表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロエ  作者: KAE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/63

〈44〉

コンコン、扉がノックされてマックスの執務室にレオナードが入ってきた。


「兄上、おかえりなさい。デートはいかがでしたか?」


「ただいま、楽しかったよ。それより今日もロベリア夫人が来たらしいな」


「はい、そうなんです。まぁ、前回のように花瓶は壊されませんでしたけどね…」と肩を竦めてレオナードが報告した。


「義母上は?」


「せっかく落ち着いていたのに、また寝込みました」


「そうか…でもレオがいてくれてよかった。また暴れられても困るしな…」


「最近のお祖母様は怖いです。何か目つきが血走っているようで…」


暫く考え込んでいたマックスは「レオ、義母上だが…どこかロベリア夫人が知らないところで療養してもらうのはどうだろう?このままではいけない気がする」


「母上が良いのなら僕は賛成です」


「私から話してみよう…」とマックスはレオナードと連れ立ってアンジェラの元に向かった。


…………………………


コンコン、アンジェラの私室の扉がノックされてレオナードが入ってきた。

「母上、加減はどうですか?」


「ああ、レオ。ありがとう。少しましになったわ」とアンジェラはバルコニーに出られる窓際に置かれた安楽椅子にもたれて座っていた。


「兄上がいらっしゃっていますよ、母上と話がしたいって」


「え?…そ、そう。入ってもらって…」


レオナードがマックスを呼ぶ。


アンジェラはマックスと面会するのはほぼ3年ぶりだった。ずっと彼を避けていて、マックスが帰還した時はずっと部屋に篭っていた。


マックスが「失礼します」とアンジェラの私室に入ってきてアンジェラは驚いた。


「マクシミリアンさま?」

アンジェラの記憶にあるマックスとは違っていた。

彼は元々体格は良かったが、これほど存在感があったろうか?髪が伸びたせい?肩幅が広くなった?

金色の瞳は以前より深みを増した気がした。


「はい、ご無沙汰しています」マックスは軽く一礼した。


「ふふ、母上。驚いたでしょ?兄上が療養から戻られた時、僕も驚きました。本当に病気だったのか疑問に思ったくらいです」


「ええ、本当に…」


「挨拶にくるのが遅くなってすみません。屋敷に戻ってすぐに仕事が忙しくなったものですから」


「ええ、聞いています。交易路開通の視察に行かれたと」


「ええ、先日、やっと帰還しました」


「それは、お疲れ様でした」


「その間、怖い思いをされた。と聞きました」


「あ、…」


「義母上。食もかなり細くなってきている。とも聞いています。ロベリア夫人のせいだと言うこともわかっています。このままではあなたまで命を落としてしまう。そこで提案なのですが、ロベリア夫人の知らないところに療養に行かれてはいかがでしょう?あまり離れてしまっては何かあった時に駆けつけられないので王都の中で探します」


「え?でも、私は…そんな資格は…」


「無いことはないですよ。貴女はレオの母親です。ちゃんとレオを見守ってやってください」


「マクシミリアン様…」アンジェラはまだ困惑の表情を崩せなかった。罪悪感がアンジェラを押し潰しそうだった。


「でも…でも…」言い淀むアンジェラに


「母上。まずは体を元に戻しましょう!それから考えましょう!…ね、兄上」


「ああ」


「ああ、ありがとうございます。ありがとうございます」

ふたりの息子に見守られながらアンジェラは顔を覆って泣き崩れていた。


数日後の深夜、アンジェラは秘密裏にアルシェッタ辺境伯邸に移った。


このことは、マックスとレオナード、エリオットのみが知る移動だった。


………………………………………


「クロエ…ありがとう、一番安全な所に匿う事ができた」


「ふふ、そんな大袈裟な…アンジェラ様は疲れていたんだな、あれから3日間熱を出されていた」


「…そうか」と言ったマックスはクロエを抱き寄せた。


今日、クロエとマックスは郊外の湖畔にデートに来ていた。


マックスに抱き寄せられたクロエもマックスの背中に手を回してマックスを抱きしめる。


「ふふ、マックスの匂いがする」

今日のクロエはマックスに買ってもらったラベンダー色のドレスを着ていた。


「ロベリア夫人はその後家に来たのか?」


「ああ、来たよ…〈アンジェラをどこへやった?〉って怒ってた…教える訳ないけどね」


「なんて言ったんだ?」


「心労が祟って倒れました。誰も近寄れない所で療養してます。って」


「誰も?…ふふ。承知したマックスとレオ殿以外はすべて追い払ってやろう…」


「クロエは頼もしいな」


「惚れ直したか?」悪戯っぽくマックスを見上げてクロエが言うと


「これ以上惚れさせてどうするつもりだ?」とマックスもニヤリと笑いクロエに口づけた。

暫くふたりの影はひとつになっていた。


ふわりと初夏の風が湖畔を吹き抜けた。

ふたりは抱き合ったまま、湖に目をやり、キラキラひかる湖面を見ていた。


「クロエ」


「うん?」


「これが片付いたら、ふたりでまたここへ来ないか?あのホテルの部屋から見える朝日に照らされた湖面はそれは綺麗だそうなんだ…クロエと見たい」


「いいな…私もマックスとふたりで見たい」


「ふふ、その日が来るのが楽しみだ。約束な…」


「ああ、きっとすぐだろう…約束だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