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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第3部〜ニャンバリアンの侵略編〜
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第25話〜あったかい歓迎〜

 

 森のような草叢(くさむら)を抜けた場所でタクシーを降りた後は、昼間なのにどこも閉まっている商店街を通って行く。草原沿いの道を過ぎると、“ヒミツキチ”とか呼ばれてた、ミランダがいる洞窟が見えた。

 そしてちょっと進むと、チップたち9匹のネズミたちの住むデッカい木が見えてきた。

 ようやく、帰ってきたぜ。ここは無事のようだ。良かった。


「あ! ゴマくん、おかえり! 大丈夫だった?」

「皆さん、無事だったんですね。さあさ、早く中へ」


 玄関のドアが開くと、チップと、ネズミの父ちゃんのピーターが出迎えてくれた。

 そして……中に入ると、ユキとポコが駆けつけてくる。


「メル姉ちゃん、みんな! 無事だったのね!」

「あわわ、帰ってきてくれて良かったよぉ……。僕、ずっと不安だったんだよ? 誰かが死んじゃったらどうしようって……」


 ユキもポコも、元気そうだった。ルナが「良かった……。ユキ、お腹の赤ちゃんも大丈夫そう?」と聞くと、ユキはコクリとうなずいた。

 9匹のネズミの家族もみんなケガもなく、無事だった。やっぱりニャンバラの奴らは、ここまでは攻めては来なかったみてえだ。


「みんニャ、心配かけてすまねえな。まあ、危機はボクの母ちゃんたちが食い止めてくれたぜ。それと……。おい、スピカ。早く中に入って挨拶しやがれ!」

「……は、はじめまして、で、ええんか……?」


 ボクの後ろで遠慮がちにスピカが挨拶すると、母ちゃんが前に出て、いつものように深く頭を下げた。


「ネズミの皆さん。この方にも、皆さんとの生活を体験させてあげて欲しいのです」

「あらあら、新しいお友達? うちは大歓迎よ」


 ネズミの母ちゃんのマリナは、少しも警戒せずにスピカを迎え入れようとしている。大丈夫なのか? 敵だったんだぞ、コイツ。


「わあい、またネコさんのお友達だー!」

「うふふ、女の子のネコさんのお友達、嬉しい」

「またお友達増えて、うれしいなっ!」

「やったあー! いっぱいナナと遊ぼ! あ、あたしのことは“ナッちゃん”って呼んでね!」

「ネコのおねえちゃんだー!」


 そんニャ事も知らず、ネズミのキョーダイ――トム、モモ、チップ、ナナ、ミライ――は、目を輝かせてはしゃぎ出す。敵意ってやつを知らねえ純粋なネズミのガキどもの様子に、スピカはポカンと口を開け、目をまん丸くしている。


「……(なん)なんやこの子ら。めっちゃフレンドリーやん?」

「ねえねネコのお姉ちゃん、名前なんていうのー?」

「ウチの名前は、スピカやで。なんやようわからへんけど、ウチ、ここであんたらと暮らすんか?」


 チップとナナが、嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねてやがる。

 

「スピカ姉ちゃん! よろしくね!」

「いっぱい遊ぼうねっ!」

「……スピカ姉ちゃんって、なんやそれ。アハハ」


 スピカの奴、案外すんなりネズミのガキどもと打ち解けやがった。緊張が解けたみてえで、笑い声すら上げてやがる。

 ボクとルナが初めてネズミの奴らと触れ合った時も――。ネズミたちの優しさと無邪気さに、肩の力がスッと抜けたのを覚えている。スピカもきっと、似たような気持ちニャんだろう。


「さ、とりあえずお茶にしようよ。ね、お父さん!」

「そうしよう。さ、スピカさんも皆さんも、ゆっくりなさって下さいね」


 こうして、ボクらはスピカを迎え入れて、また9匹のネズミたちと過ごすことになった。

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