第35話〜ネズミとネコの自己紹介・2〜
ユキの奴、お腹に赤ん坊がいるだと!?
ユキが母ちゃんになり、ポコが父ちゃんになる……? ダメだ、全く想像ができねえ。
「メル、私たち、先越されちゃったね〜」
「言わないでよ、もう……」
なかなかお相手ができねえじゅじゅさんにメルさんは、実に悲しそうな顔をしてる。
「あらあら、これはまたおめでたいねえ。どうか無理はしないでおくれよ?」
ため息をつくメルさんたちをよそに、ネズミのばあちゃんのサンディがそう言うと、ユキはまた照れ臭そうに顔を洗ってから、ペコリと頭を下げた。
「うん……ありがとう。迷惑かけちゃうかもだけど、助けてくれたら嬉しいです」
「うん! おめでたいね。ユキちゃんに盛大に拍手しよう!」
今までで一番の、デカい拍手が巻き起こった。
だが、子供が生まれるとなると、色々大変だな。ましてこの2足歩行のままだと、どうなるか分かんねえ。それまでに元の世界へ帰れるといいんだが……。
……と思ってたら、母ちゃんが口を開いた。
「ユキ、ポコ、おめでとう。出産の時期が近づいたら、私に言ってください。自然に産めるよう、“魔法”で4足歩行に戻してあげますからね」
「分かった。ありがとう。お母さん」
心配する必要は無さそうだな。さすがは母ちゃん。頼りになるぜ。ってか、母ちゃんが使う“魔法”についても、後で聞いておかねえと。
「じゃあ、本当に僕に弟や妹ができるんだね! 楽しみ!」
ルナは、ホントに嬉しそうにしてやがる。
「……ああ、やっとルナはチビガキの地位から抜け出せるんだな」
「うるさいな! 兄ちゃんもガキだろ」
「ガキじゃねえよ! ボクはもう大人だっつってんだろ!」
ボクらがケンカする様子を見て、ネズミの母ちゃんのマリナが笑う。
「ふふ、ゴマくんとルナくんって、うちのチップとナッちゃんみたい。仲良しなのね」
それを聞いたナナは、ほっぺたを膨らませている。
「仲良くないもん。いじわるばっかするもん、チップ」
「してないだろー、もうナッちゃんたら!」
「ほらほら、次の紹介始まるわよ」
似たもん同士ってヤツか。面白いもんだ。キョーダイなんて、そんなもんニャんだろな。
さて間が空いちまったが、次はボクの姉ちゃんたち、メルさんにじゅじゅさんの番だ。
「【メル】です。この子たちの姉で、今は母さんが忙しいから、親代わりになってるんです。これからお世話になります」
「【じゅじゅ】だよ〜。おいしいもの大好きだから〜、この世界のいろんなおいしいもの、教えてね〜。よろしく〜」
じゅじゅさんの紹介を聞いた、食いしん坊のネズミの長男トムが、食らいついた。
「僕、おいしいものたーくさん知ってるよ!」
「ほんと〜? トム〜、後でデートしましょ〜」
「で、デート!?」
ハハハ。こりゃ面白え。うちのじゅじゅさんはホントに大食いだから、絶対気が合うぜ。
さて最後は、ボクらの母ちゃんの番だ。
「改めまして、【ムーン】です。まずは私どもの息子、娘たちを、よろしくお願いいたします。……私がここに訪れたのには、理由があります」
母ちゃんがここに来た理由――?
そうだ、さっきからの母ちゃんの言動、色々と気になってたんだ。




