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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第3部〜ニャンバリアンの侵略編〜
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第2話〜ニャンバラ軍の狙撃手〜


「動くな」


 後ろから、ドスの利いた低い声が聞こえた。

 

「クソ、誰だ! 邪魔すんじゃね……!?」


 声がした方を振り向くと、ボクよりちょっと小せえ背丈の、黒いフードをかぶったトラネコがいた。

 こっちに向けて、細長い(ニャニ)かを構えてやがる。

 

「ニャンバラ軍偵察部隊【サターン】の狙撃手、【ミマス】に目ぇつけられたからには……貴様らの命は、もうないぜ。俺のスナイパーライフルで、貴様らを殺す」


 出やがったな! ニャンバラ軍の奴だ。


「怖いよ!」

「ルナ! 今は喋るな!」


 ミマスという名のトラネコは、ライフルとかいう武器を構えたまま、話を続けた。


「貴様ら、スパイのゴマとルナだよなぁ? 任務に失敗した貴様らを、殺せとの命令が出ている」

(ニャン)だと?」


 ミマスとやら、背丈がボクらと同じって事は、コイツも“ワームホール”をくぐって来たのか。……って、今はそんニャ事考えてる場合じゃねえ。


「まあ、恨むというのなら、迷子になった上に機密事項の入った“ニャイフォン”を紛失し、貴様らも見失った間抜けなプレアデスを恨むんだな。“神の子”のプルートと仲良くできるという立場にあぐらをかいて、いい気になって図に乗っていたプレアデスは……、今は軍を追放されて、ざまァ見ろって感じだぜ。貴様らはプレアデスのミスのせいで、始末されるのさ。可哀想に……」

「プレアデスの野郎、迷子になった上に“ニャイフォン”失くしたから、連絡が取れなくなったのかよ。やっぱりただのドジ野郎じゃねえか」

「兄ちゃん……お母さん……やだ、死にたくない!」


 ルナが、両前足でボクの背中をガシッと掴んだ。ガタガタと震えてやがる。


「何にせよ、貴様らはここで死ぬのだ。覚悟しろ」


 ガクガク震えるルナの前足を、ボクはガッシリ握ってやった。恐さよりも、怒りの方が圧倒的に勝っている。


「テメエ……! ルナにちょっとでもケガさせやがったら……! ボクがテメエを、ズタズタに引き裂いてやる……!」

「貴様の爪より、俺の銃弾の方が速いぞ。死ねぃ!」


 ミマスが、ライフルの引き金を引こうとした時だった。


「やめなさい!」


 突然、紫色の光がボクの視界を覆った。思わず目をつむる。

 目を開けてみると、ミマスは道路の方へ弾き飛ばされていて、持っていたライフルは地面に転げ落ちていた。ミマスは倒れながら、悔しそうに牙を剥き出しにしてやがる。


「クソ!!」


 ボクは後ろを振り向いた。そこには……。

 とんがった紫色の帽子をかぶり、キラキラした丈の長え紫色の服を着て、宝石をあしらった木の杖を持った――母ちゃんの姿があった。


「か、母ちゃん!?」


 夢の中で見た、泥人形と戦っている時のムーンさん(母ちゃん)の姿、そのまんまだ。

 母ちゃんが、ミマスを吹っ飛ばしたんだろうか。


「ゴマたちは隠れて下さい!」

「分かった、母ちゃん! ルナ、こっちだ!」

「うん!」


 ルナを連れて茂みへ向かっていると……。

 今度は、重くて頑丈そうな銀色の鎧を着て、スラリとした刃物を持った――どっかで見た事のある白ネコが、こっちに向かって駆けてくる。


「【星光団(せいこうだん)】、【ソール】だ。今、戻った。ニャンバラ軍の侵入を許してしまってすまない!」

「ソール、“ワームホール”の封鎖はできそうですか?」

「いや、“ワームホール”の仕組みが分からないゆえ、手こずっている。しかし敵はまだ少数。今のうちに我々だけで、先に偵察部隊を捕らえてしまおう!」


 “星光団(せいこうだん)”――。

 母ちゃんの仲間って、やっぱり“星光団”だったんだ。そして――。


 ソールと名乗る白ネコ。

 夢で、ボクに一緒に戦うように言ってきた奴だ。

 銀色の鎧に身を包んで、右前足に大きな刃物を左前足に頑丈そうな板を持っている。よく見りゃあ(ひたい)に、菊の花の形をしたような模様がある。


「急ぎましょう、ソール」

「ああ! 行こう、ムーン!」


 ボクはルナを守りながら、茂みに隠れて、母ちゃんとソールがどこへ行くのか、ジッと見ていた。

 その時。


 ガサッ!!


 茂みをかき分ける音が耳に入った。

 

「ルナ! 隠れとけ!」

「う、うん!」

 

 ニャンバラの奴らなら、容赦しねえ。ボクは振り向いて、ツメを構えた。

 あれが正夢なら、いずれボクも変身して――。


「……あれ!? メルさん、じゅじゅさん!!」

「ゴマ!? 何でここに!? ネズミさんのところにいなさいって言ったでしょ!」

「早く〜、一緒に森に隠れて〜!」


 茂みから出てきたのは、ニャンバラの奴らじゃなく、メルさんとじゅじゅさんだった。


「メルさん! やべえ事になってやがるじゃねえか!」

「メル姉ちゃーん! 怖かった……うわああん!」


 ルナは泣きながら、メルさんに飛びついた。


「よしよし、もう大丈夫。ゴマ、早くこっち来なさい!」

「あ、ああ。それより、母ちゃんがニャンバラの奴をぶっ倒してたぞ! 母ちゃんって、めちゃくちゃ強えんだな!」


 メルさんは、走って行く母ちゃんとソールを見ながら答えた。

 

「母さんはね……【もふネコ戦隊・星光団(せいこうだん)】のメンバー、【望月(もちづき)の魔導士・ムーン】。“星光団”は、世界の平和を守る、正義の戦隊なのよ!」

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