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魔のモノにも食べられるものがある。魔猪なんかがそうだ。
ウィンビーロの町を目指す中で、野営をしなければならない時には、そういったモノを食べる。
寝る際は木の根元で、巣に扮することで凌ぐこともあった。
ケイティと二人で。
そして到着した。
「で、だ。どこの墓地の下なんだ?」
「こっち」
霊園の側面、崖となっている所をずっと北へ行くと、大きな横穴を発見。
「ここに?」
「ええ」
墓地の下ともなれば、魔のモノが引き寄せられているのも無理はない。
(だからなのか?)
とりあえず入ってみた。
光と玉の接続魔環があるから光の玉を作り出すことができた。辺りが見やすくなる。
問題は入ってすぐに起こった。不死魔や不死騎士の群れによる襲撃だ。
「おいおいちょい待ち!」
すべてを防ぎ切る。木の板を手放さず、それを操る。火なら放つ。
ケイティもまた、鉄板を手放さない。水や土、葉も放つ。
後退しながらすべて対応。
なんとか倒し切ると、
「怪我はないか?」
「ええ、大丈夫」
と話す二人の前で、チリンチリンと何かの落ちた音が鳴った。
慎重に見やる。
そして、それを拾い上げた。
刀の接続魔環と剣の接続魔環だった。
俺の右手人差し指の接続魔環が、木、机、火、剣の順に繋がった。
「それはケイティがしたほうがよさそうだ」
「なるほど?」
ケイティの右手人差し指にあるのが、鉄、葉、刀の接続魔環になった。そこで彼女は少し首をひねった。そして葉、刀、鉄の順に変えた。
これは、隣り合うほうが強力だからだろう。
人工的な道。魔のモノが引き寄せられただけにしてはこの場にその存在が集中し過ぎているのが気掛かりだった。なにかおかしい。
そう感じながら光の玉を頼りに進む。
広い場所に出た。と同時に、仕掛け扉のようなものを見つけた。どうやって開ければいいのかは分からない。
辺りを見回す。
石柱の上に装飾の球体があったが、それが急にこちらへ向かってきた。
(ちょまっ)
その一瞬に、力を込める。
天井にぶち当たった球体が落ちてきながら消失し、指環になった。
球という意味のこの世界の字が書かれた指環。接続魔環。
「ケイティが持ってろ。まさかこっちも動くんじゃないだろうな」
別の石柱の上の装飾としてであろう球体にも目を向けた。ただ、これもだとしても、もう油断はしない。
ケイティの左手の人差し指の接続魔環の並びが、治、水、球、土になった。ケイティがそれをこちらに示した。それは多分、これで戦うからね、という意味だろう。了解だ。
(そのつもりで俺も動かないとな)
それにしてもだ。仕掛け扉らしきものをどうすればいいのか。分からない。
奥まった所へ行くと、女神像らしきものを見つけた。女神? なぜか自然とケイティのほうへと視線が向いた。
(そういやそれに近いかもしれないな、ある部分は)
「ケイティ」
「何、レン」
「ケイティの魔力でどうにかできないか?」
「私の? あー、それ? まあやってみるけど」
甲高い音がした。
また指環だ。
(仕掛けじゃないのか)
癒という意味の言葉が刻まれた接続魔環。それが現れ小高い台に落ちた。代わりに女神像が消えた。狂暴な魔のモノだったのか。はたまた協力としてのこれなのか。
治の接続魔環をケイティが持っているので、
「じゃあこれは俺が」
と、戦術的に、左手の人差し指にはめた。そこの並びが、玉、光、風、癒になる。
「闇の港ってのはポートだろ、今ハッキリと思い出した」
俺はそう言いながら広い空間のほうに目をやった。ほかに何があるっていうんだ。目にそういう想いが籠もる。
「ただ、ここが思い出せない。それとも俺は知らなかった? どっちなんだ」
仕掛け扉らしきもの。それをどうするのか。
魔力を込めてみる。
「開かない。というか参ったな、どれだけ時間がかかるか」
「思い出せないの? まあ私もちょっと自信はないけど」
「よし、一旦出よう。あの指環が必要だ」
ウィンビーロの町の魔環ショップを探した。入ると展示品を舐め回すように見る。
「あった!」
食の接続魔環。
「これをくれ!」
「じゃあ8万ロル」
かなりの高額商品だ。
(くう、手が出ない。これがあればどんな旅の途中でも困らないのに!)
「私が出すわよ、そのくらい」
「ケイティ!」
(あるのか。手元に。8万だぞ。1個で)
「はいどうぞ」
支払いを終えたケイティがそう言ったから、
「ありがとう、ケイティのおかげだ」
このおかげで、右手の人差し指の指環が、木、机、食、火、剣の順になった。こうすれば食卓も出せる。
あとは腹持ちのいい菓子さえあればいい。栄養面については二の次だ。数日で終わらせるつもりだからな。
菓子店へ向かった。そして入った。
しかしどれが戦場に持ち込むものとしていいか。
どの世界にも携帯食というものはあって、この世界もその一つ。戦時用なら硬くて、だけど食べやすい、持ちやすいものがいい。
だが、なぜだか今は自信がある。壊さない自信が。
だから、商品を見る目の感覚を研ぎ澄ませつつ、味のイメージにも集中した。
「どれにしようかなあ」
「私はどれでもいいからね」
「どれにしようかなあ」
二分は考えたと思う。
「じゃあこれ、『もっちりバタあんドーナツ』で!」
これに関しては自分で買った。
時間がかかり過ぎたらこれを操ればいい。
さあ、再度突入だ。




