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クロエ  作者: KAE


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53/63

〈53〉

「え?殿下が?」


「ドミトス公爵が護衛として現地調査に向かった時の商会は私と、ハドソン、アイルナ、ナグラダ、ガイナの諸侯達の街道の平素の姿を見るための仮の姿だったのだ。だからあの時、私も襲われたのだよ」


ジェームスとロベリアは言葉もなく青い顔で呆然としていた。体が震えてくる。

〈王族を襲った〉それだけで、これから何が待ち受けているか理解できたから、ふたりは体の震えがおさまらなかった。


「〈護衛達〉のおかげで、無事だったけどね。それがいろいろ調べるきっかけになった。ランドルクよ、違法なことにも手を染めているようじゃないか…」


エリックの言葉にジェームスは何も答えられなかった。ロベリアも同様だった。


「言葉もない…か。ゆっくり時間をかけて尋問させてもらおう。衛兵!ふたりを牢に!」


そしてランドルク伯爵夫妻は衛兵に拘束されて部屋を出ていった。

………………………………………


遡ること数刻前、ボロボロのクロエとマックスがアルシェッタ邸に帰ってきた。


迎えたイーサンとアンジェラは驚いていったい何があったのかを聞いてきた。

しかしふたりともボロボロなのでまずは風呂と着替えをして落ち着いてから…と思っていたところに王宮からエリック王太子の召喚の知らせがきた。


クロエは直接、マックスは一度屋敷に戻ってから王宮に向かった。


王宮に到着したクロエはエリック王太子の客間に案内された。

そこには既に、ハドソン侯爵、アイルナ伯爵、ナグラダ伯爵、ガイナ伯爵が到着していた。


クロエはエリック王太子をはじめ諸侯に挨拶をしてから、お互い久しぶりの再会を喜んでいた。


全員が揃うまでは…と旅の思い出話に花を咲かせていた時マックスの到着が知らされた。


お互い挨拶を済ませて、エリックに勧められてソファにかけて落ち着く。


「さて、みんな揃ったね。皆元気そうでよかった。早速なんだが、今日、ハドソン侯爵から書簡が届いて、内容が内容だったから情報を整理して共有しようと思ってきてもらったんだ」とエリックは話始め、続きをハドソン侯爵に委ねる。


「皆で現地調査の旅をした時、ボイジャーが反応した花を覚えているかい?」とハドソン侯爵は話し始めた。


クロエとマックスは「ええ、もちろんです」と答える。


「ガイナ殿が旅を終えてからあの花の根から毒物抽出方法を調べてくれたんだ」


クロエとマックスがガイナ伯爵を見るとガイナ伯爵は黙って頷いた。


「なかなか複雑な工程を踏んで抽出するらしい。そしてその技術を取得するにはかなり研鑽を積まなくてはいけないらしい。ハドソン侯爵家では薬事事業も行っていてね、相談を持ちかけてくれたんだ。ウチの研究所の薬師からこの工程を知る薬師を数人紹介してもらい話を聞いた。君達も知っての通り薬師は国家資格だ。有資格者は所在を明らかにする必要がある。だから、殿下にも協力を仰ぎ、アイルナ殿やナグラダ殿にも協力してもらって皆で所在確認と研究実績を確認したんだ、すると1人だけ所在不明の者がいた。その者は抽出工程を知るひとりだと言うこともわかった。そこで、皆で追跡調査をした。アイルナ殿がその者を見つけてくれた。そしてあるギルドに行き着いた。しかしそのギルドの運営者として登録している者の実体がなかった。そこでアイルナ殿とナグラダ殿が運営している商会のつてを使って、そのギルドを実質的に運営している者を調べてもらった。

蛇の道は蛇というだろう?商会繋がりで両方向から突き詰めてもらったら、そのギルドの実質的な運営者はランドルク伯爵だった。そしてそのギルドは裏で毒茶葉や有毒物質を売っていることも判明した。もちろん違法だがね…

流石に黙認できないのですぐにエリック王太子に連絡した次第だ」


マックスは「皆さん、本当にありがとうございます。これで真の首謀者が判明するはずです」


頭を下げて感謝を示すマックスを皆が微笑んで見ていた。そしてエリックは「仲間だからな!」と笑い

諸侯達は「そうそう!」「仲間ですからな!」とマックスの肩を叩いて笑っていた。


そして「そろそろランドルク伯爵夫妻も到着する頃だろう…どこまでしらをきり通すかな、隣の部屋で聞いているといい…」とエリックはニヤリと笑った。


その時マックスが「ひとつ報告があるのですが…」と

今日の午後、以前マックスを拉致した者達に再度襲われたが、その依頼者はロベリア・ランドルクで報酬を支払ったのはジェームス・ランドルクだと言う証言を得て襲撃者は王都騎士団に引き渡した事を話した。


エリックは「なるほど…報酬か…それも併せて追求してみよう…まったくなんて奴らだ…」と呆れながら方針を決めた。


………………………………………………


ランドルク伯爵夫妻が近衛に連行されて行って、エリックは隣室に戻ってきた。


クロエ達は立ち上がりエリックを迎えた。


「殿下。お疲れ様でございました」とハドソン侯爵が代表して労を労う。


「いや、それは君達だ。たくさんの証拠を集めてくれた。自白も得た。あとのことはこちらで引き受けよう。できうる限りの厳罰に処すつもりだ」


マックスは改めてエリックと諸侯に向かい深々と頭を下げて「本当にありがとうございました。私だけではなし得ませんでした」と感謝した。


エリックは笑いながら「仲間の命が脅かされているのを放っておくわけがないだろう?それに実行犯を捕まえたのは君達だよ…」


諸侯は口々に、そうだ!そうだよ!とマックスとクロエの労も労っていた。


「さて、遅くなったが、一緒に食事でもどうだ?久しぶりに皆と飲みたい気分だ」とエリックがその場の空気を変えてくれた。


皆は久しぶりにテーブルを囲み楽しいひと時を過ごした。




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