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最初からやってくれたら良かったのに…な

生還編です。やっと書けたので、即事投下!

後々手直ししていきます。


 現在私の視界は。魅惑のモロコシOVで埋め尽くされている。

 食べても食べても無くならない、正に夢の様である。ううっ…苦しい。食べ過ぎてもうお腹がはち切れそうっ!こんなに食べたのに、まだまだ私の周りには魅惑モロコシOVがゴロゴロと転がっている。素晴らしい光景ですね。最高の贅沢に私がウットリとしていると、何やら頬がジンジンしてきました。

 まさか魅惑モロコシOVを、大量に食べた弊害でしょうか?時が経つにつれて痛みが増してきます。



 しかし初めて知りました……モロコシの食べ過ぎでお腹ではなく、頬が痛くなるのだと。実家が貧乏だったので、私がコッソリと育てていた魅惑モロコシOVですが、他の野菜の苗の倍の金額でしたからね。

 チマチマ貯めたヘソクリで苗を買ったので、最初は家族にも内緒だったのですが、流石に家の裏庭で作ってたらバレますよね?見事に収穫分は家族内で分配されましたよ……チェッ。



 それにしても…頬が猛烈に痛くなってきた。もうモロコシ食べてないのに、更に痛みがさっきより酷くなっているみたい。ジンジンとした痛みだったのが、ズキズキした痛みに変わってくる。

 継続する痛みに視界が歪み、キツく両目を閉じた後、ゆっくりと目を開けると、私の周りに大量にあったモロコシが影も形も無くなっていた。

 そうですよね?夢でしたか……。短い夢だった。

 しかし、依然として両頬は痛いんですけど?何故?


 痛みの謎について、私が考えを巡らして居ると、背後より聞き覚えのある声が聞こえて来る。



「本当に世話の焼ける孫だよ、全く。私があんたの魂を現世へ押してあげるから、頑張んなさいっ!」


 おっ…お婆ちゃんっ!?へっ?自力で頑張れって言ってたのに?何で突然っ!?


「何で?って顔をするんじゃないよっ!分かりやすい子だね、全く。誰に似たんだかっ!」


 お婆ちゃんじゃ無い事は確かですね?嫌だけれど、父ですかね?自分では分かりませんけど。


「直ぐに戻れるだろうと思ったけど、一行に戻れないし、終いにゃ、魂の癖に寝るし……。困った孫だよ!」


 ええっ?お婆ちゃんだって寝てたしっ!私だけじゃないしっ?って、あれ?喋れない?私、声が出てなくない?


「現世でも頑張ってくれているみたいだし…。早く帰ってやんなっ!!」


 お婆ちゃんは力一杯私の背中を蹴り飛ばした。

 うぎゃ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!

 おもいっきり蹴られた背中は、痛くは無い……痛くは無いけれど、私はゴロゴロと下に転がって行く。どうやら豆粒みたいな光の元に向かって居るらしい。そこが現世へのゴールなのか?凄いスピードでビュンビュンお婆ちゃんの姿が遠ざかって行く。


「タイゾーに、死んでも愛してるって言っといておくれぇ~~~!!!」


 うひょ~~~!ノロケを挟んで来たよっ!もうお婆ちゃんには見えないだろうけど、親指をサムズアップしておいた。了解ですっ、と。



 豆粒みたいだった光がどんどん大きくなり、その光はどうやら渦状に螺旋を描いていた様で、私はグルグル回転しながら巻き込まれ、吸い込まれて行ったのであった。


 ぐぇぇぇぇ……。頬は痛いし、目も回るし、ギボヂワルイ……ぐぇぇぇぇ……。誰かぁぁ~お助けぇ~~~!


 私はなけなしの力を振り絞って、助けを求めて両腕を前に付き伸ばした。すると、誰かの手が私の両手を掴んでくれた気がした。そしてそのまま私は意識を失った。





 ***





 それからどれ位の時間が経ったのかは、分かりませんが、次に私がいやに重い目蓋をうっすら開けると、私の目の前には心配げな表情のマオカが居た。



 うわあっ!マオカには申し訳無いけれど、目覚めに貴女のドアップは、些かキツイ。

 私が目を開けたのに気付いたマオカは、ボロボロと両目から涙を溢しながら、


「おっ…奥様っ…うっ…よかっ…よがっだぁ~~」


 と、言って居る。うーん…どうやら今度は夢とかでは無さそうです。だって溢れたマオカの涙が私の顔に降ってきて、温かいし……何故かそれが滲みるし…。って、待て待て…何故滲みる?そしてズキズキと頬が痛い。


「マ…………オ………カ?」


 あれっ?おかしい…?声が出しづらいです。それに、口を動かすとやっぱり頬が痛いのですが?

 私が自分の置かれている状況が分からず、頭にクエスチョンマークを、大量に浮かべていると、マオカが察してくれたのか、泣きながらも説明してくれる。


「奥様は三日も眠ったままでした。皆、奥様の事をご心配申し上げておりました。それに……私がお飲ませした薬ですが、どうやら普通の方に飲ませたら危険な材料もあったみたいでして、この度の事は大変申し訳御座いませんでした。謝って済むような事では無いのは十分承知して御座います。私は罪を償う為に、ラグネイル監獄砦に向かう予定で御座います」


 そっかぁ…やっぱり幽体離脱(?)の原因はマオカの例の自称栄養満点スペシャルドリンクでしたか……って、うえっ?ななな…何ですと?ラグネイル監獄砦?ダメダメッ!!そんな所!!噂で聞く限り、生きては出てこれないって噂の場所ですけど?幾らなんでも酷すぎるっ!


