(腐の)神は私の事がお嫌いか?
何がなんでも腐らせたい。
ひいひい、はふはふ………少し走っただけでこれですよ。ラハグローさんから逃げ出したまでは、良かったのですがまた迷子です。
無駄に広い侯爵家の邸には本気で辟易しますよ。
あー。小さな小屋でも建ててもらって、そこで毎日寝起きしたいけど、そんな次期侯爵の嫁って有り得ないですよね。
うーん。考えただけでラハグローさんから何を言われるか憂鬱だよ…………うん、諦めよう。
現実逃避しつつ邸の廊下をトボトボ歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「奥様?この様な場所にお1人でどうされました?マオカはご一緒ではございませんか?」
「あっ!リグレット!いや、その、えっと…………………」
ヤバい。また1人でウロウロしてると知ったら、ラハグローさんの様にお小言を言われるだろうか。
何か……何か良い言い訳は無いかな?えっとえっと………。
「………あっと!そ、そうだー!アルビオレに呼ばれているのだけど、執務室ってどこかしらー?」
「…………………………………………………………」
ううっ………わざとらしかったですかね?
リグレットの無言、怖すぎる!
アルビオレに呼ばれてるって嘘は直ぐにバレるかな。いやでも、それ以外に良い言い訳が思い付かなかったしなー。ついでに執務室の場所も聞きたかったし。
「………………マオカが一緒では無い理由にはなりませんが、後はわたくしめがご一緒致せば宜しいので、お1人で歩かれている事について追及は致しません。ですが執務室………で御座いますか。ラハグローより、本日中は誰も執務室へは近付くなと言われて居りましたので、奥様がアルビオレ様に呼ばれていらっしゃるとは存じ上げて御座いませんでした。奥様をお1人で執務室まで行かせる訳にも参りませんので、わたくしで宜しければご案内させて頂きます」
「ありがとう、リグレット!」
余計な詮索をしないし優しいし、ラハグローさんとは違うのだよ、ラハグローさんとはっ!
それにしても、執務室には近付くなって事はやはりその部屋で2人は密会するんだわ!
ラハグローさんもきっと内心では気が気じゃないよね、アルビオレの本命である王子と2人だけにするなんてさ。
でもラハグローさんは所詮当て馬…………あっ!だからかっ!だからさっきはそのイライラやモヤモヤが原因で、私へのお小言がつい口から出ちゃったんだね、きっと。
ならしょうがないか。
八つ当たりであっても鷹揚に受け止めてあげれば良かった。
今度はちゃんと聴くからね、ラハグローさん!まぁ聴くだけだけどね、だって本命は王子なんで。
桃色の妄想をしながらリグレットの後に続くこと数分、結構直ぐに執務室がある階層に到着した。
「奥様、こちらからむっつめの扉が執務室となって御座いますので、お間違えなき様にお願い致します」
「案内どうもありがとう! リグレット。じゃあ行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃいませ。ではわたくしはこれで失礼致します」
リグレットは一礼すると、直ぐにこの場から移動して行った。
ラハグローさんから執務室へは近付くなと言われていたのに、案内してもらったのだ。もしそのせいでリグレットに何かしらのお咎めがあったら、ちゃんとフォローしますからね。
よしよし、フフフ…………。
えっと……確か執務室はここからむっつめと言ってましたよね?
では隣のいつつめの部屋の内部から、盗み聞きでも致しますか。
「やっと……やっと逢えたねアル!!」
「ああそうだな。カモフラージュ用の女を2人も手に入れたし、これで俺達の仲を疑う者も居なくなっただろ?」
「うん、そうだねアル!私はこの日をずっと待ち望んで居たんだ」
「ふっ………可愛いことを言ってくれるな、王子…………」
「嫌だっ! ナイアスと呼んで!」
「ああ………ナイアス…………」
「………アルゥ…………………」
お互いにウットリと見つめあって、段々と顔が近付いて行き、最後には……………ぐ腐腐。
みたいな?
久し振りの逢瀬で燃え上がる2人………そして、それを盗み聞きして、隣室で萌え上がる私!
イエーイ☆最高じゃない?これ何てご褒美?ねぇ何てご褒美? …………ムフフ。
私は自身の妄想に悶えながら、いつつめの扉のノブに手をかけた―――――――――――のだが。
ガチャ……………………。
ん?
ガチャガチャ………………………。
んん?
ガチャガチャガチャ…………………………。
ノォーーーーーーーーーーーウ!!!!
ちっくしょー!しっかりと扉の施錠をしてやがるぅぅぅぅ!!!開かねぇぇぇぇ!!!
この瞬間、私の楽しみは儚く散ったのであった。
最近怠惰………というよりも、腐って来ている気がする今日この頃。
裏タイトル、【怠惰に過ごしたいから~】では無くて【腐って過ごしたいから~】に変更すべきだろうか?




