第33話〜ネズミとネコの自己紹介〜
「みんないるね。じゃあ、改めて順番に自己紹介しよう!」
「さんせーい!」
晩メシを片付けた後、ボクらは土間の丸いテーブルを囲むように、円になって座った。
何か、キンチョーするぜ。
「ネコさんか僕たちか、どっちから自己紹介するー?」
「お、お前らからやれよ!」
思わず言っちまった。
無理だ無理だ、何も言う事考えてねえ!
「わかった! じゃあ、トムからでいいかい?」
「はーい! じゃあ、早速始めるね!」
よ……よし。ネズミどもが自己紹介してるうちに、何言うか考えるぞ……。
だがこういうの、嫌いじゃニャいな。
今まで死にかけたり、逃げ回ったり、腹減って倒れそうになっていた日の事を思うと、ここは何とも優しくて、安心する場所だぜ。
「じゃあ、僕からだね。【トーマス】だよ! 呼びやすいように“トム”って呼んでね。えっと、長男で、おいしいものが好きなんだ!」
「はい、拍手ー!」
ネズミのキョーダイの1番目、食いしん坊の長男トム。
うちのじゅじゅさんに、負けず劣らずの大食い野郎だ。きっと意気投合するに違いねえ。
「【モモ】といいます。私はお菓子作りが好きです。時々クッキー焼いたりするから、良かったらみんなで食べてね。夢は……、調理師です」
ネズミのキョーダイの2番目、ピンクのエプロンが似合う、長女モモ。
コイツの料理は、マジで美味え。絶対、イイ調理師とやらになれるぜ。
「へっへー! 【チップ】だよ! 遊ぶのと冒険が大好きなんだ! よろしくね!」
ネズミのキョーダイの3番目。次男で、青いキャップが似合うネズミの少年チップ。
やっぱりコイツとは気が合いそうだな。イイぜ、ボクが本当の冒険ってのを教えてやる。
「【ナナ】だよ! “ナッちゃん”って呼んでー。あたしも冒険とか面白いこと大好き」
「あと、泣き虫だよね」
「ちがうもん!!」
ネズミのキョーダイの4番目。次女の、泣き虫でちょいとオテンバなチビネズミ、ナナ。
コイツはルナとちょっと似てるのかもな。後でいっぱい遊んでやろう。
「【ミライ】だよ。あそぶのと、おにいちゃんたちのおてつだいしてるの」
ネズミのキョーダイの5番目、末っ子のミライ。
ネズミのチビッ子も、よく見りゃなかなかカワイイもんだな。
続いてはネズミのじいちゃん、ばあちゃんだ。
「改めまして、わしの名前は、【ダン】ですじゃ。まだまだ元気に長生きしますぞい。みなさん、仲良くしてね。よろしく」
「あたしゃ【サンディ】と申します。お料理とお裁縫、お歌が好きなのよぅ。あたしもまだまだ楽しく長生きしたいわぁ。よろしくね」
やっぱり、年寄りとは思えねえぐらい生き生きしてやがるな。もしかすると、この世界のモン食ってれば、不老不死にでもなれるんじゃねえんだろうか。
続いて、ネズミの父ちゃんに母ちゃん。
「えっと、改めまして、この家族の主の【ピーター】です。よろしくね。いっぱい一緒に遊んだり探検したりもしながら、力合わせて生活して行こうね」
「母の【マリナ】です。私はこの家族が大好きなの。ネコさんたちも、同じ家族として仲良くしてもらえると嬉しいわ。よろしくね」
父ちゃんは、しっかりしてるけど心はチップたちと変わらねえ子供みてえな雰囲気だ。ボクも、そんな大人になりてえ。
母ちゃんってのは、居るだけで安心する――そんな存在だってのは、ボクも実の母ちゃん――ムーンさんと会えて、思い知ったぜ。ネズミのキョーダイにとっても、きっとそうニャんだろうな。
今ここに、ボクらの母ちゃんもいて、家族みんな揃ってる。そして9匹のネズミたちも、ボクらは“同じ家族”として迎えてくれてる。
ボクは今、チビの時に味わったような、安心するような懐かしいような、幸せな感覚がするんだ。
「これで僕ら家族はみんな紹介したよね! さあ、ネコさんたちの番だよ!」
さあ、ついにボクらの番だ。
誰から行くんだ……?




