第23話〜解放〜
ボクをネコ質にしようとした、元ニャンバラ軍の、訛りが強くて声のデケえ女――スピカを連れて、チップたちの家へ向かう事が、どうやら決まっちまったみてえだ。
「ムーン、承知した。なら僕たちは、仮設基地にタイタンを連行し、今後の作戦を練ることにしよう。いずれにせよ、再びニャンバラ軍が来るまでは、ネズミさんの世界を出る事はできなさそうだ。ムーン、また報告と連絡を頼む」
「ムーン、お前は1匹で悩みを抱えがちだからな。無理しないで、俺たちに相談しろよ!」
「て……敵を連れていくだなんて……、大丈夫かな……? き……気をつけてね、ムーン。あっ、兵糧丸持ってく?」
「フン、あんたらはムーンの心配より、自分の心配をしなさいよね!」
ソールさん、マーズさん、マーキュリーさん、ヴィーナスさんが、ムーンを見送った。みんな、母ちゃんを心配してる。頼りになる仲間だ。
「皆さん、ありがとうございます。後は任せましたよ。では私はこれで」
スピカのロープが解かれると、スピカはプハーッと息を吐いた後に「はぁー助かったぁー」とか言って、白くてフワフワしてそうな尻尾をピンと立てた。すかさず、母ちゃんが杖をかざす。杖から出した青白い光が、フワッとスピカを包んだ。
「うわ、何やこれ!?」
「スピカさん。あなたは“ワームホール”をくぐってきたはずなので、2足歩行でいられる時間は限られていたはずです。今の魔法で、半永久的に2足歩行でいられるようにしました」
「あー、あの“ワームホール”はまだ試作品やしなあー。もうそろそろ、ネズミさんサイズの2足歩行にずっとなったままになれるバージョンのもっとでっかいやつが出来上がってるはずやわ。今度はそれ使って攻めるって言うてたでー。ってか、やっと解放されたー!」
「スピカさん、今の情報は本当ですか?」
「ほんまやでー。どーせウチはニャンバラ軍をクビになったんやし。別に星光団に機密情報がバレようが、もうどーでもええわ」
あーあ、何かふてくされてやがるな。それよりも、今度は“ワームホール”のでっかいやつを使って、ニャンバラ軍は攻めて来やがるのか。もしミランダの“ワープゲート”がダメだったなら、その“ワームホール”のでっかいやつを奪ってやれば……きっとボクらも帰れるんじゃねえか。覚えておこう。
「では行きましょう、スピカさん」
「あの……ムーンさんやっけ。そんなホールドせんでも、ウチ逃げたりせえへんよ?」
母ちゃんは自分の右前足を、スピカの左前足に絡ませて、林の外へと連れ出す。ボクもスピカが逃げ出さねえようしっかり見張りながら、後をついて行った。




