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クロエ  作者: KAE


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6/27

〈6〉

ジル達小隊は無事に砦に出発していった。


「これから鍛錬はどうする?ジル達は行ったが…他の小隊の鍛錬に入れてもらうか?」

とクロエが聞いてきたのでマックスは少し考えて


「朝の鍛錬は他の小隊に入れていただきたいと思うのですが、ボイジャーとも鍛錬を続けたいと思うのです」


「そうか…わかった。朝の鍛錬後、午前は早駆けを私としよう。ウイングも時間を持て余しているのでな…」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


そして、次の日から朝の鍛錬のあと、二人と2頭の早駆け訓練が始まった。


ボイジャーは丘まで全力疾走で駆けても余裕で走り切れるようになった。

丘に着き2頭は小川の水を飲みに行っている。

その様子を並んで見ていた。


「ふふ、随分余裕が出てきたようだな…明日からボイジャー達に馬鎧の胸当てだけつけて早駆けしてみよう」


「はい」


「リンダ小隊での鍛錬はどうだ?」


「ふふ、なかなか厳しいです。女性が多い小隊ですが、甘く見てはいけないですね…手合わせは負けることが多いですから…」


「男性と女性では戦い方が違うからな…」


「女性小隊長なんてすごいですよね…」


「そうか?ふふ」マックスは正直な感想を伝えただけなのだが、クロエは嬉しそうだ。まるで自分が褒められたみたいにはにかんでいる。


不思議に思ってクロエを見ていると、その視線に気づいて「ジルの前の隊長は私だった…」と驚きの告白をした。少し自慢気なクロエが可愛く見えたマックスだった。


「ええ?クロエ様が?」


「ああ。父上が亡くなったから、辞めたけどな…」

遠く地平線の方を見てクロエは告白した。


「そうだったんですね。あの、なぜ亡くなったかお聞きしても?」


「別に構わないよ…」


変わらず地平線を見つめてクロエは話し出した。


「隣国と国交交渉が行われたのは知っているだろう?

そのさきがけで両親が隣国に交渉前の交渉に行ったんだ。交流も兼ねて…聞いたところにによると非常に友好的だったらしい。しかし辺境への帰り道、盗賊に襲われて亡くなった。盗賊というのは表向きで、隣国の反対勢力が国政を混乱させる為に起こした騒動だった。隣国は〈盗賊の仕業〉だと主張したかったようなんだが、こちらにも生き残りがいて、捕虜を捕まえていたので誤魔化せなかった。結局、国同士が話し合って〈盗賊の仕業〉の悲しい事件にした。お互いの国家事情もあったのだろうな…」


「そんな…泣き寝入り…ですか?」


「戦争の緊張がなくなるのが一番だからな…。それに、国からも隣国からも見舞い金や慰謝料やら受け取ったから…ふふ」

クロエは相変わらず地平線を見ている。ふと見ると、握った拳に力が入っているのがわかった。


「そんな…割り切れない…。それはクロエ様がいくつの時だったのですか?」


「4年前だから16だった…17歳の誕生日前だった。だから〈代理〉の資格を得られた」


「え?今クロエ様は20歳なのですか?」


「ん?どういう意味だ?もっと老けて見えるか?」


「いえ、そんな意味ではありません。そんな若い頃からこんな重責を背負って…尊敬に値します」


「ふふん!そうだろう?もっと尊敬してくれていいぞ…ふふふ」

少しイタズラっぽい視線をマックスに送り再び地平線を見るクロエが風に吹かれて高いところでひとつにまとめた長いサラサラの栗色の髪が風に靡いていた。

マックスの目にはクロエが神々しく見えた。


次の日から、ウイングとボイジャーは胸当てだけをつけて早駆けをした。

さすがに重かったのか、2頭とも汗をかいていたので、小川で水浴びをさせることにした。

鞍を全部外し、小川で好きに遊ばせた。

川岸でその様子を見ていたマックスにボイジャーがふざけて後ろ脚で水を蹴りマックスにかけた。


「ブワッ!お前!」そう言うとマックスは川に入り、ボイジャーに水をかけて、ひとりと一頭は川でふざけ合っていた。


その様子を離れたところでウイングと一緒に見ていたクロエは「仲いいな…」とウイングに話しかけ、ウイングも「ブルブルル」と鳴いていた。


「ん?ウイングも仲間に入りたいか?」


「ブルブルル」と立て髪を揺らすウイング。


「いいぞ!行ってこい!」と首を優しくタンタンと叩いてやった。


ウイングはバシャバシャと川に入ってマックスとボイジャーと一緒に水遊びを楽しんでいた。


暫く遊んでマックスはボイジャーとウイングを連れて川から上がってきた。

マックスの髪からポタポタと水滴が落ちていた。

前髪をかき上げて楽しそうに笑いながらクロエの方に歩いてくる。


「マックス、ずぶ濡れだな!ははは、…髪、随分伸びたな…」


マックスの髪はいつの間にか肩あたりまで伸びていて、濡れた金色の髪がキラキラしていた。


「ちょっと待ってろ…」と言って自分の髪を結んでいる紐を解いた。

サラサラの栗色の髪がふわっと風に靡いた。


綺麗だ…とマックスは思った。胸がドキリとするのを感じたが、それがいったい何なのかはわからないままだった。


「これを使うといい…」と緑の組紐を一本マックスに差し出した。


「あ、ああ…ありがとうございます」と慌てて受け取った。


クロエはクロエの手元に残った一本の赤い組紐で上手に髪を結んでいる。


マックスも真似て緑の組紐で髪を結ぼうとするが、上手くいかない

「あれ?…ん?」と戸惑っていると


「ふふ、できないのか?仕方ないな…」笑いながらマックスの後ろに回り上手にマックスの髪を緑の組紐で結んでまとめた。


「あ、ありがとうございます」なぜかマックスはまたドキドキしていた。


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