〈26〉
王都の屋敷に戻ったクロエは王宮に帰還したことを知らせた。
翌日、王宮から3日後に王宮に参謀と共に参内するようにと召喚状が届いた。
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謁見の間で、マックスとふたり国王の入場を待つ。
ふたりの間に私的な会話はなかった。
暫く待って、国王の入場が知らされた。
国王は宰相と王太子を伴い入場してきた。
クロエはカーテシーで、マックスは臣下の礼で3人を迎えた。
「クロエ・アルシェッタ。マクシミリアン・ドミトス。大儀。面をあげよ。」と国王の声がかかり姿勢を元に戻した。
「さて、クロエ・アルシェッタ辺境伯代理よ、此度の〈けじめの見届け〉大儀であったな」と少し眉を下げた国王が労るようにクロエに話しかけた。
「恐れ多いことでございます。無事に見届けることが叶いました」
「うむ。マクシミリアン・ドミトスも参謀としての〈見届け〉大儀であった」
「はっ」
「これで、盗賊を仕掛けた首謀者である、元宰相は処刑された。繰り返すが、今回は、首謀者ひとりが処刑された。その方たちはそれを見届けた。よいな」
「はい」 「はっ」ふたりは胸に手を当て臣下の礼で了承の意を示す。
「そうそう…離宮で病気療養中だった、ムーンベルクの王弟も治療の甲斐なく亡くなったそうだ…今回の件とは関係ないが…な」
国王は続ける。
「両国の憂いもなくなって、正式な謝罪も受けている。今後は友好国として交易路の開通を目指す。我が国からは王太子エリックが主導となり、ムーンベルク王国はランスロット王太子主導で話を進めることが決定した。
ムーンベルク王国側は辺境伯が街道整備の取りまとめをして態勢を整えるそうじゃ、我が国はまだ法の整備が整っておらず、女性の領主の権限が確立されていない、よってマクシミリアン・ドミトス公爵が辺境伯代理の参謀として街道整備の取りまとめをを代行せよ」
「はっ、かしこまりました。ご下命謹んで承り、精進いたします」
「うむ。辺境伯代理よ…そうは言っても辺境伯領は其方の領地。領主としての役割はしかとこなしてくれよ」
「お心遣いに感謝いたします。心して職務に邁進いたします」
「うむ。…では王太子が後を引き継ぐ。頼んだよ」と言って国王と宰相は退室していった。
残されたのは、王太子とクロエとマックスの3人。
「という訳だ。よろしく頼むよ。では、場所を変えよう」と王太子は自分の執務室にふたりを連れていった。
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「まぁ、かけてくれ」
クロエとマックスは勧めてもらったソファに並んで腰掛けた。
王太子エリックは「此度の件、大変だったね。辺境伯代理は大丈夫だったかい?」とクロエに労いの言葉をかけた。
チラリとマックスの方にも目をやるが、マックスは感情のない顔でエリックとクロエの話を聞いている。
「お心遣いありがとう存じます。〈処刑〉というのに立ち会ったのは初めてでございましたが、これまで〈諍い〉は度々起こっておりましたので…」と最後は言葉を濁して礼を言った。
「…そうか。我らが安寧に暮らせるのは、そういう辺境の苦労あって…なのだったのだな…」
「もったいないお言葉でございます」
「私にも今年12になる娘がいる…なんとも切ない。
そのためにも、諸国との外交は重要だ。是非とも協力してほしい」
「殿下のお気持ちしかと受け止め力の限り努めさせていただきます」
「そうか、頼む」
そしてマックスに視線を移して
「ドミトス公爵、陛下から一応の話は聞いた。災難だったな…」と声をかけ、チラリとクロエを見た。
クロエも感情のない顔でエリックとマックスの話を聞いていた。
「誠にお恥ずかしい限りです」
「どの家も大なり小なり問題は抱えている…気に病むな…手がかりは?」
「残念ながら、まだこれと言ったものは…」とマックスも曖昧に答えた。
「そうか…。落ち着かないところ悪いが、新規交易路の開通の取り纏めを頼んだよ。そしてその成果を利用しろ。悪人ほど権力と金の力には弱い…ふふ」
エリックは意味深な笑いと共にマックスに言った。
「…はは。そうかもしれません」
「さて、今後のことだが…」とムーンベルク王国との折衝の途中経過と交易路開通調印式までにしなくてはならないことを打ち合わせして、交易路が通る領地を治めている諸侯との会合日を決めてその日は散会となった。
ふたりは王宮の正面玄関に向かう長い廊下を歩いていた。
クロエは「その後、公爵家は大丈夫だったのか?」とかねてより気になったことを小声で尋ねた。
「ああ、俺のいない間に2回接触があったらしい。一度は屋敷にきて、レオナールが母親に張り付いて金の無心をするタイミングを与えなかったらしい。そしてもう一度はランドルク伯爵邸に呼び出された。とレオナールが教えてくれた。俺が健在だから、そうそう自由にはできないこともわかっているんだろうけど…随分困っているみたいだ…。俺の不在中、レオナールが頑張ってくれていた。バートとアンナがいてくれてよかった、随分支えてもらったらしい。クロエにも感謝する」
「そうか…役に立てたならよかった。手伝えることがあれば遠慮なく言ってくれ、そばにいられないから気になる」
「ふふ、ありがとう。クロエの気持ちが聞けて嬉しい。俺もクロエのそばにいたい。調印式が終わるまでの辛抱だ…1日でも早く纏まるように頑張ろう」
「ああ、そうだな…調印式が終わるまでの辛抱だな」
「ああ…」
ふたりは顔を合わせることなく、前を向いたまま話しながら歩き玄関の車寄せまで来た。
そして、ふたりはそれぞれの馬車に乗り王宮を後にした。
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「エリック、どうだ?」
「特に親密そうな素振りはありませんでした」
「そうか…」
「仮にふたりがそんな仲であったとして、公の場で感じさせない態度を取っているのなら、公私の区別をはっきりさせる者達なのでしょう。今回の政務にも私情は持ち込まないのではないかと判断しました。…今のところ」
「ならばよい。交易路が通るとそれを取り巻く者達の欲が出てくる。エリック頼んだよ」
「皆、我が身が可愛いですからね…しかと承りました」
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そして数日後、交易路が通る領地を治めている諸侯とドミトス公爵が王宮のエリック王太子の元に参内した。
王都から近い領地から
ハドソン侯爵、アイルナ伯爵、ナグラダ伯爵、ガイナ伯爵そしてアルシェッタ辺境伯代理と参謀のドミトス公爵だった。




