第22話〜ネズミの世界に取り残されて〜
元の世界に帰るには、“ワープゲート”を使えるように練習してるミランダを頼るしかなくなっちまったんだ。だが、ちゃんと帰れる保証ニャンか無え。
それか、ニャンバラの奴らがまた来た時に、無理矢理“ワームホール”を奪うか……。
もし、元の世界へ帰れなくなっちまったんなら――。
アイミ姉ちゃんには、もう二度と会えねえ。
ボクらの事を大事に大事に世話してくれたアイミ姉ちゃん。きっと悲しむに違いねえ……。
でも今はそれよりも、大事な事があるよな。
“もふネコ戦隊・星光団”として――ネズミの世界を、しっかり守ってやんなきゃニャ。
そして、母ちゃん……。
『ライムは……、メルやじゅじゅより体が弱く、色々な事ができようになるのに時間がかかりました。それなのに私は……。メルやじゅじゅと同じペースで色々な事ができるようになる事を求め、それができないライムを叱り続けました。今となっては、酷い事をしたと反省しています』
母ちゃんが話していた事を思い出した。
ライムは憎いが、母ちゃんがちゃんとライムと話ができるようにしてやる方が大事だ。
「ムーン。一度頭を冷やして、作戦を立て直そう」
「……ソール、そうですね」
母ちゃんが、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。やっぱり、自分の娘があんなふうになっちまったんだから、ショックなんだろう。
ボスのライムが帰ったという事は、ネズミの世界にニャンバラ軍の奴らは、ひとまずはいなくなったと考えてイイだろう。
これからどうするかを考えてえところだが、ソールさんたちは、疲れて座り込んだりブッ倒れたりしてしちまっている。
そしてメルさん、じゅじゅさんも……。
「ライム……。まさか、あんなふうになってただなんて……」
「メル〜、大丈夫〜? きっと話せば分かるよ〜」
「話して分かる雰囲気じゃないでしょ、あれは。一体、ライムに何があったっていうのよ……」
一緒に暮らしていた家族が、姉妹が、あんなふうになっちまったのを見ると、きっとショックはでけえのだろう。しかも敵のボスとこられちゃ、一筋縄では行かねえ。
メルさんたちにどう声をかけようか、考えていた時だった。
「ああああ、もうウチ情けなくて情けなくて……! ああいっそここで殺してえや! あああー!!」
また泣き叫ぶ声が響いた。
スピカがロープに巻かれたまま、体を揺すりながらギャーギャーと声を上げてやがる。
ああもう、うるせえ!
「だーもう! お前うるせえな!」
「あ、イケメン! さっきはごめんやで、なあ、このロープ、ほどいてくれへんー?」
「誰がイケメンだ。許すわけねえだろ」
「うわ! やめ……モゴモゴ!!」
その辺に落ちてた木の実を拾って、スピカの口に詰め込んでやった。
やっと静かになったと思った時、ルナの声が聞こえた。
「……じゅじゅ姉ちゃん、もう大丈夫なの?」
「ふあ〜、うん。きっと大丈夫だよ〜。みんな無事だし〜。おなかすいたね〜」
ずっとじゅじゅさんにくっついて震えていたルナ。お前もよく頑張ったよ、ほんと。
夜が明けてきた。さあ、これからどうするか。“星光団”の一員として、ボクはこの先何をすべきか。考えなきゃいけねえ事は、いっぱいある。
「ソール。この女もタイタンと一緒に、一旦俺たちの仮設基地に捕らえておき、監視をつける。それでいいな?」
「ああ、ひとまずはそうしよう」
マーズさんとソールさんが話し合っていたが、さっきからジッとスピカの様子を見ていた母ちゃんが、話に割って入った。
「ソール、マーズ、聞いてください。スピカさんは……、私たちと共に、行動してもらいましょう。ロープを解きます」
何だと? 許しちまうのか?
「ふむ……ムーン、何か考えがあるんだな?」
「はい。もちろん、監視はしますが。私たちはスピカさんを連れ、お世話になったネズミさんたちの家族の家へ戻ります」
何と、スピカを連れて、チップたち9匹の住むあのデッカい木の家へ戻るというのだ。
母ちゃん、一体どういうつもりニャンだ……?




