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クロエ  作者: KAE


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18/27

〈18〉

「へぇ…なかなか上手いじゃないか!」


「マックスのリードのおかげでな!」


大勢が流れる曲に合わせて踊る中、クロエとマックスもその波に乗っていた。


マックスの右手がクロエの左手を包み、マックスの左手がクロエの細い腰に添えられ、クロエの右手はマックスの左肩に乗せられ、体が密着するように踊る。普段から鍛えているふたりは、姿勢も崩さず、息のあった足捌きでダンスする者達の間を上手くすり抜けている。

そんなふたりに周りにいる令嬢、令息が熱い視線が送り続けられていたが、ダンスと会話に夢中なふたりはまったく気が付かなかった。


独身の高位貴族で見目麗しい男性となれば令嬢達の熱い視線は避けられない。

ダンスの曲が終わり、挨拶を交わしたふたりはマックスのエスコートでダンスの輪から離れた。

「ふふ、可愛らしい皆さんがマックスのお誘いを待っているようだぞ…」クスクス笑いながらクロエがマックスを茶化す。


「そう言うクロエだって、あっちから物欲しそうな令息達が視線を送っているぞ…」


「私はもういい…楽しかった。ありがとう」とマックスを見上げた。


マックスは笑顔で見上げてくるクロエにドキリとした。胸の谷間も視界に入り、目のやり場にも困る。


「私はあのあたりで休んでいるから、あちらの可愛らしいお嬢さんを誘って、踊ってきたらどうだ?」


「……。」マックスはじっとクロエを見ている。


「?…どうした?」クロエはキョトンとした顔でマックスを見上げてくる。


きっとマックスがクロエのそばを離れたら、あの令息達がクロエに群がってくるだろう…

「それは嫌だ」と思った。


マックスは何も言わずにクロエをグイグイと引っ張って、テラスの方へと方向転換した。

途中で給仕からシャンパングラスを2つもらう。


テラスに出たふたりは、大広間の熱気に当てられて火照った顔を外気で冷やした。


「あー、気持ちいいな!…ふふこんなに楽しいのはいつぶりだろう?」


「それはよかった…俺も久しぶりに楽しかった」

そう言ってふたりはグラスに口をつけた。


テラスの柵を背にしてもたれ、大広間の方を向く。


大広間では宴が続けられている。


「ふふ、ダンスなんていつぶりだろう…デビュタントでお父様と踊って以来か…」クロエが独り言を言った。

マックスはそんなクロエから目が離せなかった。


「お父上以外とは?」


「…ない。あれが最初だった」


「じゃ、俺が唯一か…。ふふふふ」


「なんだ?唯一って」


「親以外でクロエが踊った男性は…俺だけ」


「あ、まぁ確かにな!ふふ」

マックスはなぜだか嬉しかった。

「クロエ、今日はこれからもうひと仕事ある。帰ろう!」


「ふふ、そうだな!顔見せは終わったし、ロベリア夫人の驚いた顔も拝めたし…。それに今頃公爵邸も大騒ぎだろう…ふふ」


「俺も見た。少し胸のすく思いがしたよ!さぁ、今度は義母上がどんな顔して出てくるのか…楽しみだな!」


そしてふたりは速やかに王宮を後にしていた。


………………………………………


その頃ドミトス公爵家は当主の帰還準備で大騒ぎだった。


エリオットは今日の午後一番でアルシェッタ辺境伯の者が持ってきたドミトス公爵の私信を受け取った。


王宮舞踏会に出席して国王陛下にご挨拶をしてから帰還する。

命の恩人であるアルシェッタ辺境伯代理と一緒に帰還するので準備を頼む。とあった。


(マクシミリアン様がお戻りになる。辺境伯領でお世話になっていたのか…ありがたい)

ランドルク伯爵家の別邸で見つけたマックスと屋敷の柵越しに再会したマックスがあまりに違っていたので、献身的に世話をしてもらったということは想像に難くなかった。


そしてすぐに帰還準備と客間の準備に取り掛かった。

それと同時に、前公爵夫人アンジェラにも〈当主帰還〉のことを伝えた。


マクシミリアン帰還の報を聞いたアンジェラが顔色をなくしていたように見えたが、あまり深く詮索することなく使用人達への指示に気を取られていた。


反対にレオナールは兄の帰還の報を聞いてエリオットに「兄上が帰ってくるって本当?」と嬉しそうに確認してきていた。


「ええ、本当ですよ!今日の王宮舞踏会に出席してからお戻りになるそうです」


「2年ぶり?もうお元気になられたんだね!よかった」


「レオナール様は兄上様が随分お変わりになったことにきっと驚かれますよ!ふふ。お客様もお見えになる予定ですので、お召し替えされてくださいね」


「ああ!着替えてくる!」


その中で一番戸惑っているのがランドルク伯爵家から派遣されてきていた使用人達だった。


「当主が帰還?…レオナール様が時期公爵になるまで、アンジェラ様が後見になるのではなかったのか?」


「我々はどうなるんだ?」

彼らには当主の帰還は不安でしかなかった。


ロベリアからの命を受けて、ドミトス公爵家の内情を連絡していた使用人が密かにランドルク伯爵邸に向かった。


そしてその夜、アルシェッタ辺境伯家の重厚な馬車がドミトス公爵家の立派な門をくぐった。


屋敷の正面玄関の車寄せに馬車は停車し、御者により扉が開けられる。


ネイビーのフロックコートを着たマックスが最初に降り立ち、マックスのエスコートで艶やかなドレスを纏った美女が降り立った。


ふたりの姿がとても美しくあまりにもお似合いで、迎えに立った、エリオット、レオナールはもちろん使用人達もうっとり見惚れてしまっていた。


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