 私は鉛の様に重い腕を、マオカに伸ばそうとして失敗した。

 何故失敗したかと言うと、伸ばそうと思った腕が、両手ごと誰かに拘束されて居たからだ。


 私の邪魔をするのは誰なのっ!?と、思いながら視線を向けると、そこに居たのは何故か私の手をガッチリ握り締めたアルビオレだったのであった。

 どうやらアルビオレの意識は無い様で、私の手をガッチリ握り締めながらも、眠っているのである。


 だけど、何故アルビオレはここに居て、しかも私の手を握り締めているのだろうか?

 こやつ……放せっ!

 そんなに強くは握られてはいなかったみたいで、直ぐに離れたのだが何故か少し、ほんの少しだけ手が放れたのに不安を感じてしまった。そんな自分の気持ちが不思議だった。



 アルビオレの事は一旦置いておこう……今はマオカを監獄砦に行かないように説得するのだ!

 私はマオカのメイド服の裾を握り締めながら、内心の気合いとは裏腹のか細い声で、マオカの説得を始めたのであった。


「マオ…カ…。行かないで…。ラグネイル……絶対に反対……です。それでも…行くと……言うのならば…………………………………」


 私を納得させてみなさい。


 と、言うつもりでしたが、何故か私の口から出た言葉は、


「私を……倒して行きなさい………………」


 でした。自分の口から出た言葉に、心底驚きましたよ。

 私の口は、一体どうしたんでしょうか?意味が分かりません。私がマオカに勝てるわけがありません。間違いなく舜殺されます。


 私が言い間違えてオロオロしていると、私の直ぐ側で小さく笑い声を吹き出す者が居ます。


「プッ……ハハハ……。マオカよ……ツェリにこう言われては、流石のお前も無理に監獄砦に行くことは出来ないな?プハッ……。まさか私を倒して行けとは、な。ハハッ!」


 笑い声の正体は、いつから目が覚めていたのか、アルビオレでした。しかし、そんなに面白いでしょうか?確かに変なことは言っちゃったけれど、何もそこまで笑わなくても良いのでは?


「………そうですね。確かにアルビオレ様が仰る様に、奥様を倒しては行けません。しかし、奥様を命の危険にさらしたのもまた事実なのです」


「だが、それは悪意あっての事ではないだろ?寧ろ良かれと思ってした事だろ?」


 アルビオレがマオカに優しい。この二人が直接会話しているのを、見るのは初めてだ。結構気心が知れてる関係なのかしら?


「ですが…………」


「ツェリ本人が行くなって言ってるんだから、良いんだよ!お前が監獄砦に行く必要など無い」


 私はアルビオレのその台詞に大きく首を縦に振ったその時、空気を読まない私のお腹が、物凄い大音量でグウギョルルルルルル~~~と、鳴り響いたのである。

 少し前のシリアスな空気は霧散していって、その場に弾ける笑い声。

 声の主はアルビオレであったが、マオカも一緒に吹き出してしまっていた。暗く重い空気を一掃出来たのは嬉しいのですが、私の羞恥メーターはマックスを振り切っていた。


「おい、マオカっ!早速ツェリから……いや、ツェリの腹から頼み事だぞ?何か食べる物を持ってきてやれ!」


 ちくせうっ!アルビオレめっ!わざわざ言い直すんじゃないわよっ!デリカシーは無いのか?


「はいっ!かしこまりました!!」


 マオカはうっすら微笑むと、素早い動きで部屋から出ていった。

 どうやらマオカが監獄砦行きを、思い直してくれた様で本当によかった。アルビオレの援護のお陰だ。マオカの件については御礼を言っても良いかも………。


「ア…アルビオレ…」


「ん?何だよ?」


「あの…ね………」


「待て待て!分かっているぞ。腹が空いて限界なんだろ?そりゃあ三日も眠りっぱなしじゃなっ!マオカが直ぐに用意して来るから待ってろよ」


 違うっ!!………いや、違くないけど、でもその事じゃないっ!!


「違う……マオカの…事…ありがとう……」


「うん?そっちか!まぁ、気にするなよ?マオカは貴重な存在だからな!護衛も出来るメイドは結構居るが、アイツは最強だからなっ!あれほどの手練れは早々居ないしな」


 そう言いながら、アルビオレは私の頭を撫でた。無意識になんだろうけど、女性の頭にサラッと触れる事が出来るとは………。恐ろしい奴ですな。


 そんなことを考えて居ると、部屋の扉が勢いよく開いた。マオカがご飯を持ってきてくれたのかと思い、期待に目が輝いていた私は部屋に入ってきた人物を見て、心底驚いたのであった。


 そう、部屋に入ってきたのはなんと、アルビオレの愛しい(と装ってるかもしれない)あのルルさんだったのである。


 ルルさんはズカズカと入って来ると、私とアルビオレの現在の状況(頭を撫で撫で)を見てこう言った。



「このっ!!泥棒猫っ!!!」



古式ゆかしい台詞を高らかに言いはなったのであった。



無理矢理終わらせましたとも。もうツェリ一人ではらちが明かんと、お婆ちゃんの力業で生還することに。(最初からそうしていれば……悔やまれてならない)


そして、現世に戻ったら戻ったで面倒な事になってます。最後はルルにこれを言わせたかったんですよ!この台詞大好きですっ!!



鈍亀更新てすが、今後もお願い致します。

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