第16話〜甘いニオイ〜
“ペンタルファ・バースト”とかいう“合体必殺技”の衝撃で、ボクまで吹っ飛ばされちまった。どうにか立ち上がろうとしたが、白、紫、赤、水色、黄色の光が辺りをビカビカと照らして、思わず目をつむっちまう。
するとまた、瞼の裏に文字が浮かんできた。
ペンタルファ・バースト
無属性
威力……100
消費魔力……全て
特殊効果……術者の“転身”が強制解除される
ソールさんたち5匹の持つ力全部をエネルギーにして解き放つ、最後の必殺技ってとこだろう。
……って、あれ。
急に、体が重たくなった。
見ると、右前足に持っていた“暗黒剣・ニャインライヴ”が無え。鎧も消えて、白シャツと青のズボン姿になってるじゃねえか。
(あ、これ、“転身”が解けたのか? でもボク、合体必殺技使ってねえぞ?)
戸惑ってると、ソールさんの声でハッとする。
「ハァ、ハァ……。やったか?」
「ダメです。逃げられました」
「何だと!? あとちょっとのとこだったのによ!」
「や……やっぱりニャンバラ軍には勝てないの……?」
「みんな、だらしない。シャキッとしなさいよ」
“転身”が解けて、ニンゲンの普段着と同じような姿になったソールさんたちが座り込んでいるのが目に入った。
ボクも今になって、周りを見渡す。デネブもリゲルもスピカもいねえ。クソ、逃げられちまったのか。
再び暗くなった公園の林の中に、“ワームホール”だけが、むなしく残されていた。あの3匹は“ワームホール”から逃げちまったんだろう。
「ソールさん! すまねえ……。でも急に言われてもどうしたらイイか分かんねえんだ……ん?」
突然、グイと、何者かに体をホールドされる。と思ったら、顔の横に小型の銃の銃口が当てられた。
「ゴマ! ゴマが!」
「何っ!?」
クソ、誰だ! “転身”が解けてる上に、疲れもあって、振り払う事もできねえ……!
……この白い体毛は。
「あっはは! ゴマくんを解放して欲しかったら、大人しく降参するんやで!」
ボクをホールドしてやがったのは、訛りの強え♀ネコ――スピカだった。コイツ、逃げてなかったのか!
「この、離しやがれ!」
「動くんやないで! この小型電撃銃が、あんたの脳天貫くでえ? あんたもう変身できひんやろ?」
そうだ、コイツはあの3匹の中でも、ズバ抜けてすばしっこい奴だったんだ。
あの合体必殺技すら、かわしやがったのか。
「ゴマくんは“ネコ質”にして、ウチも逃げるさかいにな。ゴマくんが無事でいて欲しいんなら、大人しくしてるんやで。……にしても、イケメンやなあ、ゴマくんは。ウチが連れて帰って独占したいくらいや。でも、あんたらが抵抗するんやったら……」
甘いニオイがすると同時に、銃口がボクの頬に押し付けられた。




