーク。」

「覚えておこう。」


タリュジーン達は帰っていった。



夕方。

商業ギルドからの使いの者が見積書を持って来たので、それを確認し、金貨を渡す。

しかし、徒歩で来た者に金貨3000枚入りの箱とその他の通貨入りの皮袋は持ち帰れない。


日も暮れる時刻なので、骸骨騎士3人に荷物を持たせて商業ギルドまで使いに出す。


騎士団本部では馬の世話だ。

昼間の馬の世話は住み込みの者がしている。

彼らは我々の姿を見て怯んだが、我々が危害を加えないと分かると、そのまま馬の世話をしてくれた。


馬も我々を受け入れ、その背に乗ることを許してくれた。

これは助かった。


今後の討伐部隊との戦いでは騎馬の有無が勝敗に繋がりかねない。

それに質の良い骸骨馬を生むには時間が掛かる。

屍馬では駄目なのだ。

乗馬可能を確認できたことは大きかった


後は訓練だな。

骸骨騎士たちにとってはいつも通りの訓練だ。

その中に剣を振れない者も混ぜて、一緒に訓練させた。


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