三重八景逃げるが勝ちってね
小生の住む長閑な田舎で電車が絡む事故があったとです。
幸い死者は居りませんでしたが、非常にビックリしたとです。
皆さんも事故には気を付けて下さいませ。
まだ身体が本調子じゃないと嘯いて、ム二ャム二ャと惰眠を貪っている私の耳に突然アルビオレの大きな声が聞こえてくる。
「な、何ぃっ!それは本当なのかっ?」
「はい。誠に御座います。流石にこの私室にはお通し出来ませんので、今はアルビオレ様の執務室にてお待ち頂いて御座います」
「…………分かった。お待たせするのは良くないので、直ぐに俺も執務室に向かおう」
うう~ん?何の話でしょうか?執務がどうとか……まぁ………私には関係なさそうなんで、このまま寝てようっと。むにゃむにゃぐーーーー………。
「ツェリッ!おいこら!ツェリッ!」
惰眠を貪るのを再開しようとした私の肩を、アルビオレの奴が揺さぶって来ます。
ちょ、おま、お前ぇぇっ!?空気読めよ。こちとらすっげ眠いんだよぉぉぉ。
「………うう~……うるさいですよ?」
このまま起きなければ、起きるまで揺さぶって来そうなアルビオレに、辟易しながらも両目を擦りながら文句を言ってやった。
「いや、流石にもうすぐ昼なんだから起きろよ!!っじゃない、これから俺は執務室に行ってくる。お前は絶対に来るなよ!いいか、分かったな?」
「はいはい……」
うーん。そんなどうでも良いことを念押しするために、わざわざ起こしたんかいっ!
それにアルビオレに対して、特に用件なんてありま……せんか………ら……むにゅむにゅぐーーーー………。
「よし、これでツェリへの対処は万全だ。あの方が来ているとなると、前回の様にツェリにちょっかいを掛けて来る可能性もあるからな……」
…………んん?あ、あれ~?今何て言った?あのアルビオレがあの方と言うって事は、ま……まさかっ!?大本命である、王子が来てるのか?それは一大事だ。寝こけている場合では無い。出歯亀せにゃなるまい。
ああー。でも2人が密会するのは、アルビオレの執務室かぁ……覗くことは可能なのかな。
ラハグローさんにでも聞いてみれば直ぐに分かると思うのだが、果たしてあの人に借りを作っても良いものか……。
うーん。後が怖いので自分で探してみるかな。
「じゃあラハグロー。行って来る………」
「行ってらっしゃいませ」
おお、しめしめ……アルビオレは部屋から出て行ったな。
早速後を追わねばと思い、ニヤニヤしながらベッドから起き上がると、こちらに冷めた視線を送っているラハグローさんと目が合った。
「………っ!!!?」
お、おや~?何故まだ居るし?アルビオレと一緒に執務室へと向かったんじゃ無かったの?
「………奥様……。くれぐれも、くれぐれも侯爵家の品位を損なう様な行動は慎まれますように、お願い申し上げます」
うぐっ……。この間の事でしょうね。多分アルビオレからでも聞いたのでしょう……私が危うくバルコニーから落下して、あわや投身自殺寸前まで行った時の事を。
あれは不可抗力だったんだよ。命綱を装着した場所も悪ければ、まさか枝が折れるなんて実際に起こるとは思って無かったのだから。
「…………ええっと……。はい……善処します」
「善処では困るのですが?むしろ貴女様には肝に命じておいてもらいたいのですが?」
「はい……すみませんでした」
「返事だけは大変結構なのですが、言動に行動が付随しなければ意味は無いのですよ。全く貴女様ときたら…………」
うーん。どうやらラハグローさんの私に対して溜まった不満が、噴出してしまっている様です。
「アルビオレ様の関心をこちらへと引いているのは大変良いことなのですが……………」
何やらまだブツブツお小言を呟いているのですが、中々終らないご様子。まともに聴いていたら長そうなので、気配を消し去って部屋を後にする。
アルビオレとナイアス王子の密会の方がラハグローさんのお小言よりも数百倍気になりますのでね。
しばらくコソコソ廊下を歩いて居ると、寝室の方からラハグローさんの叫び声が聴こえて来た。
あっ!逃走したのがバレた。もうコソコソするのは止めだ。全速力で走り去る………ラハグローさんに捕まりたくは無いから。
アルビオレの執務室がどこに在るかは、追い追い他の人に聞けば分かるでしょ。
走り去る私の後を追い掛ける者が居たのだが、この時の私はラハグローさんから逃げ切りたい思いで一杯だったので、追跡者の存在には全く気付かなかったのであった。
ツェリを追跡する者とは!?
乞うご期待………って、更新ペース遅いんですけどね。




