第3話〜“ニャンバラ軍偵察部隊・サターン”〜
ボクとルナは、メルさんとじゅじゅさんの後について行って、森の中の岩場に身を隠した。
メルさんたちは、母ちゃんが忘れて行った通信機を母ちゃんに渡した時に、ミマスに襲われたらしい。無事に隠れられたみたいで、ケガも無えみてえだ。良かったぜ。
茂みに隠れながら道の方を見てみると、母ちゃんとソールが、ミマスと戦っていた。
母ちゃんの攻撃でミマスは倒れたはずだが、すぐに態勢を立て直したみてえだ。
ズドドドドン!!
「ニャアア!?」
ミマスが、母ちゃんたちに向けてライフルの銃撃を放ったみてえだ。あまりにデカい音で、声が出ちまった。
「シッ。ゴマ、あれの他にも敵が近くにいるかもしれない。動いちゃダメよ」
「あ……ああ。にしてもメルさん、凄えよ、あのソールって白ネコ」
激しい銃撃だったが、ソールが左前足に構えている頑丈な板が、すべて弾き返している。
「ソールさんの【盾】が、全部防いでくれてる。【剣】で、弾を跳ね返したりもしてるわね。ソールさんは、“星光団”の頼もしいリーダーよ」
「“星光団”……。やっぱりボクも、その仲間になるのか……」
「何? ゴマ」
「あ、いや何でもねえ!」
敵わねえと思ったのか、ミマスは攻撃を止めて不敵な笑い声を出した。
「ククク……。唯一の外界との連絡口である“ワームホール”を封鎖して、我々の侵攻を防ぐつもりなんだろう。だが、それをやると貴様らも、元の世界へ戻れなくなるぞ」
母ちゃんたちは無言で構えながら、ミマスと見合っている。
まさか。もし“ワームホール”を塞がれちまったら、もう元の世界に帰れねえってのかよ。あ、でもミランダの奴が“ワープゲート”とやらを出せるよう練習してるって言ってたっけ……? だったら別に大丈夫だよニャ……?
まあ今は、その心配は後だ。
「なあ、メルさんは、“もふネコ戦隊・星光団”について、詳しく知ってたりするか?」
「地球の平和を守る、5匹の戦隊ヒーローって事以外は、詳しい事は知らないわ」
(チキューの平和を守るだと? そんな大役を、ボクも背負う事にニャるのか……?)
「ゴマ、母さんが心配なの? 大丈夫、母さんならきっとうまくやる。母さんを信じて、敵がいなくなるまで私たちとここで、じっとしてて」
メルさんの言葉が頭に入ってこねえ。ミマスの奴め、しぶとく母ちゃんとソールに銃撃を続けやがる。眩しい光がビカビカと、辺りを照らす。ボクも、あんなふうに戦う事にニャるのか……?
いや、夢の中のボクは、もっと強かったはずだ。あんな奴1匹ごとき、この“暁闇の勇者・ゴマ”にかかりゃあ――。
「やだよ……、怖いよ……帰りたいよ……。ニャアア……!」
「ルナ、落ち着いて。大丈夫よ。大丈夫だから」
ルナ……!
ルナが、戦う母ちゃんたちを見て震えている。こんな状況の中、居眠りしているじゅじゅさんをよそに、メルさんは必死でボクらを守ろうとしてくれていた。
……が、その時。
後ろから、しゃがれた声が聞こえた。
「ハハハァ、見つけたぞ。テメェら、ネコ質にちょうど良さそうだなぁ?」
……敵だ!!
「……しまった! じゅじゅ、起きて! ゴマとルナを守って!」
「ん〜、分かった〜!」
振り向いて、周りをよく見てみた。
何と今度は、4匹も出てきやがったじゃねえか。
母ちゃんやソールと同じような剣や盾や鎧、杖や丈の長え服とかを装備してる、変なネコどもだ。
間違いねえ。この街を襲った、ニャンバラの奴らだ。
ミマスと、何か合図を交わしてやがる。多分、仲間なんだろう。
「そこにいるネコども。大人しく出て来い」
またしゃがれ声を出したのは、先頭にいる、2本の剣を持った一回りデカいデブのトラネコだった。奴は剣の先をこっちに向けて、メルさんに近づこうとする。
が、その時!
「……私の大切な子たちに、手を出さないで下さい!」
母ちゃんが一瞬で目の前に現れて、デブのトラネコに杖をかざした。
考える間もなく、紫色の光が爆ぜた。
「母さん!」
だが、デブのトラネコは大きく跳び上がって、母ちゃんの攻撃をかわしてやがった。
ズドン!!
奴が着地すると、地面がグラリと揺れた。
「ニャアア!?」
揺れに足を取られている隙に、デブのトラネコがボクらの目の前に立ち塞がった。
気付けば他の4匹も、あっという間にボクらの周りを取り囲んでいやがった。
「【ニャンバラ軍偵察部隊・サターン】、全員集合だ。戦える奴は、5対2だな。ハハハァ、残念だがテメェらに勝ち目はない」
デブのトラネコが笑う。
クソ、母ちゃんとソールしか、戦えるのがいねえのか?
そうだ! 今こそ、夢の時と同じように、ボクも変身すればイイんじゃねえか!
あれが正夢なら! やるしかねえ!!
「……えっと、何て言えばイイんだっけ?」
あれ? どーやって変身したんだっけ?
必死で思い出していると突然、取り囲んでいたニャンバラのネコどもが、変なパフォーマンスを始めやがった。
「【赤熱の剣士・タイタン】!」
「【蒼氷の騎士・エンケラドス】!」
「【白雷の弓士・ディオネ!】!」
「【碧毒の妖術士・テティス】!」
「【黒闇の狙撃手・ミマス】!」
ミマスもやってきて、集まった5匹が順番にポーズを決めた。最後に1ヶ所に集まって――。
「「「「「我々は、選ばれし【ニャンバラ軍偵察部隊・サターン】!」」」」」
決めポーズを取りながら、全員で叫びやがった。
一体何がやりてえんだ、コイツら……?




