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クロエ  作者: KAE


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12/27

〈12〉

「どうやって見つけてくれたんだ?」


「親族の別邸という別邸を調べました。奥様のご実家ランドルク伯爵家の別邸のひとつにいらっしゃいました。しかし、最初からそこにいらっしゃったわけでは無いのです」


「そうだったのか…心配かけたな」


「とんでもございません。本当にご無事でなによりです」


「さっきの馬車は?」


「奥様のお母上。ロベリア・ランドルク伯爵夫人です。お金の無心に…」


「我が家の資金難はそのせいか?」


「ご存知でしたか?はいそうなのです」


「そうか」


「マクシミリアン様…いえ旦那様。アンジェラ様が領地の税金を上げる…と」


「当主の承認印が無いと駄目だろう?」


「はい、旦那様のサインと承認印が必要だと申し上げているのですが…」


「エリオット。〈当主の印〉今、持ち出せるか?」


「もちろんです。少しお待ちいただけますか?監視の目がありますので時間がかかるかもしれませんが」


「大丈夫だ、待ってる」


マックスは待った。深夜になりやっとエリオットが屋敷から出てきた。


「お待たせしました。こちらを…」と印章箱を差し出した。


「大丈夫だったのか?」印章箱を受け取りながらエリオットの身を案じた。


「ええ、皆が寝静まるのを待ちました」


「そうか…私はまたしばらく姿を隠す。次に会うまでレオナードを頼む。絶対に無理はするな。いいな」


「かしこまりました。旦那様もどうぞご無事で。おかえりをお待ちしております」


「ああ」そう言ってマックスは夜の闇に消えていった。


……………………………………


翌日、クロエは執務室でマックスから昨夜のエリオットの話を聞いていた。イーサンも同席している。


「…なるほど…お義母上のご実家が関係している線が濃厚だな…ロベリア・ランドルク伯爵夫人には会ったことはあるのか?」


「まともに会ったことは無いのです。父と義母上の結婚式の時に一度だけ会いましたが…それ以外では会ったことがありません。夜会にも必要最低限しか出ていなかったものですから」


「相手を知ることから始めるのが良さそうだな…明日、茶会に行くことになっている。社交界で今何が噂されているのか、聞いてくるよ…」


「俺を護衛として同行させてもらえませんか?」


「その顔で?」


「なぜ〈顔〉なんです?顔が問題ですか?」


「はは…無自覚か…知り合いがいるのではないのか?」


「そっか…では、御者で!」


「まぁ、いいだろう」


「ありがとうございます。それとお願いがあるのですが…」


「なんだ?」


マックスはアンジェラが税率をあげたがっていることが気になり

「領地の現在の税率がどうなっているか調べていただけませんでしょうか?」とクロエに願い出た。


クロエは頷いて「イーサン。頼めるか?」とイーサンに聞いた。


イーサンは「かしこまりました。お安いご用でございますよ」と快諾してくれた。


「それから…なぜ無心にやってきているのか…ランドルク伯爵家の事情も調べてもらえるか?」


「承知いたしました」


マックスは2人に「ありがとうございます」と礼を告げた。

……………………………………


翌日、マックスはスーツを着て辺境伯家の立派な馬車の前でクロエが出てくるのを待っていた。


玄関の扉が開いてクロエが出てきた。


今日のクロエは人形のように可愛い。

ハーフアップにした栗色の髪は毛先がクルクルカールしている、化粧もピンクを基調にしているせいか、いつもより幼く見えた。いや年相応と言った方がいいだろう。そしてプリンセスラインのローズカラーのドレス。

似合っている…似合っているのは間違いない。しかし戸惑ってしまう。


「クロエ…様?」


「なぁに?変な顔して…この姿何か変かしら?」

口調まで違う…


「…とんでもない!大変よくお似合いです」マックスは戸惑っているのに、なぜか胸の鼓動は早い…正直混乱していた。


「そう…よかったわ。さぁ、出かけましょう」


「か、かしこまりました!」


マックスはクロエを馬車にエスコートしてから、御者台に腰かけ、ウイングとボイジャーに軽く鞭で合図を出して出発した。


お茶会の会場では、クロエのその姿は馴染んでいた。

可愛らしい姿で可愛く微笑み、可愛らしく歓談し、可愛らしく頷きながら相手の話を聞いていた。


マックスはクロエの処世術に脱帽した。


お茶会がお開きになり、迎えのために馬車を車寄せに回していくとクロエは数人の迎えを待つ令嬢達と輪になり楽しそうに話していた。


その様子を見て「本来なら、クロエ様はあのようになんの憂いもなくお茶会を楽しめる立場だったのに…」と少し切なく思っている自分がいた。


マックスはその前に馬車を停め「クロエ様、お迎えにあがりました。こちらへ」と言ってエスコートの手を差し出す。


令嬢達の視線がマックスに向いた。


クロエは「ええ」と言ってマックスの手を取り、令嬢達を振り返り「それでは皆様ごきげんよう」と軽いカーテシーをして馬車に乗り込んだ。


令嬢達も「クロエ様、またお目にかかりたく存じます。ごきげんよう」と軽いカーテシーを返してくれていた。


マックスはキャビンの扉を閉めて、見送りの令嬢達に一礼をしてウイングとボイジャーを操ってその場を後にした。


2人が去ったあと「今の御者…素敵だったわよね」と令嬢達が囁きあっていたことは2人は知らない。


マックスが、しばらく馬車を走らせていると

「はぁぁー!疲れたぁー!マックス、今日はハズレだ!なんの収穫もなかった…次に期待だな!まぁ、顔繋ぎはできたからよしとしよう…」と後ろから声が聞こえた。


マックスは「お疲れ様でした。次に期待ですか…ふふ、承知しました!」いつものクロエの口調に安堵して笑って返事をしていた。











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