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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第3部〜ニャンバリアンの侵略編〜
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第17話〜秘技・「屁が出る」〜


 合体必殺技は空振りに終わった。

 ソールさんたちも、もう動けねえ。

 

 ボクも、スピカに捕まっちまった。もっかい“転身”しようと思ったが、どうにも力が出てこねえ。

 力づくで振り払おうと思えばできそうだが、動くとボクが撃たれちまう。

 

「……うああ……兄ちゃん……」

「シッ! ルナ、動いちゃダメよ……!」


 声がした方を見る。木陰にメルさんたちの姿があった。無事だったんだ。メルさんもルナも、今にも泣きそうな目でこっちを見ている。じゅじゅさんは呑気に眠りこけてやがるが。


「ほな元気でなあー、あっはっは」


 そのままスピカはボクを捕らえたまま、“ワームホール”の方へ走り出した。

 だが、ボクにはまだ奥の手がある。このまま連れ去られてたまるかってんだよ。ボクを舐めんじゃねえぞ。


「あ! やべえ! 屁が出る!!」


 わざとらしく言うと、スピカが足を止めてパッとボクをホールドしてた前足を離した。


「は、はぁ!? やめえ汚い! 向こう行ってしてきいや!」


 ボクは受け身を取ると、すぐにスピカの後ろに回り込んだ。バカめ。作戦成功だ。


「ウソだよ、バーカ!」

「はっ!? しもうた!」

「喰らえ、クソアマ!」


 ボクは、振り向いたスピカの顔面を狙って、力いっぱい後ろ足を使って土を掘りまくった。

 スピカの白いツヤツヤの顔面と、身につけてる銀色の鎧が、土まみれになっていく。


「うわ! やめてや、せっかく手入れした毛並みが……」


 その時再び、ソールさんたちが動いた。


「今だ! みんな動けるか? スピカを捕らえるんだ!」

「おうっ!」


 ボクの横を、ソールさんたち5匹が風のように駆け抜けて、土まみれになったスピカを取り囲んだ。

 マーズさんがスピカを押し倒し、ロープでスピカの体をグルグル巻きにしていく。


「や、やめて! いやあっ!」

「よし、捕縛完了だぜ」

「よくやった、マーズ。さあ、ひとまず林へ!」

 

 さっきの合体必殺技は、放ってからちょっと時間が経てば、動けるようになるみてえだ。

 グルグル巻きにされたスピカは、大きくため息をついた。


「はあー、ウチがこんなヘマやらかすなんて……」

「デネブとリゲルはどうした?」

「“ワームホール”を通って逃げたで。残念やったなあ。ウチとタイタンだけ捕まえても、しゃあないで。それにまだ、【ライム】さんが、もうちょいしたらここに帰って来はるさかいなあ」


 デネブとリゲルは、やっぱり逃げちまったか。あの時、もう一発カマして潰しておくんだったぜ。

 それよりも、ライムがここに来ているだと?

 

 母ちゃんの話によれば、ライムは、メルさん、じゅじゅさんと一緒に三つ子で生まれた、ボクらの姉貴だ。小っちぇえ時に地底世界に転落して、そこでネコだけの都市“ニャンバラ”を築いたって話だったニャ。

 そして今は――。

 ニャンバラ軍の総長として、ネズミの世界の侵略の首謀者になってるっていうんだ。


 出て来い、ライム。

 家族だろうが、関係ねえ。もう一度“暁闇(ぎょうあん)の勇者・ゴマ”に“転身”して、テメエの野望を、ブチ壊してやる。

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