ふたつの世界②
「侵略? バカ言わないで。地球なんてね、高度な宇宙文明から見れば、ただの『技術も文明も遅れた、辺境のド田舎』よ。おまけに星間政治のルール上、どこの勢力にも属さない中立地帯。……要するに、あいつらにとっての地球は、ただの観光地でちょうどいい場所なのよ」
高度すぎる宇宙の競争社会や、終わりなき戦争に疲れた異星人たちが、癒やしを求めて地球にやってくる。
もし宇宙人の存在が公になれば、未知のエネルギーを巡る国家間の大戦争や異星人に対する不毛な差別が確実に巻き起こり、この「安らぎの地」は一瞬で崩壊する。
だからこそ、彼らは絶対に世間にバレてはいけないのだ。そして、宇宙人の間でもこのちょうどいい田舎には手を出してはいけないと不文律が存在しているらしい。
「まあ、中にはルールを破る無法者の宇宙人や、地球の武器商人にハイテク技術を売りつけようとする無礼者もいるわ。そういう危険な連中を専門に『処理』する、ウチの遥か上位の武闘派機関が……映画でもお馴染みのの組織よ。……まあ、私が昔いたところなんだけどね」
さらっと爆弾発言を落とした春奈さんは、最後に俺の目をまっすぐに見つめた。
「で、最後の疑問。なんであんたみたいな一般人に、宇宙人の姿や、あの『もや』が見えるのかって話よね」
春奈さん曰く、ここ数年、地球を訪れる宇宙人の数は右肩上がりで増加している。
当然、現場の人間(隠密に動ける地球人)は全然足りてない。
そして宇宙由来のエネルギーに偶然触れてしまった一部の人間は、脳の回路がバグって、異星人の擬態を見破る『もや』が見えるようになるのだという。
「紅葉も、あんたもそう。ウチの組織は、そうやって『見えちゃった人間』を拉致……もとい、スカウトして職員にしてるってわけ。分かった? 」
「……なるほど。俺、いつの間にかとんでもない世界に足を踏み込んでたんですね……」
怒涛の勢いで語られた世界の真実に、俺はただただ呆然とするしかなかった。




